インメモリでもクラウドでも光る革新的なOracleデータベース
~Oracle DBaaS & Big Data Summit REVIEW~

きわめて重要な経営資源の1つである「情報」。ビジネスの生命線ともいえる情報を、いかに活用してより優れた意思決定をより迅速に下し、競争力を高めていくか。こうしたお客様の取組みを支えるべくオラクルが取り組んできたことの1つが、37年にわたるデータベースの技術革新だ。7月24日、ウェスティンホテル東京で開催された「Oracle DBaaS & Big Data Summit」では、Oracle Database In-MemoryやOracle Database as a Serviceといった最新のソリューションが実現する、ビジネスに変革をもたらす“これからのITシステム”が、事例とともに紹介された。

Oracle DBaaS & Big Data Summit
~ インメモリ・データベースが革新するクラウドとビッグデータの未来 ~
会 期:2014年7月24日
会 場:ウェスティンホテル東京


日本オラクル株式会社
代表執行役社長 兼 CEO
杉原 博茂

 開幕の基調講演で登壇した日本オラクル 代表執行役社長 兼 CEOの杉原 博茂は、オラクルのクラウドビジョンについて語った。

 杉原は、まず近年の情報技術のトレンドとして、6年後の2020年にはインターネット端末は500億台に達し、世界の情報量は50倍に、ソーシャルサービスの普及もますます進行するという予測を紹介。さらに、日本における環境変化として、少子高齢化、市場を求める企業のグローバル化が進んでいることも明らかにした。

 「こうした環境変化に鑑みると、ITによる生産性向上は急務といえます。そしてその鍵を握るのが、クラウドです」と指摘したうえで、「2020年までに日本オラクルは、『クラウドといえばオラクル』として認知される、“No.1 Cloud Company”を目指します」と日本オラクルが掲げる“VISION 2020”に触れ抱負を語った。

 オラクルが考えるクラウドとは、ヒト・モノ・カネがネットワークを介してつながり、新たな付加価値を生み出す「Modern Cyber Society」だ。それを実現する重要な要素として、リアルタイム経営を実現するOracle Database In-Memoryと情報のポータビリティを高めるDatabase as a Service(DBaaS)の2つを紹介した。

Oracleデータベースをクラウド化 ビッグデータをインメモリ処理


オラクル・コーポレーション
プロダクト・マネジメント担当
バイスプレジデント
ティム・シェトラー

 続いて、オラクル・コーポレーションのプロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、ティム・シェトラーと、日本オラクルの専務執行役員 データベース事業統括 三澤 智光による基調講演「データベースの未来」が始まった。

 シェトラーは、「プライベートクラウドの一形態であるDBaaSは、IT部門にも企業全体にも変革の機会を提供します」と説明。変革の具体例として、IT部門が自らをクラウドサービス・プロバイダーへと“変身”させていくDBaaS活用法を挙げた。

 そのOracle DBaaSを構成する要素は、スケーラブルなプラットフォーム「Oracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)」「Oracle SPARC SuperCluster」、マルチテナント・データベース「Oracle Database 12c」、ライフサイクル管理ツール「Oracle Enterprise Manager 12c」の4つ。データベース・サービスと技術の標準化、プライベートクラウドへの統合、セルフサービス化、SLAガバナンスの確立という4段階を経て、これまで使っていたデータ層がDBaaSへと進化していく。

 また、ビッグデータから有益な知を効率よく取り出すための技術としてOracle Big Data SQLとOracle Database In-Memoryの2つがある。


日本オラクル株式会社
専務執行役員
データベース事業統括
三澤 智光

 Big Data SQLのねらいは、「ビジネスの変革に役立つHadoop分散ファイルシステム(HDFS)」「ビジネスの拡大に貢献するNoSQL」「ビジネスの運用を支えるリレーショナル・データベース」の3つを同列に扱えるようにすること。Oracle Database 12cにOracle Database In-Memoryオプションを付加すれば、同一の表をローとカラムの両方のフォーマットでメモリ内に保持できるようになる。

