クラウドによるユーティリティ・コンピューティング~ビジネスに集中できる環境を提供する Oracle Database Cloud Service~


クラウドによるユーティリティ・コンピューティング
~ビジネスに集中できる環境を提供する Oracle Database Cloud Service~

 理想の世界では、電気やガスなどのユーティリティ(公共サービス)のようにITは、当たり前に存在するものだろう。その舞台裏は見えず、意識されることもないが、必要なときにいつでも利用でき、目の前にある仕事の妨げには決してならない。こうしたユーティリティ型のITがあれば、すでに提供されているインフラに接続するだけで運用を開始でき、支払いも、使った分だけ、そして必要なものに対してだけで済む。そうなれば企業は、IT環境の管理でなく、ビジネスプロセスの価値や機能の向上、顧客サービスの提供に時間を費やすことができる。

 こうした状況の実現が、クラウド・コンピューティング全般、とりわけOracle Cloud(あらゆる規模の企業向けの包括的なクラウドサービス)における目標となっている。クラウドで提供されるサービスはさまざまだが、包括的なクラウド・ソリューションということになると、統合されたサービスの幅の広さが物をいう。

 「Oracle Database Cloudこそ、真のクラウドです」。オラクル・コーポレーションでOracle Cloudソリューションの1つである「Oracle Database Cloud Service」の製品管理ディレクターを務めるリック・グリーンウォールドはそう語る。

 「クラウド・コンピューティングでは、IaaS*1に始まり、PaaS*2、SaaS*3に至る幅広いレベルのサービスを提供しています。どのサービスレベルであるかにかかわらず、理解しておくべき重要な点が2つあります。1つは、ターゲットレベルより下位のサービスレベルは、ユーザーには意識されず、アクセスもできないこと。もう1つは、こうした下位レベルのメンテナンスはすべて自動的におこなわれるということです」(グリーンウォールド)。

 グリーンウォールドによると、Oracle Database Cloud Serviceでは、ユーザーはデータベースのインストール、構成、管理をおこなう必要はない。だが、Oracleデータベースのデータ操作、およびアクセス機能をフルに利用できるという。「Oracle Database Cloud Serviceでは、データベース管理サービスがプラットフォームの一部として提供されます」とグリーンウォールドは語り、「ユーザーは、データベースをバックアップする必要はまったくありません。ユーティリティと同じように、そうした作業は任せきりにできるのです」と付け加える。

オンプレミスとクラウド2つの方法

 創業12年の教育ソフトウェア会社キャンパスITは、有力ソフトウェア・ベンダーとその顧客が、いかにクラウド・コンピューティングへ移行しているかを示す典型的な例といえる。アイルランドのダブリンに本社を置くキャンパスITは、アプリケーション・スイート「Quercus」を、オンプレミス展開が可能な従来型ライセンスで、SaaS型クラウドサービスとして販売している。

 「Quercusは、学生が大学に入学してから卒業するまでを包括的にカバーします」とキャンパスITのCTO*4、ジャン・ナブラティル氏は説明する。「多くのお客様にとって、ミッションクリティカルなアプリケーションです」(同氏)。


「Oracle Database Cloud Serviceは、Amazon EC2のような汎用的なクラウドサービスよりもはるかに上位のレベルで動作します」と語る、キャンパスITのCTO、ジャン・ナブラティル氏。「Oracle Database Cloud Serviceでは、多くの管理作業が不要になります」(同氏)。

「セルフサービスという要素によって、製品やお客様に付加価値を提供するための活動に注力できるようになりました」

キャンパスIT CTO
ジャン・ナブラティル氏

 QuercusはOracleデータベースを基盤に構築されており、学生募集、願書処理、授業料管理、入学、試験、卒業、さらには卒業生管理にまで対応する統合モジュールが提供されているため、学生とのやり取りもシンプル化される。現在、Quercusは約30の顧客(大学、専門教育および資格認定機関)を支援している。これらの顧客はQuercusを介して欧州と中東で45万人の学生をサポートしている。

 2008年までキャンパスITは、Quercusを従来型のオンプレミス製品としてのみ販売していた。しかし同年、英国のアプリケーション・サービス・プロバイダーを利用して「Quercus on Demand」を投入すれば、顧客サービス向上と市場拡大につながると判断。Oracle Application Expressを使って、既存のオンプレミス・ソフトウェアをWebインタフェースから利用できるようにした。Oracle Application Expressは、Oracleデータベース用の、きわめてスケーラブルなWebアプリケーションを迅速に構築できるソフトウェア開発ツールである。

