イノベーションを実践へ導くテクノロジーとソリューションが登場
~Oracle Days Tokyo 2013 REVIEW~

2013年10月22日、23日の両日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京において、「Oracle Days Tokyo 2013」が開催された。テーマは「イノベーションを構想から実践へ。Innovation in Practice」。会期中は7トラックで計74のセッションが実施され、企業によるイノベーションの実践を支える、オラクルの最新テクノロジーや製品、さらに、それらを活用したソリューションや適用事例などが、ユーザー企業やパートナー、そしてオラクルによって紹介された。

Oracle Days Tokyo 2013
イノベーションを構想から実践へ。
Innovation in Practice
会  期:2013年10月22日・23日
会  場:ウェスティンホテル東京

今回のイベントで中心的なトピックとなったのは、2013年9月22~26日に米国サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld San Francisco 2013」で紹介されたオラクルの最新製品、最先端テクノロジーの数々だ。

 「いずれもオラクルがユーザーのビジネスをITの面から支えるため、2004年から累計で約2.9兆円、2013年だけでも約5,000億円の研究開発費を投じて進化させてきた、あるいは戦略的なM&A;によって拡充させてきた、製品ポートフォリオを構成するソリューションです」。会期初日の基調講演に登壇した日本オラクルの三澤 智光はこう紹介する。

 そしてそれらは、ビジネスの拡大や成長を合わせて構築されたレガシーシステムの、クラウドの活用も含めたシンプル化とモダナイゼーション、モバイルデバイスの普及などによる“データ爆発”とその活用、SNSの普及に代表されるビジネスにおける人と人のつながりや行動様式の変化といった、ビジネスとITにかかわる最新のトレンドを踏まえた製品でもある。

リアルタイムなビジネスを支えるインメモリ・テクノロジー

 なかでも大きな注目を集めたのが、最新データベース製品であるOracle Database 12cに追加されるインメモリ・テクノロジーだ。「Oracle Database In-Memory Optionは、インメモリ・テクノロジーの採用によって実現した機能です。そのゴールはきわめてシンプル。データベース・プロセスの劇的な高速化です」。そう紹介するのは、初日の基調講演の壇上に立ったオラクル・コーポレーションのホアン・ロアイザだ。検索処理では100倍、トランザクション処理では2倍の高速化という圧倒的なスピードで、リアルタイムなデータ分析を可能にする。


オラクル・コーポレーション
データベース・
サーバーテクノロジー
シニア・バイスプレジデント
ホアン・ロアイザ

 それを実現しているのが、インメモリ・カラムナー技術だ。データベースには大きくロー(行)型、カラム(列)型のフォーマットがあり、高いパフォーマンスが発揮できる処理が異なる。「これまではいずれかのフォーマットを選択し、もう片方の処理については妥協せざるを得ませんでした。Oracle Database In-Memory Optionでは、インメモリ・カラムナー技術を実装したことで、同一のテーブルを両方のインメモリ・フォーマットで定義できるようになりました。これにより、更新トランザクションと検索パフォーマンスの両方が最適化されます」(ロアイザ)。

 ここで重要なのは、このインメモリ・テクノロジーと、オラクルがこれまで提供してきたOracleデータベースをはじめとする製品や技術との間には、完全な透過性が保たれていることだ。そのため、現在利用しているOracleデータベースをサポートする製品やアプリケーションを改修することなく、この最新テクノロジーによるメリットを手にできる。

ハードとソフトの統合と仮想化でデータベースの新たな世界へ

 Oracle Days Tokyo 2013では、多くの企業がビジネスの拡大や成長に合わせて構築してきたデータベースの、管理における課題の解決策も提唱された。それが、Enterprise Database as a Service(DBaaS)だ。

 これまでデータベースは、個々のアプリケーションやプラットフォームに対して導入する必要があった。こうした個別導入の結果、その数の増加と比例して、企業のハードウェア、ソフトウェアと、その運用に対する投資は増大している。「Enterprise DBaaSでは、データベースも含むハードウェアとソフトウェアを統合、仮想化することで、性能、可用性、セキュリティを向上させながら、管理コストの大幅な削減を実現します」(ロアイザ)。このEnterprise DBaaSを構成するのが、クラウド・アーキテクチャ・プラットフォーム、クラウド・アーキテクチャ・データベース、クラウド・ライフサイクル管理という3つの要素である。

 1つ目のクラウド・アーキテクチャ・プラットフォームとして位置づけられているのは、ハードウェアとソフトウェアを一体開発し、最適なかたちでユーザーへ提供することで、高い性能、信頼性、セキュリティを担保しながら、ITシステムのシンプル化を実現するエンジニアド・システムズの1つ、Oracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)だ。