 続けて、三澤がこれらの最新技術について詳しい解説を加えていった。

 「20年以上にわたりオラクルは、データベースのマーケットリーダーとして技術革新を続けつつ、市場をリードしてきました。現時点での最新技術としては、コスト効率性の向上とビジネス価値の向上の両立を可能にするOracle Database In-Memory、Oracle Big Data SQL、Oracle DBaaSなどがあります」。

 このうち処理速度の向上に大きく貢献するのが、オプションのインメモリ機能として提供されるOracle Database In-Memoryだ。ポイントは、既存のデータ資産やアプリケーション資産を完全に保護・継承できること。Oracleデータベースの高可用性とセキュリティ機能も利用できる。

 DBaaSは、プライベートクラウドの総保有コスト(TCO)を最適化するのに役立つ。「ハイパーバイザーを使ったサーバー統合から、より費用対効果の高いプライベートクラウドに企業の関心が移っているという調査結果があります」と三澤。Oracleデータベースをプライベートクラウドとして使うためのベストプラクティスとして、DBaaSマルチテナント・データベースのOracle Database 12c、DBaaSプラットフォームのOracle Exadata X4、DBaaSライフサイクル管理ツールのOracle Enterprise Manager 12cの組み合わせを紹介した。


インメモリ技術の利用にアプリケーションの変更は不要


日本オラクル株式会社
データベース事業統括
製品戦略統括本部
プロダクトマーケティング本部
Cloud & Big Data推進部長
佐藤 裕之

 では、Oracle Database In-Memoryはどのような仕組みでアプリケーションの処理速度を高めているのか。日本オラクルのデータベース事業統括 製品戦略統括本部 プロダクトマーケティング本部 Cloud & Big Data推進部長の佐藤 裕之は、ソフトウェア・アーキテクチャの視点からその詳細について語った。

 最初に佐藤が明らかにしたのは、Oracle Database In-Memoryの位置づけである。「ミドルウェア層のインメモリ技術であるOracle TimesTenやOracle Coherenceと違い、Database In-Memoryはデータベース層で実現されています」と佐藤。これにより、既存のアプリケーションやデータ資産に変更を加えなくても、大量データの分析を超高速に処理できるのだという。

 Oracle Database In-Memoryの開発で設定された目標は、「リアルタイム分析」「オンライントランザクション処理(OLTP)の高速化」「アプリケーションの変更なし」「最新世代のハードウェアを有効活用」の4つ。処理速度についてはデータウェアハウス(DWH)などの分析処理で100倍、OLTP処理で2倍を目指し、最新プロセッサに装備されているSIMD(Single Instruction Multiple Data)命令セットやハードウェア暗号化機能の活用もねらった。

 ビッグデータやモノのインターネット(IoT)がもたらす大量データ時代への対応も、当初から強く意識している。具体的には、ビジネスデータ、ソーシャルデータ、IoTなど、多様なデータをOracleデータベースに投入し、Oracle Database In-Memoryでファストデータ処理やビッグデータ処理をおこなう。「Oracle Database In-Memoryによって、超高速分析処理がビジネスのスピードを加速する時代、データベースがシステムの中心になる時代がやってきます」と佐藤は強調した。

ローとカラムの2フォーマットをメモリ上で自動同期

 企業ユーザーからこれほど高い評価を得られている技術的な背景として、佐藤は「ロー型とカラム型を同時に保持」「ロー型からカラム型への自動同期」「高度な拡張性と可用性」の3つのポイントを挙げる。

 「ロー型とカラム型を同時に保持」については、ソフトウェア・アーキテクチャの視点からは、Oracle Database In-Memoryの特長として3つのポイントが挙げられる。

 まず、ロー(行)とカラム(列)の別々のデータベースとしてではなく、両方のフォーマットを同時にメモリ上に保持する仕組みになっていること。OLTP処理がロー型フォーマットでおこなわれると、自動同期機能によってカラム型フォーマットにも即座に反映される。どちらのフォーマットを使うかはOracleデータベースのOptimizerが自動的に決めるため、Oracle Database In-Memoryの導入に際してアプリケーションを書き換える必要はない。