 「概してお客様は、10年前よりもはるかに多くの課題に直面しており、当社のような商用ベンダーの力を借りようとしています」とナブラティル氏は話す。「このため、より高いパフォーマンス、より堅牢なシステムに対するニーズが高まっており、学生がこうした学務システムをいつ、どこで、どのように使えるようにするのかについての新たな期待にもつながっています」。

 こうしたニーズを踏まえ、多くの顧客がクラウド・コンピューティング・ソリューションに目を向けている。コストを低減しながらパフォーマンスへの期待に応え、学生がデスクトップやノートPC、スマートフォン、タブレットのいずれからでもシステムにアクセスできるようにするためだ。

 キャンパスITは2010年にAmazon Elastic Compute Cloud(以下、Amazon EC2)を利用して、Quercus on DemandをSaaSとして再リリースした。さらに2011年には、Oracle Database Cloud Serviceの提供開始を受け、Amazon EC2からこのサービスに移行した。「創業当初から、オラクル製品をベースにしたビジネスを展開しています」とナブラティル氏。「ですからこの移行は、自然なステップだったのです」。

 「Oracle Database Cloud Serviceの利点で明白なのは、Amazon EC2のような汎用的なクラウド・プラットフォームよりもはるかに上位のレベルで動作することです」とナブラティル氏。「Oracle Database Cloud Serviceでは、多くの管理作業が不要です。たとえば、データベース・サーバーとWebサーバー、そしてそれぞれの最適なキャパシティについて考えずに済みます。すべてが融合したかたちで、設計、構築されているからです」。

 「Oracle Cloudのもう1つの魅力は、有力ベンダーによって提供されていることです」(同氏)。「そのお蔭で、『このソリューションは今日も、また明日も、きちんと機能するだろうか』という不安を軽減してくれます。完全に管理されているため、お客様も当社もとても助かっています」。

 ナブラティル氏によると、ソフトウェアスタック全体が標準ベースであることも、Oracle Database Cloud Serviceの利点だという。「ロックインは、当社もお客様も避けたいことの1つです」と同氏は説明する。「Oracle Database Cloud Serviceは標準ベースであるため、キャンパスITがそうであるように、影響を最小限に抑えながらサービスの利用を開始したり終了したりできるのです。これは当社にとってだけでなく、お客様にとってもとても重要なことです」。

 キャンパスITではOracle Cloudの利用が拡大している。現在同社のスタッフも、社内ソフトウェアの開発と品質保証(QA)にOracle Database Cloud Serviceを利用している。Oracle Social Network Cloud Serviceの追加導入も検討中だ。

 「学生ライフサイクル管理ソリューションのおもな課題の1つは、さまざまなグループ、すなわち学生、教師、職員間の、効果的な協力関係を促進することです」とナブラティル氏は説明する。「グループによって、好まれるコミュニケーション方法も異なる傾向にあります。Oracle Social Network Cloud Serviceで提供されるような安全なソーシャル・ネットワーキング機能と従来のEメール、SMS*5、テキストを組み合わせることで、“デジタルネイティブ世代”に積極的なかかわりを促すことができます。そうなれば、学生の入学志願率や定着率も向上するでしょう」。

 「Oracle Cloudを利用することでお客様は業務に集中できます。また当社も、インフラに悩まされたり、社内に大勢のDBA*6やサーバーマシンを置いたりすることもなく、ソフトウェア・プロバイダーとしてのソリューション開発に取り組むことができるのです」とナブラティル氏は付け加える。「セルフサービスという要素によって、製品やお客様に付加価値を提供するための活動に注力できるようになりました」。

クラウドに特化してビジネスを展開する

 インテリビデオは、米国コロラド州デンバーに本社を置く創業1年の新興企業だ。顧客は同社のビデオ・サービス・プラットフォームを利用することにより、講演や研修コースといった既存のデジタルビデオ資産を収益化することができる。2012年4月に設立されたインテリビデオは、クラウド・コンピューティングが可能にする新しいビジネスモデルの好例といえるだろう。