 Oracle Exadataは、データベース・サーバーとストレージ・サーバーを内蔵する、データベース処理に特化したプラットフォームだ。OLTPやデータウェアハウス、クラウドなどあらゆるデータベース・ワークロードに対応する。「すでにOracle Exadataは、大手企業を中心に数千社にのぼる導入実績があり、導入企業の半数がOLTPとそのほかのワークロードが混在する環境で利用しています。この実績は、Oracle ExadataがEnterprise DBaaSに不可欠な性能要件を満たしたアーキテクチャを備えている証拠です」とロアイザは語る。

 2つ目のクラウド・アーキテクチャ・データベースとなるのが、Oracle Database 12cだ。その最大の特長は、データベース層でのマルチテナントを実現していることだ。1つの物理的なマルチテナント・コンテナ・データベース上で、仮想化された複数のプラガブル・データベースを構築できるようにしたことで、DBaaSに最適なアーキテクチャを実現している。パッチ適用やアップグレード、バックアップなどを一括でおこなえるため、運用管理性の向上、大幅なコスト削減を図ることができる。

 Enterprise DBaaSを構成する3つ目の要素となるクラウド・ライフサイクル管理については、プランニングから導入、管理、測定に至る包括的な管理を実現するOracle Enterprise Manager 12cがキープロダクトとなる。DBaaSにかかわる設定や管理、監視だけでなく、セルフサービスによるデータベースの構築やユーザーの利用量に応じた課金といったEnterprise DBaaSの利用に必要な機能の運用を、一元的におこなうことができる。

 ロアイザは「今後数年のうちにインメモリ・データベースとDBaaSは、Oracleデータベースを利用する多くの企業で採用され、ビジネス俊敏性を支える重要なインフラとなるはずです」と語る。

 Oracle OpenWorld San Francisco 2013では、DBaaSのバックエンドとしても有効なバックアップ・アプライアンス、Oracle Database Backup Logging Recovery Applianceも紹介された。オラクル・コーポレーションが発表したこの新製品は、ミッション・クリティカルなシステムの要請に応えながら、バックアップ運用をシンプルにできることが特長。Oracle Recovery Managerによる増分バックアップと並行して、データベースのREDOログを常時キャプチャすることで、システムがダウンした場合もその直前のデータのリカバリが可能になる。こうした機能によって、数千のデータベースやペタバイトクラスのデータのバックアップがおこなえるだけでなく、システム障害時と定時バックアップの間に発生したデータの消失や、バックアップ処理のオーバーヘッドに起因する業務アプリケーションのパフォーマンス低下、異なるバックアップツールやストレージ装置の混在による管理の複雑化といった課題の解決も可能だ。

より多くのユーザーがBIを介したビッグデータ活用への道を開く

 さまざまなデバイスで生成され、企業の内外で流通する“ビッグデータ”を活用し、新たな顧客価値やイノベーションを創出しようとする動きも活発化している。こうした動きもOracle Days Tokyo 2013では重要なテーマとして取り上げられ、さまざまな製品やテクノロジーが紹介された。

 オラクルでは、ビッグデータ活用に向けたバックエンドのソリューションとして、大量のデータを蓄積、処理するためのHadoop ClusterサーバーであるOracle Big Data Applianceをはじめ、分散Key-Valueストア型のデータベースOracle NoSQL Database、Hadoopから抽出したデータを分析するOracleデータベースなどを提供している。


日本オラクル株式会社
専務執行役員
テクノロジー製品事業統括本部長
三澤 智光

 Hadoopの利用で課題となるのが、HadoopからOracleデータベースへ送る際の統合処理にかかる時間だ。「このボトルネックを、Oracle Big Data Connectorsが解消します。Oracle Big Data Connectorsを介して、Oracle Big Data ApplianceのHadoopからOracle ExadataのOracleデータベースへデータを渡す検証では、15テラバイト(TB)のデータローディングを1時間でおこなえるという結果が得られました」と三澤は紹介する。こうした高速性の実現が、ビッグデータの分析を加速し、ビジネスのスピード化に貢献する。

 データを処理し、そこから特定のパターンを発見するような、一般にリレーショナル・データベースが苦手とする処理に関しても、OracleデータベースのSQL機能の強化で対応している。「SQL Pattern Matchingという仕組みを実装しました。たとえば、株価における底値の予兆を示すパターンを発見するようなロジックを実装する場合、Javaでは250行以上のコードが必要ですが、SQL Pattern Matchingを使えば12行のSQL文で済みます」(三澤)。

