包括的なクラウドサービスがビジネスを加速する~高度な性能、柔軟性、信頼性を兼ね備えた「Oracle Cloud」の真価~

ビジネス環境の変化がますます激しさを増すなか、柔軟で俊敏性に富んだIT環境を低コストで利用できるというメリットを背景に、「クラウド」の導入に舵を切る企業が急速に増えている。そうした状況にあって、2013年4月9日、オラクルのクラウドソリューションの全容を一挙に紹介するワールドツアーの一環として、東京・六本木のグランド ハイアット 東京において「Oracle CloudWorld Tokyo 2013」が開催された。サンフランシスコからの衛星中継でおこなわれたオラクル・コーポレーション CEO、ラリー・エリソンの基調講演では、オラクルが提供する「Oracle Cloud」のサービスの特長を中心に、オラクルのクラウドに対する取組みの全容が紹介された。
オラクル・コーポレーション CEO ラリー・エリソンの基調講演は、クラウドのテクノロジーを活用したビジネス変革をテーマに、米国サンフランシスコからライブ中継でおこなわれた

クラウドが企業のIT活用に“パラダイムシフト”をもたらす

 企業のビジネス変革、イノベーションの創出を支えるものとして、IT活用への期待が大きな高まりを見せている。とくに昨今、ITの世界では「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」「ソーシャル」の4つの構成要素が相互に連携する、メインフレーム、クライアント・サーバーに続く「第3のプラットフォーム」の登場を背景に、“パラダイムシフト”といえる状況が現出している。なかでも、今日のエンタープライズITにおいて、もっとも広範かつ強力なインパクトをもたらしているのが「クラウド」にほかならない。

 クラウドの世界では、あらゆる種類のITサービスが、インターネットというグローバルネットワーク経由で提供される。アプリケーションをはじめ、データベースなどのミドルウェア、さらにはサーバーやストレージなどのインフラまでがサービスとして提供され、ユーザーは、PCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスでアクセスし、それらを利用することができる。

 「クラウドは、たとえば電力やガス、水道といった公益サービスと同様、ユーザーがオンデマンドで、シンプルなインタフェースを通じて、必要なときに必要なだけ利用できるという“ユーティリティモデル”を、ITの世界で実現するものだといえます」とラリー・エリソンは語る。

 そこでは、電力事業者が発電のために構築している複雑な機構やプロセスを消費者が知る必要がないのと同様に、ユーザーはサービスを提供するプロバイダー側のデータセンターに置かれたシステムの詳細を、一切知る必要がない。ハードウェアやソフトウェアへの投資やシステム運用の負荷もなく、使用量に応じた従量制の料金を月額で支払うだけで、自社にとって必要なサービスを利用することができる。クラウドは、エンタープライズITに、まさに“パラダイムシフト”をもたらしているわけだ。

SaaS、PaaS、IaaSをカバーした包括的なサービスを提供

 こうしたなかオラクルでは、ハードウェアからソフトウェアに至る、先進的なテクノロジーを駆使した「Oracle Cloud」を提供。クラウドの分野においても、お客様にオラクルならではの高い価値を提供していこうとしている。Oracle Cloudの大きな特長は、クラウド・コンピューティングにおける3つのレイヤー、すなわちSaaS*1、PaaS*2、IaaS*3のすべてをカバーした、包括的なサービスであることだ。

 SaaSに関しては、ベスト・オブ・ブリード、かつエンタープライズ・グレードのさまざまなアプリケーション製品の機能を、クラウド上のサービスとして提供。その数は100種類以上に上り、人事管理や人材管理、財務管理、営業&マーケティング、調達・ソーシング・在庫管理から、プロジェクト管理、ガバナンス・リスク・コンプライアンス関連に至るあらゆる業務を網羅。大手エンタープライズ向けだけではなく、中小企業向けのサービスも豊富にラインアップしている。

 「これだけの包括的なアプリケーション・サービスを提供しているのはオラクルだけ。これらアプリケーション群は、ビジネスの各領域におけるニーズに応じて統合されたスイートとしても提供されています。お客様はそれらを導入することで、迅速に必要なソリューションを実現することができます」とエリソンは紹介する。

 たとえば、Webやソーシャル・ネットワーキング・サービス、コンタクトセンターなどあらゆるチャネルを介したコンタクトにおいて顧客のエクスペリエンス向上を実現するための一連のサービスで構成される「Oracle Customer Experience Cloud」などは、そうした統合化されたクラウドスイートの典型例だ。このように断片化されたツール群ではない、完全なスイートのかたちでアプリケーションの機能を提供していることがOracle CloudにおけるSaaSの注目すべきポイントとなっている。