 「当社はオンデマンド・ビデオのプラットフォームとして、お客様のビデオ映像がどのデバイスでも、そして、いつ、どこでも再生可能にするサービスを提供しています」と、インテリビデオの共同創業者でCTOのブラッドリー・ブラウン氏は説明する。「当社のプラットフォームは、お客様の大切なコンテンツを保護し、誰かが映像をダウンロードして10万人の“親友”にEメールで配布するような事態を防ぎます」。

インテリビデオの共同創業者でCTOのブラッドリー・ブラウン氏は、「Oracle Database Cloud Serviceのお蔭で、IT環境の運用管理に煩わされることなく、当社のビジネスとお客様のビジネスの価値の向上に注力できています」と話す。

 インテリビデオを立ち上げる前ブラウン氏は、別の新興企業を経営しながら、Oracleデータベースなどのオラクル製品の講師やトレーナーを、長きにわたり務めていた。同氏がインテリビデオの着想を得たのは、自身のトレーニングビデオを、収益を生む資産に変える方法を探していたときのことだ。「私はAppleやAndroidのオンライン・アプリ・ストアの成功に触発され、それがビデオコンテンツから収益を得るためのモデルになるかもしれないと考えました」(同氏)。

 インテリビデオの顧客とその顧客にとって、同社は提供サービスをすべて自社で手がける総合的な1つの企業に見える。そのサービスは、顧客のビデオ配信を裏方として支えるものであり、顧客が独自のブランド、ロゴ、画面イメージを使うこともできるようにしている。しかしインテリビデオのサービスは実際、複数の独立企業による一連のサービスから構成されている。それらはすべてインターネットでリンクされているため、同社が一手にサービスを提供しているように見えるというわけだ。「当社のお客様とそのお客様である利用者には、彼らが利用しているサービスが、提供元から直接提供されているのではなく、外部サービスを利用して提供されているとはまったく気づきません」と同氏は語る。「多くのお客様には、画面に『Powered by InteliVideo』(サービス基盤提供:インテリビデオ)というクレジットが表示されないからです」。

 以前に経営していたある新興企業でブラウン氏とパートナーは、Oracleデータベースとサーバーファームを独自に購入、構築し、メンテナンスした。しかしそれは多大な時間を要するプロセスで、主要課題から注意がそがれてしまった。

 「インテリビデオを始めるとき、私は、すべてを自分たちで手がけることは意味をなさないと悟りました」とブラウン氏は説明し、このことを示す最たる例だとして同社のビデオ配信基盤サービスに言及した。

 「ビデオの保管、トランスコーディング、配信は、多額のインフラ投資と管理への継続投資が必要な、利幅の薄いコモディティ事業です」とブラウン氏は語る。「また、信頼性の高いデジタルビデオ配信サービスプロバイダーがすでにいくつかあるため、同じサービスを手がける意味はありませんでした。その代わりに、このサービスのために既存ベンダーと契約しました」。

 さらに同社は、Oracle Database Cloud Serviceを契約した。「そのお蔭で、IT環境の運用管理に時間とお金を費やすのでなく、当社のビジネスとお客様のビジネスの価値を高める施策に注力できています」(ブラウン氏)。

 同氏はこう続ける。「インテリビデオは実際、『顧客は誰か』、『顧客の顧客は誰か』、『ビデオはどこに置かれているか』、『顧客はどのくらいの時間ビデオを観られるか』といった情報の、大規模なメタデータ・リポジトリに有効な技術です。当社は、『誰が、何を、どこで、いつ、なぜ観るのか』ということを追跡し続けているのです」。

 Oracle Cloudを利用する前は、アマゾン・ドットコムのクラウド・コンピューティング・サービスを利用していたというブラウン氏は、「アマゾンにはがっかりした」という。「すべて自力でこなさなければならないという感じでした。これに対しOracle Cloudでは、オラクルという組織全体がバックについていてくれると感じます」。

 「または、オンデマンドでスケールアップも可能です」と同氏は付け加える。「ときどき発生する処理要求の急増に備えて余分なサーバーを社内に抱え、遊休状態で待機させておく必要はありません。そうした要求の変化にはOracle Cloudがすべて対応してくれます。われわれは関与せずに済むわけです」。

 ブラウン氏は、インテリビデオの新しいITインフラの購入、構築、メンテナンス(キャパシティ・プランニングを含む)の責任がなくなったことを残念だとは少しも思っていない。「Oracle Cloudに移行したことで、こうした問題から解放されました」とブラウン氏。「IT環境の運用管理に煩わされることなく、事業運営とビジネス価値の向上に注力できています」。