 ビッグデータの活用では、モバイルデバイスへの対応など、エンドユーザーが利用するビジネス・インテリジェンス(BI)環境の強化も欠かせない。この課題に対するオラクルの回答が、Oracle BI Mobile App Designerだ。エンドユーザーがドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で画面構成や使い勝手をカスタマイズできるほか、HTML5に対応することで、モバイルデバイスでの利用にも対応している。「今後は、データサイエンティストといった専門家だけでなく、企業内のより多くの人たちが自らデータを分析し、業務に役立てていくことが望まれます。Oracle BI Mobile App Designerは、そうした世界への道を開くものです」と三澤は強調する。

インメモリ・コンピューティングを実現するオラクルのハードウェア


日本オラクル株式会社
常務執行役員 システム事業統括
飯尾 光國

 企業ITのプラットフォームとなるハードウェアについても、最新の製品が紹介された。会期2日目に発表された、前述のインメモリ・テクノロジーの能力を最大限に引き出すサーバー製品もその一部だ。その1つが、SPARC M6プロセッサを最大32個搭載するSPARC M6-32サーバーだ。最大32TBという大容量メモリを搭載し、アプリケーションやデータベースをすべてインメモリで実行することができる。日本オラクルの飯尾 光國は、「ほかのOSでは、32TBという大容量メモリを制御することはできません。そのため、Oracle Solarisの採用こそが唯一の回答でした」と強調する。

 このSPARC M6-32サーバーに、ストレージ・サーバーとしてのOracle Exadata、アプリケーション実行基盤としてのOracle Exalogic Elastic Cloud、仮想化基盤としてのOracle Virtualizationのテクノロジーを統合したのが、Oracle SuperCluster M6-32だ。


オラクル・コーポレーション
ディスク・ストレージ・プロダクト・マネジメント
シニア・ディレクター
ジェイソン・シェファー

 登壇したオラクル・コーポレーションのデイビッド・ローラーは、「Oracle SuperCluster M6-32は、TBクラスのデータであってもリアルタイム処理が可能な、インメモリ時代の要請に応えるエンジニアド・システムズ製品です。今日のビジネスに求められる、ハイレベルなリアルタイム分析を可能にします」と紹介した。

 モバイル通信におけるトラフィックの爆発的増加に対応すべく、通信インフラを継続的に増強してきたKDDIでは、移動体コアネットワーク向け認証システムを増強するためにOracle SuperCluster T5-8を導入。認証基盤における12倍の性能向上を図った。世界初のケースとなるこの革新的なプロジェクトの全容は、本カンファレンスにおいて事例講演として発表された。


オラクル・コーポレーション
システムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当
シニア・バイスプレジデント
デイビッド・ローラー

 また、オラクル・コーポレーションのジェイソン・シェファーからは、エンジニアド・ストレージの新製品Oracle ZFS Storage ZS3シリーズが紹介された。データベースの運用を効率化し、ビジネス・アナリティクスやビッグデータ処理に適したこの製品は、新機能としてOracleデータベースのチューニングや管理を自動化するOracle Intelligent Storage Protocol(OISP)を搭載。高度かつ動的にデータベースを最適化するAutomatic Data Optimization(ADO)、データベースの容量を10~50分の1に圧縮し、必要なストレージ容量および帯域幅を削減するデータ圧縮技術Hybrid Columnar Compression(HCC)も実装している。

 ファイルシステムとしてのOracle ZFS Storageの完成度は、日本の導入企業からも高く評価されている。たとえば、日々のログデータだけで1TBを超えるというグリーでは、2011年に顧客データ分析のストレージ基盤にOracle ZFS Storageを導入。当日の事例講演でも、「ハードウェア設計のバックボーンがOracle Exadataなどのエンジニアド・システムズ製品と共通であったり、InfiniBandなどチャレンジングな構成であったりしても、安定した運用がおこなえた」とあらためて評価した。

すべてのレイヤーを網羅するクラウドサービスを提供

 ビジネスのグローバル化、モバイルデバイスやSNSの普及、システムのモダナイゼーションなどを要因とした、企業のクラウド利用も急速に進んでいる。


オラクル・コーポレーション
HCMアウトバウンド
プロダクトマネジメント
バイスプレジデント
ジョン・ハンセン

 オラクル・コーポレーションのジョン・ハンセンは、「クラウドに関して、オラクルはきわめてシンプルで明確なミッションを掲げています。それは、最高のアプリケーション、最良のテクノロジーをあらゆるユーザーに提供し、いつでも、どこでも、どのようなデバイスからでも利用できる環境を実現することです」と語る。このミッションに基づき、オラクルではアプリケーション、プラットフォーム、インフラの各領域でサービスを提供している。

