【MS&ADシステムズ株式会社】プライベートクラウド基盤を構築


SPARC T5サーバーと高可用性を実現するMAA構成で プライベートクラウド基盤を構築

MS&ADシステムズ株式会社(以下、MS&ADシステムズ)は、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社等をはじめとする、MS&ADインシュアランス グループのシステム中核会社として、グループのビジネスを支えるIT戦略を担っている。生命保険ビジネスの成長にともない、代理店などが利用する生命保険契約者情報管理システムのトランザクションは急増中だ。そこでMS&ADシステムズは、IT基盤の更改を提案。可用性や拡張性といった観点で検討の末、サーバーからOS、仮想化、データベースなどでオラクル製品を採用した。その中核をなすのが、SPARC T5サーバーである。

MS&ADシステムズ株式会社
生保ITサービス部 MSA基盤運用グループ
マネージャー
原 淳史郎

MS&ADシステムズ株式会社
生保システム第一部
MSA新契約グループ プランナー
古川 一貴

基幹業務を支え、土・日も稼動 止まることの許されないシステム

 損害保険事業の日本国内での保険料シェアは第1位、国内生命保険マーケットにおいても着実な成長を遂げ、確固たるポジションを確立しているMS&ADインシュアランス グループ。同グループは、2010年4月の発足以来、グループシナジー効果の発揮に向けた取組みを進めてきた。そうしたなか、2011年10月、MS&ADグループ傘下の三井住友海上きらめき生命保険株式会社と、あいおい生命保険株式会社が合併し、三井住友海上あいおい生命保険が誕生した。合併によるシナジー効果は営業面にも表れたようだ。2012年度の保有契約高は前期比11.1%の増加を記録。同年度末時点での保有契約高は約20兆円、契約数は約244万件に達している。

 こうしたビジネスの成長をITの側面から支えているのが、MS&ADシステムズだ。同社の役割について、同社で生保ITサービス部 MSA基盤運用グループ マネージャーを務める原 淳史郎氏は次のように話す。

 「当社のミッションは、安定的かつ継続的に高品質なシステムサービスを提供し、グループ全体最適の観点からグループシナジーに貢献することです。金融機関として事業の継続性はきわめて重要であり、ITには高い可用性が求められます」。

 MS&ADシステムズにおいて、生命保険契約者情報管理システムのIT基盤更改が検討されたのは2012年のことである。同システムは代理店やコールセンター、社内ユーザーにとって業務に欠かせないものだ。同社の生保システム第一部 MSA新契約グループ プランナー 古川 一貴氏はこう説明する。

 「代理店がお客様に対して提案する際の設計書作成や契約の申込み、あるいは保険金などの支払いのための仕組みも備えています。1.5万から2万のユーザーが利用しており、その大半は大手銀行を含む代理店。基幹業務を支え、土曜・日曜にも利用されるシステムです。それを支えるIT基盤には、きわめて高い可用性が求められます」。

 その重要なIT基盤として同社は、SPARC T5-2を核とするオラクルのソリューションを選択。2013年4月に提供が開始されたSPARC T5サーバーの、国内最初のユーザーとなった。

2020年には3倍に 処理量の増大への対応が急務

 現在導入プロジェクトは進行中で、2015年1月に稼動する予定だ。IT基盤の更改の背景について、原氏は次のように語る。

 「2009年に導入した現行のIT基盤は、ハードウェアの老朽化が進んでいました。また、保険契約件数の大幅な伸びにともなって処理量の増加も見込まれ、2020年には2013年の3倍に達すると予想しています。こうした状況に対応するためには、高品質で可用性に優れ、高い柔軟性と拡張性を備えたIT基盤が必要だと判断しました」。

 処理量増加の背景には、今後さまざまなシステムのリリースが予定されていることもある。古川氏は「スマートデバイスへの対応も予定しています。こうした新サービスが登場すれば、契約数の伸びを上回るスピードでトランザクションが増えることは確実です」と語る。