業界標準技術に基づく開発がお客様にさまざまなメリットを提供

 また、Oracle Cloudのアプリケーションには、FacebookやTwitterといったソーシャルメディア上での投稿をモニタリングすることによって顧客に対する理解を深め、ビジネス上の意思決定の改善や、顧客との関係性強化に貢献する「Oracle Social Relationship Cloud」、あるいはBI(ビジネス・インテリジェンス)機能なども組み込まれている。つまり、ただ単にトランザクションを支援しているというだけではない。「たとえば、BI機能に関していえば、顧客がWeb上で商品をオーダーし、購入するというプロセスをサポートしながら、そこで仮に顧客が購入、あるいは閲覧した商品を見て、それに関連する他の商品をレコメンドするといった仕組みもあわせて提供しているわけです」とエリソンは説明する。

 そのほか、Oracle Cloudのアプリケーションには、PCのブラウザに加え、スマートフォンやタブレットなど、スマートデバイス上のブラウザからのアクセスも可能となっており、今日、ますます加速するビジネスのモビリティのニーズに応えている。

 一方、Oracle Cloudのアプリケーションにおいてとくに重要な特長となっているのが、すべて業界標準の技術に基づいて開発されていることである。オラクルでは長年にわたり、一貫して業界標準、オープンにこだわりさまざまな製品を生み出してきた。Oracle Cloudでもプログラム言語にはJavaを用い、データベースやその他のミドルウェアなどもすべて業界標準のものがアプリケーション開発のベースとなっている。また、すでに述べたスマートデバイスなどへの対応に関しても、HTML5といった業界標準をいち早く採用することで、Webやモバイル環境に最適化された、リッチなインタフェースを実現している。

 「この点は、他のクラウドプロバイダーに対してオラクルが有している明確なアドバンテージです。業界標準に基づかない独自技術の採用は、結果的にユーザーをプロバイダーやベンダーによるロックインに追い込んでしまい、システムの拡張性やコストなどの面で多大なデメリットを被らせるものだといえます」とエリソンは強調する。オラクルでは今後のクラウド・アプリケーション開発にあたっても、ブレることなくそうした業界標準に基づく技術を採用して開発を進めていくことになる。

サービス連携技術としてSOAを採用
統合を簡素化

 Oracle Cloudで提供されるPaaSでも、一貫して業界標準の技術に基づくプラットフォームが用意されている。たとえば、クラウドでアプリケーションを活用する際には、ビジネスや業務のニーズに応じて、他のアプリケーションと柔軟に統合、連携することが必要なケースも多い。Oracle Cloudでは、そうしたアプリケーション統合をおこなうための技術としてSOA(サービス指向アーキテクチャ)を採用しているが、いうまでもなくSOAは、業界標準に基づくサービス連携の技術である。

 アプリケーション間の統合に関しては、あるアプリケーションの連携対象となる相手のアプリケーションが、クラウド上にある場合もあれば、お客様側のデータセンターのオンプレミス環境で稼動しているケースもある。SOAの採用により、そうしたアプリケーションの稼動場所を問わず、統合を簡素化していくことができるわけだ。

 そのほか、クラウド上のアプリケーションを拡張して、たとえばカスタムな帳票機能など、新たな機能を追加したいというニーズもあるだろう。そうしたお客様に向けてOracle Cloudでは「プラットフォーム・サービス」を提供。その活用により、お客様が必要とするエンタープライズ・クラスのビジネス・アプリケーションを素早く、そして効果的に開発できるようになっている。もちろんその際にも、アプリケーション開発で用いたJava言語やOracleデータベースを使って拡張をおこなうことになる。

高い自由度とともに万全のセキュリティを担保

 Oracle Cloudにおいて強調すべきポイントとなっているのが、アプリケーションの構築やテストをお客様のデータセンターにあるコンピュータ上でおこない、それをクラウド環境に透過的に展開、実行できるということだ。その際、お客様はアプリケーションコードを1行たりとも変更する必要はない。

 「クラウドで稼動しているアプリケーションを必要に応じて取り出し、それをお客様のデータセンター内のコンピュータで動かすことも可能です。このように、高い自由度を提供していることは、ほかのクラウドプロバイダーにはない、オラクルならではの利点です」とエリソンは語る。

