【オムロン株式会社】最新FAコントローラの開発プラットフォームにJavaを採用 シンプル・確実・高速にデータベースと接続


最新FAコントローラの開発プラットフォームにJavaを採用
シンプル・確実・高速にデータベースと接続

オムロン株式会社(以下、オムロン)の事業の1つ、制御機器、およびファクトリーオートメーション(FA)システム事業を運営するインダストリアルオートメーションビジネスカンパニーは、FA用コントローラからセンサー、スイッチ、リレー、セーフティ機器まで、10万仕様を超える製品を提供。制御機器の分野において約40%という国内トップシェアを誇っている。さらなる競争優位性向上を目指して同カンパニーは、Sysmacマシンオートメーションコントローラ「NJシリーズ」のデータベース接続プラットフォームとして「Java Platform, Standard Edition(Java SE)」を採用した。

オムロン株式会社
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
コントロール事業部
第1事業推進部 事業推進1課
主査
岡 実

オムロン株式会社
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
オートメーションシステム統轄事業部
Sysmac推進センタ アーキテクチャ開発部
経営基幹職
栗林 博

世界80カ国でものづくりを支援
品質向上とコスト削減を目指す

 「企業は社会の公器である」という企業理念に基づき、2020年に向けた長期経営ビジョン「Value Generation 2020」を策定し、よりいっそう高い企業理念の実践に取り組んでいるオムロン。「既存事業の最強化」「新興国市場での成長」「最適化新規事業の創出」という3つの基本戦略により、2020年度に売上高1兆円以上、営業利益1,500億円以上、営業利益率15%を目指している。

 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーでは、多様化する製造現場の経営課題を解決することを目的に、「品質」「安全」「環境」というテーマで独自のセンシング&コントロール技術を推進。国内はもちろん、欧州、北米、アジア、中国など、世界80カ国で「ものづくり革新」を支えている。

 オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー コントロール事業部 第1事業推進部 事業推進1課 主査の岡 実氏は、次のように語る。「グローバル市場における競争優位性を確立しながら、安心、安全な仕組みを実現するためには、国際標準に準拠したオープンな技術を製品開発に積極的に採用し、品質向上とコスト削減を両立できる仕組みをお客様にお届けすることが必要です」。

 その一環として、2011年7月に発表したSysmacマシンオートメーションプラットフォームの核となるコントローラ「NJシリーズ」(以下、Sysmac)に、データベース接続のための機能を搭載。品質管理やトレーサビリティの実現という顧客ニーズに応えているが、よりいっそうの高速化と効率化が求められていた。岡氏は、「“シンプルに、確実に、高速に”コントローラとデータベースを接続し、情報化コストの削減と生産システムの高速化を図ることが必要でした」と語る。

SysmacとデータベースをPCで接続
PCの性能が課題に

 Sysmacは開発当初から、業界標準に準拠することでFA機器の進化に即応するというメッセージを強く打ち出してきた製品だ。岡氏は、「Sysmacは、業界最高速を自負しているマシンオートメーションコントローラです。一般的にはPLC(Programmable Logic Controller)と呼ばれる分野の製品ですが、オムロンでは“マシンオートメーションコントローラ”と呼んでいます」と話す。

 そうした呼び方をする理由として、一般的なPLCとオムロンが開発するマシンオートメーションコントローラには、製品のコンセプトに違いがあるからだと同氏はいう。一般的なPLCは、プログラムで定められた順序や条件などに従って設備や機械の動きを制御することを目的としているが、マシンオートメーションコントローラは、機械の構築に必要な多くの制御機器を1つにつなぎ、1つのソフトウェアで制御することで機械全体を統合的に制御することを目的としているのが特長だ。

 このSysmacをデータベースと接続したいというニーズがあり、2011年7月にSysmacを発表。当初はコントローラとデータベースの間にPCを設置することでデータベース接続がおこなわれていた。

 オムロン株式会社のインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー オートメーションシステム統轄事業部 Sysmac推進センタ アーキテクチャ開発部 経営基幹職の栗林 博氏は次のように語る。

 「Sysmacとデータベースを接続する目的は達成できましたが、Sysmacとデータベースの間に制御用のPCがあるため、PCを動かすプログラムを開発しなければならない、PCがオーバーヘッドになり処理のスピードが低下する、接続ポイントが増えることで障害の発生率が高くなるという、3つの課題がありました。そこで、Sysmacとデータベース間を直接接続し、シンプルな構成にすることが必要でした」。

フットプリントでJavaを採用
JDBCによるデータベース接続も高く評価

 オムロンでは2012年春より、Sysmacとデータベースを直接接続するための仕組みの検討を開始。そのためのプラットフォーム技術として、Java SEを採用することを決定した。その後、システムの開発に着手し、2013年4月よりJava SEを搭載したSysmacの提供を開始している。

 Java SEを採用した理由を栗林氏は、次のように語る。「SysmacはPCのように大容量のメモリやストレージを搭載しているわけではなく、Javaのように小さいフットプリントで動作することが必要でした。またJDBC*1を利用することで、データベースの専門知識がなくても、お客様が使い慣れたデータベースを使用できます」。

 オラクルのサポート体制について栗林氏は、「PCとは違うアーキテクチャであるため、Sysmacに最適化されたJava SEの開発を依頼しました」と話している。

JDBCの利用で開発効率を20%向上
プロトタイピングも高く評価

 Java SEを採用した効果を栗林氏は、次のように語る。「PCでプロトタイプ開発ができたことは大きな利点でした。これにより、SysmacにJava SEを移植する前に性能要件などを評価することができ、短期間で高品質のシステム開発が可能になりました。このときクロスプラットフォーム開発ができるのも、とても便利だと感じました」。

 岡氏はJava SEの採用メリット、およびSysmacの優位性について次のように語った。「JDBCで直接データベースに接続できるようになったため、通信ネットワーク対応の開発効率が約20%向上しています。また競合製品の多くは、コントローラとデータベースの間にゲートウェイ用のPCを設置するタイプなので、直接接続できるSysmacには大きなアドバンテージがあります」。

 PCを設置するタイプは、データベース制御用のPCに異常が発生すると生産ラインが止まってしまうため、冗長化やFA仕様のPCを使うなどの工夫が必要だったが、制御用PCが不要になることでコストメリットも期待できる。「この点は、Sysmacの導入を検討しているお客様から高く評価されています」と岡氏は付け加えた。

 さらに同氏は、「Java SEを搭載したSysmacが、期待以上の性能を発揮したことを高く評価しています。競合製品との性能差は試算しにくいのですが、従来の当社PLCと比べて10倍以上の高速化が実現しました。今後もチューニングを続け、よりいっそうの高速化を目指していきたいと思っています」と語った。

*1 Javaプログラムからデータベースにアクセスするための標準API

Sysmacは、オムロン株式会社製FA機器製品の日本、およびその他の国における商標または登録商標です。

P R O F I L E

オムロン株式会社
業  種:制御機器・FAシステム、電子部品
従業員数:単体:4,245人 連結:3万5,992人
資本金:641億円(2012年3月31日)
売上高 :6,195億円(2011年度)
おもな事業内容:「Sensing Tomorrow」というコーポレートステートメントに基づき、制御機器・FAシステム事業、電子部品事業、車載電装部品事業、社会システム事業、健康医療機器・サービス事業、環境関連機器・ソリューション事業、組み込みシステム・PC周辺機器事業を展開している。

(本事例の内容は2013年4月のものです)

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