拡充が進むOracle Cloud Platform
~企業の“攻めのIT”を強力に支援~


SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)などあらゆるクラウド領域での圧倒的なポートフォリオによるソリューションの提供により、顧客のIT活用を支えるオラクル。オラクルは「クラウドのチカラ」すなわち「The Power Of Cloud by Oracle」(POCO)というキャッチフレーズにより、クラウドをはじめとしたIT活用をめぐる“敷居の高さ”の解消を目指している。そうした一環として、去る2015年4月に国内でのサービスを開始した、包括的なPaaS環境「Oracle Cloud Platform」に、先頃、新たなサービスを追加。オンプレミスで運用してきたアプリケーション資産をそのまま移行し、柔軟にモダナイゼーションを図っていけるクラウド基盤サービスのさらなる拡充により、顧客の“攻めのIT”を強力に支援している。

継続的なサービスの拡充で「No.1」へ着実に歩みを進める


日本オラクル株式会社
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
杉原 博茂

 オラクルは、その歴史を通して、時代とともに変容を遂げる企業のITプラットフォームの姿に追随するかたちで、R&D(研究・開発)への積極的な投資を行いながら、データベースを中核とした最新テクノロジーを提供。顧客のビジネスをITの側面から強力に支援してきた。そして、現在、オラクルが最重要のテーマに位置づけているのが、すでにビジネスを支える不可欠なインフラとしてその活用が広く顧客の間に浸透しているクラウド領域に関するグローバル規模でのビジネス強化だ。

 「弊社が2014年4月に掲げた『VISION 2020』に基づき、クラウド領域を軸にお客様のイノベーション創出にさらなる貢献を果たせるように、新たなチャレンジを繰り広げていきます。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までにクラウドといえばオラクル、『No.1クラウドカンパニー』となるべく、充実したポートフォリオを備えた「Oracle Cloud」を軸に事業を推進しています」と日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂は語る。

 こうした取り組みの一環としてオラクルでは、2015年4月に開催された「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」において、包括的なPaaS環境である「Oracle Cloud Platform」を発表。計5つのサービスをリリースした。さらに2015年7月にはその第二弾として、6つのサービスを追加。ポートフォリオの拡充を図っている。

“クラウドのチカラ”にかかわる具体的な効果を顧客に明示

 こうしたオラクルのクラウド領域における取り組み強化は、グローバル市場においても、また国内においても着実に成果を上げている状況だ。まず、グローバルを見ると、オラクルにおける2015年度第4四半期のクラウド関連の新規受注金額は、対前年比で200%増の成長を遂げている。これを日本市場に絞って捉えれば、その成長率はさらに著しく、同じく2015年度第4四半期のクラウド関連新規受注金額は、実に440%増という数字となっている。さらに、同四半期に新規獲得したOracle Cloud Platformの顧客はグローバルで1419社。累計では1800社を数える。

 「こうした取り組みのなかで当社が念頭に置いているのは、お客様がITを活用する際、その前に立ちはだかる“敷居の高さ”を解消することです。そして、それを実現できるのが“クラウドのチカラ”、すなわち“The Power Of Cloud by Oracle”にほかならないわけです。我々はこれを“POCO”と命名し、『どれだけのコストで』『どんなことが』『いつまでにできるのか』といった、より具体的な効果をお客様にお伝えしていこうとしています」(杉原)。

 これに関連してオラクルでは、自社でのデータベース環境の構築にかかわるOracle Cloud Platformの活用効果の一例を、オンプレミスで構築したケースと対比させるかたちで示している。まず、オンプレミスでシステムを構築する場合には、たとえばデータセンターのフロアスペースの手配や、サーバー、ストレージの調達などを皮切りに、ざっと90ステップもの作業が必要で、最短でもおよそ5~6週間の期間を要する。これに対し、オラクルのPaaSを利用した場合には、ユーザーが実行する管理者の選定や、データベース・システムのストレージ容量、プロセッサのコア数、メモリサイズの選択など5つのステップの作業のみで、時間でいえば最短30分でデータベースの利用を開始することができる。