 その延長線上では、定常時にはシステムの本番稼動をお客様のデータセンターにおいてまかない、並行してオラクルのデータセンターで稼動するOracle Cloud上に同じシステムをバックアップとして展開しておくことで、たとえば災害や停電の発生などの際に、Oracle Cloudに本番のサービスを切り替えてリカバリ運用することもできるようになっている。これは、昨今企業経営における最重要テーマの1つとして挙げられるBCP(事業継続計画)のニーズにも応えるものだ。

 Oracle CloudのPaaSはマルチテナント対応だが、単一のデータベースのなかに複数の企業のデータを共存させているわけではない。各社のデータは完全に分離して管理されるかたちとなっているため、セキュリティにおいて高い信頼性が約束される。データの完全分離は、サービスのアップグレードにおいても、お客様への便宜を提供することにつながっている。ユーザー企業は、サービスプロバイダーであるオラクルのロードマップではなく、自社のスケジュールに合わせ任意のタイミングで、新バージョンへのアップグレードをおこなうことができるのだ。

卓越した性能と信頼性を備えたインフラがサービスの根幹を支える

 そして最後に、IaaSに関してだが、Oracle Cloudが提供するクラウドサービスを支えるインフラにはすべて、ハードウェア、ソフトウェアの技術を最適なかたちで融合することで、きわめて高度なパフォーマンスと信頼性、セキュリティを実現するエンジニアド・システムズ製品を採用している。具体的には、データウェアハウスやオンライン・トランザクション処理に最適化された「Oracle Exadata Database Machine」(以下、Oracle Exadata)、アプリケーション実行基盤「Oracle Exalogic Elastic Cloud」(以下、Oracle Exalogic)、超高速データ分析を実現する「Oracle Exalytics In-Memory Machine」(以下、Oracle Exalytics)、そして汎用処理に対応する「SPARC SuperCluster」がこれにあたる。

 エンジニアド・システムズでは、筐体に組み込まれたストレージ、サーバーの間、機器間のデータ転送に、スーパーコンピュータのネットワークスイッチに採用されてきた超高速ネットワーク・インタフェースInfiniBandを採用。システムを構成するコンポーネントについてもすべて並列化することで、InfiniBandの高速データ転送のメリットを最大限に引き出している。

 並列化アーキテクチャの採用は、性能面だけではなく、“Single Point of Failure”の回避も可能にしており、システムの耐障害性、高可用性の担保にも大いに貢献している。なお、信頼性に関しオラクルでは、Oracle Cloudに万一障害が発生した場合にも、15分以内に復旧する旨をお客様に対して確約している。

 「卓越した処理性能で高く評価されているインフラの採用は、アプリケーションの処理速度を10倍、20倍と大幅に向上していることに加え、サービスを利用するお客様のコストメリットにもつながっています」とエリソンは強調する。これらのシステムは、その劇的な高速さゆえ、単一のマシンで何百社というお客様のシステムを稼動させることができ、そのスケールメリットがお客様のコストダウンにつながるというわけである。

 また、Oracle Cloudが提供する各サービスに共通しているのが、簡単な操作で必要なITリソースをいつでも利用できるということだ。インターネットに接続してアクセスし、プロファイル登録をおこなう。そして、どのアプリケーションを使いたいか、どれくらいの大きさのデータベースが必要かといった内容をニーズに合わせて指定すれば、セルフサービスによってその内容に沿ったプロビジョニング*4を完全自動でおこなえるようになっている。これにより、お客様は即座にサービスの運用を開始することができる。

企業のファイアウォール内にOracle Cloudを構築する

 ここまで、パブリッククラウドのサービスを中心にOracle Cloudを紹介してきたが、オラクルでは、お客様が自社のデータセンターで運用するプライベートクラウドの構築にかかわるサービス「Oracle Private Cloud」の提供もおこなっている。お客様はOracle ExadataやOracle Exalogic、Oracle Exalytics、SPARC SuperClusterを自社で購入する必要がなく、すべてオラクルが調達し、ニーズに応じてシステムのセットアップをおこない、運用するスキームを提供していることだ。ユーザーのファイアウォールのなかに、Oracle Cloudを構築するイメージだ。