 「利用していて一番驚かされるのは、オラクルという名前が見込み客に与える信頼感です」とブラウン氏は話す。「当社のサービスがOracle Cloudで運用されていると伝えると、当社のIT能力に対するお客様の疑問は消え去ってしまうのです」(ブラウン氏)。「オラクルという名前には、それほどまでに信頼が寄せられているのです」。

*1 Infrastructure as a Service:ITの稼動に必要な機材や回線などのインフラを、インターネット上のサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの
*2 Platform as a Service:ソフトウェアを開発・実行するプラットフォームがネットワークサービスとして提供される形態
*3 Software as a Service:ユーザーに対して、インターネット経由でアプリケーションの機能を提供するサービス
*4 Chief Technology Officer:最高技術責任者
*5 Short Message Service:携帯電話同士で数十文字の短い文字メッセージを送受信するサービス
*6 Database Administrator:データベース管理者

クラウド化のさまざまなアプローチに対応

 企業がこぞって導入を進めるクラウド。ITオペレーションを従来のホスト中心型コンピューティング・モデルから移行しようとしている場合も、新しいビジネス要件やサービスに対応したシステムを新たに立ち上げようとしている場合も、Oracle Cloudは、目的達成への近道になる。

 「われわれは2011年にOracle Cloudアーリー・アクセス・プログラムに参加しました。オラクルのプロダクトチームの協力を得て、既存コードベースの移行をできるだけ容易にすることを目指しました」とキャンパスITのCTO、ジャン・ナブラティル氏は話す。同社はアイルランドのダブリンに本社を置く教育ソフトウェア会社だ。「われわれのコードのほとんどは、Oracle Cloud上での展開がうまくいきましたが、Oracle Application Expressを使って、PL/SQLコードの一部に手を加えました。おもに統合APIを、RESTful対応のWebサービスとして標準化したのです」。

 REST(Representational State Transfer)は、広く普及したWebサービス設計モデル。異なるサービス間の疎結合を可能にすることで、Webサーバー間のトランザクションを実現する。「当社のオンプレミス製品の顧客もこの技術を利用しています」とナブラティル氏は付け加える。

 米国のビデオ配信プラットフォーム・サービス・プロバイダー、インテリビデオも、Oracle Application Expressを利用して、Oracle Cloudベースの同社のサービスを顧客ごとにカスタマイズしている。「お客様によっては、配信のみ、決済サービスのみ、あるいは販売分析とインテリジェンス・サービスのみを委託したいというケースもあります」と、インテリビデオの共同創業者でCTOのブラッドリー・ブラウン氏は話す。「逆に、配信や販売、ソーシャル・マーケティング、課金、決済処理、料金回収、販売分析などをすべて一括して任せたいというお客様もいらっしゃいます」。

Oracle Cloudとは?

 Oracle Cloudは、アプリケーション、ソーシャル、プラットフォーム、インフラといった業界標準ベースの統合された幅広いサービスのセット。サブスクリプション料金で提供される。これらのサービスはすべてオラクルによって完全に管理、ホスト、サポートされている。予測可能なサブスクリプション料金モデルにより、Oracle Cloudはビジネスユーザー、開発者、管理者に、即時に価値と生産性をもたらす。また、複数のサイロ化したパブリッククラウドを使うことで発生するデータとビジネスプロセスの断片化を防止する。

 Oracle Cloudは、Oracle ExadataやOracle Exalogicなど、エンタープライズグレードの主要なエンジニアド・システムを基盤としている。基幹ビジネス・アプリケーションを運用するためのハイパフォーマンスで信頼性の高い安全なソリューションを提供する。また、ビジネスユーザーと開発者向けに使いやすいセルフサービス機能も実現している。これらにより、ビジネスユーザーはアプリケーションの注文、構成、拡張、監視を、また開発者と管理者は、アプリケーションの開発、展開、監視、管理を、それぞれすぐにおこなうことができる。

SNAPSHOTS

キャンパスIT
campusIT.net

本  社:アイルランド ダブリン
業  種:ソフトウェア、およびサービス
オラクルの製品とサービス:Oracle Database Cloud Service、
Oracle Application Express

インテリビデオ
intelivideo.com

本  社:米国コロラド州デンバー
業  種:メディア、およびエンターテインメント
オラクルの製品とサービス:Oracle Database Cloud Service、Oracle Application Express

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