【国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学】科学技術系大学院のファイルサーバーを階層型ストレージを使って効率的に拡張


科学技術系大学院のファイルサーバーを階層型ストレージを使って効率的に拡張

情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3研究科を置く国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学(Nara Institute of Science and Technology、以下、NAIST)は、増え続ける研究・教育用のデータを低コスト・低消費電力で効率的に管理できるストレージ・システムを求めていた。この課題を解決に導いたのが、キャッシュディスクとテープライブリーを組み合わせたオラクルの階層型ストレージ・システム。増設分の消費電力を1/9に、費用も1/3に抑制することができ、信頼性と可用性も高まった。

国立大学法人
奈良先端科学技術大学院大学
総合情報基盤センター
情報基盤技術サービスグループ長/助手
辻井 高浩

研究・教育用ストレージの拡張を低コストかつ省電力で実施したい

 科学技術を専門とする大学院大学としてNAISTは教育・研究用のIT基盤の整備に力を入れている。総合情報基盤センターが構築・運用している全学情報環境「曼陀羅システム」は、全学情報システム、電子図書館システム、全学ネットワーク「曼陀羅ネットワーク」の3要素から成る協調分散処理型の構成。建屋内のデータセンターと屋外のコンテナ型サーバー収容設備に置かれた多数のサーバーとストレージは、最大100Gb/sの全学ネットワークに接続されている。この全学情報システムと電子図書館システムを構成するハードウェアについて、NAISTは4年を基本の耐用年数と設定。そのタイミングでハードウェアの更新や入れ替えを実施してきた。

 「2014年度は、全容量9.4PBのストレージのうち、2.7PB分をリプレースする予定になっていました」と振り返るのは、NAISTの総合情報基盤センター 情報基盤技術サービスグループ長を務める辻井高浩氏。

 容量拡張が求められていたのは、あらゆるデータをアーカイブすることをNAISTがストレージ活用の基本方針としていたため。曼陀羅システムは電子図書館にもサービスを提供しているので、研究と教育に使われるデータだけでなく、図書・雑誌・動画などのコンテンツや授業アーカイブ(動画)などの増加にも対応する必要があった。また、今後の電気料金の値上げに対応する必要もある。容量を拡張するにしても、消費電力がなるべく少ない方式が望まれた。

長期間使われていないデータをテープに移す階層型の方式を採用


導入されたオラクルのStorageTek SL8500モジュラー・ライブラリ・システム

 そこでNAISTが選んだのが、ハードディスクドライブ(HDD)とテープライブラリーを組み合わせて“適材適所”のデータ配置を実現する階層型ストレージだった。「テープは駆動部分が少ないので、HDDに比べて消費電力が少ないことは確かです」と辻井氏。テープの信頼性と容量が年々高まっていることも、この判断を後押しした。

 ただし、階層型ストレージの効果は、どれほど多くのデータをテープ側に格納できるかによって左右される。辻井氏のチームが調べたところでは、5カ月以内に読み書きアクセスが発生しているファイルは件数・容量とも全体の20%以下。80%以上のデータをテープ側に格納できるのであれば、使い勝手を損ねることなく消費電力を抑えることができそうだった。

 競争入札のための最終的な要求仕様(仕様書)が公示されたのは2014年5月。日本オラクルはStorageTek SL8500モジュラー・ライブラリ・システム+StorageTek T10000D(テープアーカイブ)、Oracle FS1-2 Flash Storage System(キャッシュストレージ)、SPARC T5-2サーバー(管理ソフトウェア用サーバー)、StorageTek Storage Archive Manager(SAM)+StorageTek QFS(管理ソフトウェア)のそれぞれを組み合わせたシステムを提案し、採用された。

総容量を約2.7倍に拡張しながらHDD対比で約1/9の省電力を達成

 システムが本稼働したのは、予定通りの2015年3月1日。HDD容量は9.4PBから7.7PBに減り、テープアーカイブの17.7PBが加わった。これでストレージの総容量は25.4PB(約2.7倍)へと拡張された。このほか、FS1には使用頻度が高いファイル用のディスクキャッシュ(400TB・HDD)とファイル名などの情報を収めたメタデータ(1TB・SSD)が格納されている。

 階層型になった新ストレージ・システムのおもな用途は、従来と同様、各研究科に貸し出す“プロジェクトディスク”とバックアップ用の領域。研究科への割り当て(基本は、10TB、要望に応じて適宜必要容量を追加)とクォータ管理は、QFSの機能を使用する。

 階層型ストレージ・システムの導入によってNAISTにもたらされた効果として、辻井氏は3つを挙げる。同じ容量17.7PBのディスクを調達した場合と比較して、まず、消費電力は、約1/9(105kW→12kW)。そもそものねらいだった消費電力抑制は完全にクリアすることができた。定価換算でみる初期費用と運用費用(4年間の保守費)についても、約9億5,000万円から約3億2,000万円へとおよそ1/3に圧縮することに成功。さらに、サーバールーム内のスペースも、半分で済むようになった。このほか、信頼性と可用性も向上した。T10000Dのビット誤り率(BER)はSAS方式HDDの1/1000。物理的には30年間の保存ができ、地震や輸送による振動にも強いことから、自然災害や火災によるデータ損失のリスクはさらに軽減された。

 現在、NAISTはテープへのアーカイブ率を高めるためのチューニングもすでにとりかかっている。現状ではディスクキャッシュ内のファイル数/容量に基づいてHDDからテープにデータをアーカイブしているが、今後は最終アクセスからの日数もアーカイブするかどうかも判定条件に加えられる見通しだ。また、知の発信という高等教育研究機関の本務を果たすために、学外とのデータ連携/共有にも前向きに取り組んでいる。「九州と四国の病院や通信事業会社と組んで大規模地震を想定した医療データ共有の共同研究を実施するための準備を進めています」と辻井氏は語る。制度面の制限等の問題を解決し、他の大学/研究所へも連携範囲を広げていきたいという。

 増え続ける研究・教育用のデータを費用面でも電力面でも効率的に管理したい――。そうしたNAISTのデータ管理ニーズに、オラクルの階層型ストレージ・システムはこれからもしっかりと応えていく。

P R O F I L E

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
業 種:学術・開発研究機関
学生数:1,084人、教職員数:361人(2015年4月現在)
おもな事業内容:最先端の科学技術分野にかかわる高度な研究・教育を推進する目的で1991年10月に開学。情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3研究科で約1,100名の学生が博士課程(前期/後期)を学ぶ。

(本事例の内容は2015年4月のものです)

ページの先頭へ