 アプリケーションでは、エンタープライズ・スイートのカスタマー・エクスペリエンス・クラウドやHCM(Human Capital Management)クラウド、ERPクラウド、モバイル・ソーシャル・アナリティクスといったアプリケーションをSaaS(Software as a Service)として提供。ユーザーが普段から使っているアプリケーションと同様の操作でビジネス・アプリケーションを利用でき、ニーズに応じて構成の変更や拡張が可能だ。各サービスにBI機能が内蔵されていることも大きな特徴だ。

 プラットフォームについては、各種のPaaS(Platform as a Service)を提供している。「PaaSでは、100%JavaベースのWebサービスを採用するなど、業界標準のテクノロジーに準拠した、透明性の高いものを実装しています」とハンセンは説明する。さらにオラクルは、Oracleデータベースのインスタンスをサービスとして提供するDBaaSや、Oracle WebLogic Serverによるアプリケーション・サーバー機能を提供するJava as a Serviceを、サービスのラインアップに新たに追加した。インフラについては、デジタルコンテンツなどの保管に最適なストレージ・サービス、CPUリソースを提供するコンピュート・サービスなど、物理的なシステム資源をIaaS(Infrastructure as a Service)として提供する。

 オラクルが提供するクラウドは、ほかのパブリック・クラウドやプライベート・クラウド、オンプレミス・システムとスムーズに連携できるため、これまでのシステムに対する投資を無駄にすることなく、ビジネスのニーズや環境の変化に合わせたハイブリッドな利用が可能なことも特長だ。「オラクルのクラウドサービスは、すでに世界180カ国、10,000にものぼる企業で、ミッションクリティカルなサービスにも利用されており、それら企業のビジネスにおける俊敏性、柔軟性の実現に貢献しています」とハンセンは強調する。

カスタマー・エクスペリエンスが今後のビジネスのカギを握る


オラクル・コーポレーション
カスタマーエクスペリエンスストラテジー&デザイン
バイスプレジデント
ブライアン・カラン

 こうしたクラウドやモバイルといったテクノロジーに加え、ソーシャルメディアが急速に普及することで、人々の行動様式に大きな変化が起きている。さらにコモディティ化やグローバルな競争激化などを背景に、企業と消費者の間の関係性にも大きな変化が生じている。「消費者自身がSNSなどを通じて、情報の発信や権利の主張をおこなうようになったこともその一例です。そうした変化のなかで重要な課題となってきているのが、カスタマー・エクスペリエンス(CX)です。調査結果からも、企業が提供するCXと売上げの間には、明確な相関関係が存在することが明らかです」とオラクル・コーポレーションのブライアン・カランは指摘する。

 CXの向上に向けた取組みに注力する企業は、日本においても増えている。たとえばスターバックスコーヒーでは、店舗で注文するとき、コーヒーを飲むときなどに、顧客に“Moments of Connection(つながる瞬間)”を感じてもらうことで、豊かな“スターバックス・エクスペリエンス”を提供することを目指している。また、ヴァージンアトランティック航空では“最大ではなく、一人ひとりに最高の航空会社”を理念に、機内や空港カウンター、コールセンターなどのチャネルをとおして寄せられる顧客の声を社内で共有し、対策を検討することで継続的なサービス品質の向上を目指している。こうした取組みによって、両社とも顧客満足度が高い企業として認知されている。

 また、ベネッセコーポレーションでは、O2Oの流れをストーリー化することで効果的に購買行動へとつなげることに成功している。その一例が、子育て教材の販促活動の一環として、産婦人科で接触のあった見込み顧客に、育児情報の無料メールマガジンを継続的に配信するという取組みだ。自社サービスの販促部分を前面に出さず、顧客が本当に必要とする情報を提供することで信頼感や親近感を譲成し、入会率を向上させた。

 CXの分野においてオラクルは、Oracle CXやOracle SRM(Social Relationship Management)といったソリューションを提供することで、多くの企業が進めるさまざまな取組みをシステムの面から支援している。Oracle SRMを導入したサッポロビールでは、SNS上の自社コンテンツを統合管理し、ファンの属性に最適な内容を、最適なチャネルから、効率的に投稿できるような仕組みを構築。ファンとのエンゲージメントの強化を図っている。

 「CXの向上は、ビジネスプロセスの合理化によって成し遂げられるのではありません。顧客とそのニーズをより深く知り、そうしたニーズに適切なかたちで応えていくための仕組みを構築することが重要なのです」とカランは語る。

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 Oracle Days Tokyo 2013では、レガシーシステムの刷新、ビッグデータの活用、顧客との関係性をいかに構築し、深めていくかなど、今日の企業が直面するビジネス課題の解決に向けた、オラクルの回答が提示された。これらは、企業が思い描いてきたイノベーションを実践の段階へと強力に導き、支えていくテクノロジーやソリューションとなる。

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