 現行のIT基盤はUNIXサーバー上に構築され、データベースについてはOracle Real Application Clusters(以下、Oracle RAC)で冗長化が図られている。しかし、ストレージはシングル構成のため、ストレージ障害に弱いという課題がある。そこで、ハードウェアの処理能力、および耐障害性の向上などを目指し、次期IT基盤の検討がおこなわれた。最終的にオラクルが選ばれた理由は大きく4つあると原氏はいう。

 「事前検証で実証された高い処理性能、99.9999%の高可用性を実現するMAA*1構成、ビジネスの成長に合わせてIT基盤を柔軟に拡張できること、そして、同一ベンダーによる安心感とトータルでのコストメリットです。最後の点を補足すると、今回はSPARC T5サーバーのほか、OS、仮想化、データベースをすべてオラクル製品としました」。

 ただ、サーバーやシステム構成については、当初別の案が検討されたという。

 「最初に検討した案は、Oracle RACを廃止しハードウェアでクラスタ構成を組むというものでした。しかし、クラスタ切替え用のソフトウェアで独自の開発が発生するほか、切替え時間の点で自信がもてなかったことから、別の構成を考えることになりました。結果としてたどり着いたのが、SPARC T5サーバーをベースとする3面構成のMAAです」と原氏は続ける。

 Oracle Active Data Guard*2により本番データベースを物理バックアップ・データベースに複製する一方、Oracle GoldenGate*3を用いて本番データベースと論理バックアップ・データベースを同期させる。さらに、Oracle RACによる冗長化も実施。単一障害点がなく、高度の可用性を実現する構成だ。

 「こうした仕組みにより、障害検知から数分~数十分程度での復旧が可能になります。事業継続性を確保するうえで、きわめて効果的な構成。高可用性を実現するシステムとして、先進的なものだと自負しています」と原氏はいう。

 また、SPARC T5サーバーと仮想化により、段階的なシステム拡張も容易。当初のシステム要件を高いレベルで満たすクラウド基盤になりそうだ。

クラウド基盤の更改に合わせてサーバーの耐障害性も強化

 さらにMS&ADシステムズでは、同じタイミングでWebサーバー、アプリケーション・サーバーも刷新しようとしている。

 「現行方式は複数のWebサーバーの負荷状態を判断せず、均等にセッションをサーバーに振り分けるというもの。したがって、高負荷のサーバーに振り分ける可能性があり、その場合にはレスポンスに悪影響が出ます。新システムではOracle WebLogic Server 12cとOracle Coherenceを採用し、低負荷のサーバーに自動的にセッションを振り分ける方式に変更します。これにより、サーバーの耐障害性、およびレスポンスの向上が期待できます」(原氏)。

 三井住友海上あいおい生命保険がビジネス成長を加速するうえで、MS&ADシステムズが果たす役割は重大だ。重要なミッションに向き合う同社をパートナーとして支えるため、オラクルは最大限のサポートを提供する考えだ。

*1 Oracle Maximum Availability Architecture:オラクルの開発部隊による実証済みの高可用性技術と、顧客の成功事例に基づいたベストプラクティスのブループリント(青写真)
*2 本番データベースから同期された1つ以上のスタンバイ・データベースに、リソース負荷の高いアクティビティを分散することによって、スタンバイ環境の有効活用を実現するデータ保護機能
*3 異機種データベース間で、ほぼリアルタイムでデータ連携/レプリケーションするための製品。ソースシステムにほとんど負荷をかけずに高速に転送することが可能

P R O F I L E

MS&ADシステムズ株式会社
業  種:情報サービス業
従業員数:1,610人(2012年11月現在)
資本金:1億円
売上高 :118億円(2012年3月)
おもな事業内容:世界トップ水準の保険金融グループであるMS&ADインシュアランス グループで唯一のシステム専門会社。グループ内の保険システム全般にわたる企画・設計・開発・運用を一貫して主導し、グループ各社のビジネスをITの側面から支えている。

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