 「まさにこれこそがクラウドのチカラ、すなわち“POCO”なのです。オラクルでは、600近い多様な領域のアプリケーションをクラウド上でSaaSとして提供しているほか、ラインアップを強化したPaaSやIaaSについても、順次、いっそうの拡充を図っていくことで、お客様の経営革新に資するソリューションを提供していきたいと考えています」と杉原は強調する。

 続けて、オラクルのクラウド戦略のなかで、2015年7月に第二弾のサービスがリリースされ、さらなる強化が図られているOracle Cloud Platformに着目して紹介していく。

コンポーネントの追加でポートフォリオ拡充を図る

 すでに述べたように、Oracle Cloud Platformに関してオラクルでは、2015年4月にまず計5つのサービスをリリースした。具体的には、Oracle Databaseに基づいてDBaaS(Database as a Service)環境を提供する「Oracle Database Cloud Service」、Oracle WebLogic Serverベースのアプリケーション実行基盤を提供する「Oracle Java Cloud Service」、そのほかクラウドベースのソフトウェア開発環境「Oracle Developer Cloud Service」やファイル共有サービス「Oracle Documents Cloud Service」、BIサービス「Oracle Business Intelligence Cloud Service」の各サービスがラインアップされた。

 その後、2015年7月のリリース第二弾では、すでに述べたOracle Database Cloud Serviceの機能をエンジニアド・システムである「Oracle Exadata」の強力な性能で提供する「Oracle Database Cloud - Exadata Service」、オラクルのSQL実装をHadoopやNoSQLにまで拡張し、クラウド上でのビッグデータ管理を実現する「Oracle Big Data Cloud Service」「Oracle Big Data SQL Cloud Service」をはじめ、クラウド/オンプレミスの両環境にまたがる、オラクルや他社製アプリケーション間の連携を支援する「Oracle Integration Cloud Service」、モバイルアプリの迅速な開発と展開を実現する「Oracle Mobile Cloud Service」、ビジネスユーザーによるクラウド上でのプロセス自動化を支援する「Oracle Process Cloud Service」、そしてアクセス頻度が少ない大規模データの長期保存をサポートする「Oracle Archive Storage Cloud Service」といったサービスがそれぞれ新たに提供されている。

今日のシステムの形態を捉える「SoR」「SoE」という概念

 このようなさまざまなサービス機能を提供するサービス群がラインアップされているOracle Cloud Platformの利点は、クラウド上で新規アプリケーションの構築や既存クラウドアプリケーションの拡張をおこなえることに加え、これまで顧客がオンプレミス環境においてOracle DatabaseやOracle WebLogic Serverをベースに構築・運用してきたアプリケーションを変更することなくシンプルにクラウドに移行できる点だ。


日本オラクル株式会社
執行役副社長
クラウド・テクノロジー事業統括
三澤 智光

 「そうしたOracle Cloud Platformの特質を理解するうえで、1つの指標となるのがマーケティング理論書のベストセラー『キャズム』の著者として知られるジェフリー・ムーアが提唱するシステムの捉え方についての概念『SoR(System of Record)』および『SoE(System of Engagement)』です」と日本オラクル 執行役副社長 クラウド・テクノロジー事業統括の三澤智光は語る。

 まずSoRというのは、たとえば「一定のユーザー数」「一定規模」「ビジネスインテリジェンス」「構造化されたデータ」などのキーワードによって示される従来型のシステムの仕組みである。そして一方のSoEはというと、「膨大なユーザー数」「高い拡張性」「ビッグデータアナリティクス」「非構造・準構造データ」といったタームで言い表される連携を重視した次世代のシステム形態を指す。

 具体的には、これまでオラクルが得意としてきた、定型的な処理を主体とする既存のビジネスシステムの領域がSoRならば、逆にSoEは、たとえば米国のベンチャー企業がスタートアップに用いるような、現在の利用ユーザーが数十人程度であっても、1カ月後には数億人が利用する可能性もあり得るというダイナミズムを持ったシステムの領域だということになる。