 また、処理速度を高めるために、Oracle Database In-Memoryは最新プロセッサのSIMD命令セットと複数コアを活用した並列処理も採用している。高速検索のために従来から使われてきたインデックスを廃止することによってOLTPでの更新処理も高速化できるという。

 「ロー型からカラム型への自動同期」によって、導入や運用管理が容易だというのも特長だ。基本となる導入手順は、効果を期待できるかどうかの調査、インメモリ・カラムストアの容量決定、インメモリ化対象カラムの選択、インメモリ化によって要らなくなったインデックスの削除という4ステップ。本稼動フェーズに移った後の運用管理では、Oracle Enterprise Manager 12c R4で監視できる。

 インメモリ化の対象となるのは、テーブル、パーティション、サブパーティション、マテリアライズド・ビューの4種類のデータ。ロー型からカラム型への変換(ポピュレーション)はバックグラウンド・プロセスによって自動的におこなわれるため、事前の準備作業は不要だ。

 インメモリ型であっても、メモリ効率はきわめて高い。「処理を高速化したいカラムだけをメモリ上に展開する方式なので、無駄なメモリ消費はありません」と佐藤はつけ加える。

 第3の特長として、佐藤は「高度な拡張性と可用性」を挙げた。拡張性については、スケールアップにもスケールアウトにも対応していることがポイント。最大限のスケールアップを必要とする用途には、最大32テラバイト(TB)のDRAMと384コアを提供できるスケールアップ・プラットフォームOracle SPARC M6-32 Big Memory Machineが用意されている。スケールアウトでの能力拡張には、Oracle Real Application Clustersが利用できる。

 可用性を高めるために利用できる製品や機能も、基本的には従来のOracleデータベースと同レベルで、Oracle Recovery Manager(RMAN)、Oracle Automatic Storage Management(ASM)、Oracle Data Guard、Oracle GoldenGateなどのオラクル製品が利用できる。

マルチテナントで独立性を保つDBaaSは4ステップを経て導入


日本オラクル株式会社
データベース事業統括
製品戦略統括本部
プロダクトマーケティング本部
Database & Exadata推進部長
桑内 崇志

 プライベートクラウドのデータベース基盤となるDBaaSを構築するには、それまで使っていたデータベース環境からいかにスムーズに移行するかが重要になる。日本オラクル データベース事業統括 製品戦略統括本部 プロダクトマーケティング本部 Database & Exadata推進部長の桑内 崇志は、標準的な移行プロセスのアウトラインを示したうえで、データ移行とテストを自動化するのに役立つツールを紹介した。

 桑内は「仮想化によるサーバー統合でデータベース・サーバーの台数は減らせますが、データベース運用コストの圧縮にはなりません」と指摘し、費用対効果の高さでは、データベースをサービスとしてプライベートクラウドで提供するDBaaSのほうが優れていることを強調した。

 DBaaSのゴールとして、桑内は「アジリティの向上」「コスト削減」「リスク低減」の3つを挙げる。たとえば、データベースの作成や容量追加に関する手続きをセルフサービス化すれば、現場ニーズに即応できるようになる。各種設定作業の自動化やメータリングに基づく従量制課金の仕組みは、コスト削減に効果的だ。さらに、高い可用性と強固なセキュリティを備えることによって、運用リスクも小さくできる。

 業務システムの単位で複数のOracleデータベースが稼動している状態から出発する場合、DBaaSに至る過程は「標準化」「統合」「セルフサービス」「ガバナンス」の4ステップに分類できる。最初の段階では使用する技術とデータベース・サービスやサービスレベルを標準化して運用コストを削減し、次の段階でデータベース・サーバー群をプライベートクラウドに転換。さらに、セルフサービス方式とメータリング課金を導入してリードタイムの短縮と利用者へのコスト賦課を実現し、最終目標の「ガバナンスの利いたエンタープライズクラウド」を目指す。

