【KDDI】トラフィックの爆発的な増加に対応すべく「Oracle SuperCluster T5-8」で認証基盤を12倍性能向上


トラフィックの爆発的な増加に対応すべく
「Oracle SuperCluster T5-8」で認証基盤を12倍性能向上

スマートフォンの普及やLTEサービスにより、モバイル通信におけるトラフィックの爆発的増加が、加速の一途を辿っている。この動きに対応するため、KDDI株式会社(以下、KDDI)は通信インフラを継続的に増強してきた。その1つ、移動体のコアネットワークにおいて、同社はパケットサービスを利用するお客さまの認証をおこなうシステムを、新しいプラットフォームへ移行することを決定した。40台のサーバーで動かしていた認証システムの性能を、「Oracle SuperCluster T5-8」1台分へ集約。エンジニアド・システムズの特長を活かし、わずか40日間での導入が実現した。

KDDI株式会社
技術統括本部
ネットワーク技術本部
EPCネットワーク技術部長
博士(工学)
加藤 利雄

2年でトラフィックは3.8倍 急ピッチで進むシステム増強

 モバイル通信市場で「au」ブランドを展開するKDDIは、着実にその存在感を高めている。MNP(携帯電話番号ポータビリティー)の実績では、2013年9月に11万800件と同年でもっとも高いMNP転入数を記録*1。契約全体の純増数も順調に伸びている。その一方で、モバイルトラフィックは契約数を上回るペースで爆発的に増えている。KDDI株式会社 技術統括本部 ネットワーク技術本部 EPCネットワーク技術部長、加藤 利雄氏は、「スマートフォンの登場以降、数多くのサービスが提供されるようになったことで、国内のモバイルトラフィックは過去2年間で3.8倍*2に増えました」と語る。

 急増するトラフィックに対応するため、同社はネットワークやシステムの増強に努めてきた。その1つが、移動体コアネットワーク向け認証システム*4だ。段階的に同システムを拡張してきた結果、2010年に3G/LTE向けに稼動し始めたときには6台だったサーバーは、40台になっていた。

 「モバイルサービスの拡張にともない、年に数回、システムの機能追加が必要になります。サーバー台数の増加によって、システム構築や運用を依頼している伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の業務負荷も増大します。機能追加の作業には夜間の短い時間しか使えないため、すべての作業を完了するまでに数週間を要していました。3年間スケールアウトさせ続けてきましたが、限界に近づいていたため、スケールアップする決断をしました」(加藤氏)。

40台の物理サーバーの性能を1台の仮想化統合基盤に集約

 新プラットフォームの選定がおこなわれたのは、2013年5月末。既存のシステムはSPARC Enterprise M3000、およびOracle Solarisで構築されていることから、まず移行先のOSにはOracle Solarisが選ばれた。プラットフォームは複数の製品を検討したうえで、もっとも高い集約率で仮想化基盤に統合できるOracle SuperCluster T5-8を選定。リリースされたばかりのエンジニアド・システムズ製品で、世界初の採用となった。

 「複数のサーバーとストレージの導入では、配線デザインやコンフィギュレーション、テストに相当の時間がかかります。エンジニアド・システムズ製品であるOracle SuperCluster T5-8を選んだ最大の理由は、そうした時間を短縮できるためです」と加藤氏は振り返る。

 40台のサーバーで動いていたシステムを、本番機の3台と開発・検証機1台の、計4台のOracle SuperCluster T5-8で構成される環境へと統合。導入プロジェクトは約4カ月という短期間でおこなわれ、2013年11月には稼動が開始された。通信インフラの根幹を支えるシステムだけに、冗長構成された3台の本番機は十分な距離をとった拠点に分散配置することで不測の事態へ備えた。「自然災害によるケーブル切断などで2つの拠点が孤立したとしても、残り1拠点で全国のモバイル通信を維持できる容量設計をしています」(加藤氏)。

新プラットフォームの性能を“三位一体”の体制で検証

 今回のプロジェクトを成功に導くため、KDDIとCTC、日本オラクルは“三位一体”の緊密な協力体制を組んだ。その象徴が事前の検証作業だ。今回のプロジェクトはOracle SuperCluster T5-8の出荷前にスタートしたため、実機での検証はできない。そこで、サーバー、ストレージ、InfiniBandスイッチなどのコンポーネントを組み合わせた“疑似Oracle SuperCluster”を作り、検証をおこなったのである。