 Oracle Private Cloudでは、Oracle CloudのSaaSで提供しているアプリケーションだけでなく、お客様固有のカスタム・アプリケーション、ミドルウェアをプライベートクラウド環境で実行することが可能だ。ユーザーはそれをパブリッククラウドと同様に、従量課金制の月額料金で利用することができる。

 ユーザーが保持するデータのなかには、セキュリティやコンプライアンスの観点から、外部のデータセンターで運用できないものも少なくない。そうしたケースでも、自社のデータセンター内で運用するOracle Private Cloudのアプローチなら、セキュリティなどの問題も難なくクリアできる。

 「機密性の高いシステムをプライベートクラウドで運用し、それ以外のシステムをパブリッククラウドで展開することも可能です。お客様の要件に沿った柔軟な選択肢を提供していることも、Oracle Cloudの重要なポイントです」とエリソンは強調する。

 Oracle Cloudの提供を通じてオラクルでは、お客様のビジネスをITの側面からさらに強力に支援。企業の競争力強化に大きく貢献していくことを目指している。まさに、「もっとも包括的で、もっとも柔軟性があり、もっとも信頼性が高い」Oracle Cloudに、ぜひ注目してほしい。

*1 Software as a Service:ユーザーに対して、インターネット経由でアプリケーションの機能を提供するサービス
*2 Platform as a Service:ソフトウェアを開発・実行するプラットフォームがネットワークサービスとして提供される形態
*3 Infrastructure as a Service:ITの稼動に必要な機材や回線などのインフラをサービスとして利用できるようにしたもの
*4 ネットワークやコンピュータの設備などのリソースを、必要になったときにすぐに利用できるよう準備しておくこと

クラウドを人類最大の資産に――「Oracle CloudWorld Tokyo 2013」で孫 正義氏が語った、ITの未来

 基調講演の後半ではラリー・エリソンに続き、国内最大規模のオラクルユーザーとして知られるソフトバンク株式会社 代表取締役社長の孫 正義氏が登壇。エリソンと個人的な親交もある孫氏は、衛星中継でスクリーンに映し出されたエリソンとひとしきり談笑し、アップルの故スティーブ・ジョブズ氏と孫氏のそもそもの出会いをコーディネイトしたのが、ほかでもないエリソンだったというエピソードを披露した。そして今後、ITの世界を牽引していくプレイヤーとして、ソフトバンク、オラクルが果たすべき役割の重要性を確認し、互いにエールを交換し合ったのち、講演を開始した。


「オラクルとソフトバンクは“情報革命の同志”」と、衛星中継でエリソンと会話を交わす、ソフトバンク株式会社 代表取締役社長の孫 正義氏

 孫氏はその冒頭で、自社が2010年に発表した「ソフトバンク 新30年ビジョン」でも述べられている「クラウドを人類最大の資産にしたい」との思いを強調。まず、30年後に予想されるITの姿に言及した。

 孫氏によると、その世界では、人間の脳細胞の10万倍にも相当するトランジスタ数をもつCPUを搭載したスマートデバイスがビジネスや日々の暮らしにおいて活用されるほか、衣類や家電製品、自動車など、あらゆるものにチップが搭載され、そこから上がるライフログがクラウド上に蓄積されることになるという。そうしたなかで、まさに無限大のデータが、クラウドに集められ、無限大の速度のネットワークでやり取りされるようになると孫氏はいう。今まさに情報ビッグバンが始まり、30年後の近未来に待ち受けるそのようなITの世界へと、私たちは着実に歩みを進めているわけだ。

 そうしたなか、同社では「アプリ」「ビッグデータ」「ネットワーク」を“クラウドの3大要素”と位置づけながら、各局面での取組みを推進している。とくにビッグデータ活用を巡って孫氏は、グループ会社が構築した、アプリから上がる膨大な通信ログをクラウド上に収集する仕組みを利用して、ソフトバンクモバイルのデバイスの接続可能域の分析に利用しているという事例を紹介。分析を通して、基地局や電波塔の最適な建設場所の選定がおこなえるようになったことで、都市部から山間部に至るあらゆるエリアでソフトバンクがパケット接続率ナンバーワンとなり、顧客サービスの大幅な向上につながっていることを説明した。

 「オラクルとソフトバンクは“情報革命の同志”として、クラウドを『人類最大の資産』とすべく、ともに協力して取組みを進めていきたいと考えます」と孫氏。両社が互いに自らのミッションをしっかりと全うし、クラウド、そしてITの将来に向けた貢献を果たしていくことが重要である旨をあらためて強調した。

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