 このような使われ方を想定して設計・開発されたOracle Database 12cには、複数データベースの利用効率と運用効率を高めるためのマルチテナント・アーキテクチャが採り入れられている。「Oracle Database 12cでは、1つの管理システムで複数のデータベースを独立性を保ったままで運用できます」と桑内。メモリとプロセス領域を統合するだけでなく、データベースの制御ファイルとログファイルを統合したコンテナ・データベース(CDB)を新設し、そのCDBに複数のデータベースを差し込むプラガブル・データベース(PDB)方式になっていると説明した。

 マルチテナント・アーキテクチャを採用したOracle Database 12cは、プライベートクラウドとして稼動させる際の運用管理性にも優れている。バックアップは個々のPDBではなくCDBの単位で取れ、データ移行やパッチ適用の操作もコマンド1つで完了する。Oracle Enterprise Manager 12cを使えば、DBaaS全体の稼動環境や構成情報、コンプライアンス対応の見える化も容易だ。

フルバックアップをなくし、データ損失もなくせるデータ保護アプライアンスが登場

 Oracle DBaaS & Big Data Summitを締めくくる最終セッションには、基調講演で登壇したシェトラーが再び登場し、「Oracle Database Backup Logging Recovery Appliance」の概要を紹介した。

 シェトラーは、24時間365日の連続運用が求められるデータベースの保護には、従来の汎用型バックアップ/リカバリ・ソリューションは適していないと説明。その理由として「データベースを意識した設計になっていない」「継続的な保護ができない」「ベンダーごとにライブラリ形式や管理ツールが異なる」「拡張性が低い」などを挙げる。

 「重要なデータの損失を防ぎ、前回コミットされたトランザクションまでリストアできるようにすることを考えると、一般的なファイルシステム用のバックアップ製品とは異なる状況に対応できることが求められます」とシェトラー。そうした問題意識に基づいて、オラクルはデータベース用のバックアップ/リカバリ・アプライアンスであるOracle Database Backup Logging Recovery Applianceを開発中だと語った。

 エンジニアド・システムズの1つに位置づけられているこのアプライアンスは、ラック型筐体にサーバー、ストレージ、高速ネットワークを統合し、ニーズに合わせて柔軟に拡張できる形態になっている。データ保護の基本的な仕組みは、データベースのフルバックアップを1回だけおこない、その後は差分バックアップを続ける方式だ。フルバックアップの取得がなくなり、各種バックアップ処理もOracle Database Backup Logging Recovery Applianceへオフロードできるため、本番サーバーへの負荷を最小限にすることができる。

 さらにOracle Data Guardと同様にメモリ上のREDOバッファをリアルタイムに送信することもでき、これによりデータ損失をほぼゼロに抑え込める。

 このDelta Pushを受け取ったOracle Database Backup Logging Recovery Applianceは、「Delta Store」と呼ばれる方式でバックアップを管理。保護対象データベース・サーバーからの要求に応じて、任意の時点に迅速にリストアをおこなう。

 技術面でのポイントは、管理している差分バックアップから、任意の時点の仮想フルバックアップを生成できるという点。そのため、「保護対象のデータベース・サーバーがダウンしてしまった時も、迅速にデータベースのフルリストアができます」とシェトラーは胸を張る。

 導入効果としては、「1秒未満のトランザクション保護」「負荷ゼロのバックアップ」「Oracleデータベースを意識したエンドトゥーエンドのデータ保護」「クラウドスケールにまで拡張できるアーキテクチャ」の4点。データセンター内のあらゆるOracleデータベースを対象に、フルバックアップをなくし、データ損失もなくせる唯一のバックアップ/リストア・ソリューションとして、オラクル製品導入企業には不可欠の存在となることだろう。

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 情報こそが核となる時代に向け、オラクルはこれからも、テクノロジー開発への投資を続けていく。

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