 「一番の懸念は、40台のサーバーからの移行に耐えうる性能が出るかということ。なかでもディスクI/Oについては注意を払っていました」と加藤氏。というのも、このシステムでは、認証のたびに“どのユーザーが、いつ、どんなサービスを利用したか”というログを残す必要があるためだ。

 「サービスの利用履歴はかならずディスクに書き込まれます。これは連携している課金システムでも利用するデータですので、ディスクへ正しく書き込まれないと、誤請求につながりかねません。それだけに、ディスクI/Oはきわめて重要です」(加藤氏)。

 十分なディスクI/Oを確保するために大きな役割を果たすのが、内部の構成要素をつなぐInfiniBandだ。既存システムのファイバーチャネルと比較し、理論上5倍の帯域を実現する。「念入りな事前準備の結果、十分な性能を備えていることを確認できました」(加藤氏)。

性能や設置スペースなどで圧倒的な導入効果

 Oracle SuperCluster T5-8への移行による効果は大きい。システム全体での処理性能は、既存サーバー40台の合計と比較して12倍向上。設置スペースは83%削減され、電力消費は70%削減される。

 運用負荷の低減も期待される。加藤氏は「機能追加などの作業負荷だけでなく、サーバー台数が減ることでハードウェア障害への対応も負荷が減らせるでしょう。周辺システムと組み合わせた運用なので定量化は難しいのですが、一定の運用コスト削減効果もあると考えています」と話す。

 今回のプロジェクトが一段落した今、加藤氏はすでに次のプラットフォーム拡張を考えている。トラフィックの増加は今後も続き、6分の1になった設置スペースでも数年で埋まってしまうと考えられるためだ。

 最後に、今後の取組みについての考え方を聞いた。「ユーザーやシステムに対する付加価値の前提になるのは安定稼動です。その安定性を維持しながら、新サービスや新技術にチャレンジしたいと考えています」(加藤氏)。社会においてきわめて重要度の高い通信インフラの、しかも基幹的なシステムを任されている立場だけに、安定性という言葉には格別の重みがある。その姿勢を守りながら、加藤氏は通信インフラの新しい姿、KDDIのICTの将来像を思い描いている。

*1 一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)発表
*2 出典:総務省 我が国の移動通信トラヒックの現状(平成25年6月分)
*3 KDDI調べ
*4 加入者データベースと連携してスマートフォン・携帯電話利用者の加入者情報やその接続情報を管理する認証システム

P R O F I L E

KDDI株式会社
業  種:情報・通信業
従業員数:2万238人(連結/2013年3月31日現在)
資本金:1,418億5,100万円
売 上 高:3兆6,622億8,900万円
おもな事業内容:移動通信、固定通信の両方を展開する総合通信事業者。個人向けには「au」ブランドのもと、移動体通信(au携帯電話)事業と固定通信(ブロードバンド・インターネット/電話)事業を展開。法人向けには、FMC(固定・携帯融合)ネットワークからデータセンター、アプリケーション、セキュリティ対策まで幅広い領域でサービスを提供している。

オラクル公認パートナーが語る導入のツボ[伊藤忠テクノソリューションズ株式会社]

緊密な連携によって安定稼動と機能拡張をサポート


伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
情報通信システム第2本部
システム技術第1部
部長代行
高橋 博也

 当社は、KDDI様の移動体コアネットワーク向け認証システムを、10年以上サポートしてきました。サーバー台数増にともなう運用負荷の増大を懸念していただけに、新システムを支えるエンジニアド・システムズ製品、Oracle SuperCluster T5-8には大いに期待しています。既存システムでは40台のサーバーそれぞれにアプリケーションのライセンスが必要でしたが、これを圧縮できることによるコスト削減効果も大きいでしょう。

 今回のプロジェクトは、従来とは異なるスキームで臨みました。これまでは当社が購入したハードウェアをお客様に提供するスタイルが一般的でしたが、今回は日本オラクルがエンジニアド・システムズを設置し、当社がアプリケーションのインストールなどをおこないました。3社の緊密な連携が求められましたが、コンポーネントを組み合わせて実施した事前検証など、スムーズな連携ができたと思います。

 今後もトラフィックの増加に備え、これまで築いてきた協力体制をよりいっそう強化しながら、KDDI様の移動体コアネットワーク向け認証システム、およびその周辺システムの安定稼動、効果的で効率的な拡張をサポートしていきたいと考えています。

本事例の内容は2013年11月のものです

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