SoE系のIaaS基盤が一般化し 重要なSoR系資産が軽視される

 当然、SoRとSoEでは、アプリケーション自体の特性も大きく異なってくる。「ところが、今日、ほとんどのクラウドベンダーが提供しているのは、どちらかというとSoE系のアプリケーションを支えるIaaS基盤であり、SoR系アプリケーションに関する要件を担保し得るクラウドサービスを提供するプレイヤーがなかなか見あたりません。そうした観点では、本来もっとも重要なSoRシステム資産やSoRを熟知している貴重な技術者リソースが軽視されているのではないかと考えます」と三澤は指摘する。

 こうしたことに起因して、もともとSoE系のアプリケーションの稼動を意図したクラウド基盤のうえに、オンプレミス環境で動いているSoR系のアプリケーションを持ち込んだというケースにおいてトラブルが多発しているという話もよく聞かれる。

 そうした場合には、必然的に移行するSoR系アプリケーションやデータを、デプロイ先のSoEのクラウド基盤に合わせるかたちで作り変えざるを得ない。「とくに国内企業の場合、その運用しているアプリケーションのほとんどがSoR系であり、お客様はそれをオンプレミス環境で継続運用するのか、あるいはプライベートクラウドのような環境にもっていくのか、さらにはパブリッククラウドの基盤への移行を断行するのかといったところで、頭を悩ませている状況です」と三澤は説明する。

 これに対しオラクルのクラウド戦略では、SoR/SoEの双方に完全対応した新たなパブリッククラウドを追求している。具体的には、まずPaaS基盤については、既存のSoR系アプリケーションで多用されているOracle DatabaseのSQLとJavaを完全にサポートしており、企業のアプリケーション資産をそのまま移行し、運用することができる。

 加えて、Oracle Cloud Platform上で提供されるSoEアプリケーションに必要な機能を既存アプリケーションに取り込んで、モダナイゼーションが図れるというメリットも提供している。こうした点が、Oracle Cloud Platformにおける最大の差別化ポイントとなっているわけだ。

 「SoR系アプリケーション資産のなかには、たとえば膨大なシーケンシャルI/Oが発生するようなものも多く含まれているはずです。そのようなニーズに応えるべく、今回、クラウド上のデータベース基盤としてOracle Exadataを採用していただくという選択肢もご用意しています」と三澤は紹介する。

Oracle Cloud Platformの4つのメリット

 以上、PaaS基盤であるOracle Cloud Platformの特徴について説明してきたが、あらためてそのメリットをまとめると次の4点に集約できる。

 まず1つめは、「事前統合された包括的なソリューション」であること。これは、オラクルではPaaSを含め、IaaSからSaaSまでをフルラインアップで提供し、アプリケーション、ミドルウェア、インフラの各領域を統合化することで顧客ニーズをトータルに満たしているということだ。

 2つめは「自動化による初期設定・管理コストの低減」。これに関しオラクルでは、クラウド基盤に最適なツール群を提供。たとえば、運用管理ツールである「Oracle Enterprise Manager」の最新版ではオラクルの提供するクラウド環境とオンプレミス環境を単一のツールで管理できるようになっている。バックアップやパッチ適用など見落とされがちな管理コストを抑え、アジリティを向上させることができるのだ。

 そしてメリットの3つめとしては、「効率化された高い開発生産性」があげられる。これについては、Oracle Database Cloud ServiceやOracle Java Cloud Serviceなどをはじめ、適切に統合化されたサービス群が用意され、さらに継続的な開発を支援するOracle Developer Cloud Serviceが提供されていることで、クラウド環境の構築・開発が大きく効率化されているということである。

 そして、最後、メリットの4つめは「TCOの削減」で、オラクルの試算によれば、Oracle Cloud PlatformのOracle Java Cloud Serviceを4年以上にわたって利用した場合の1コアあたりの費用は、月額でおよそ8万円(780ドル)。たとえばOracle WebLogic Serverの仕組みをオンプレミスで使った場合や他社のIaaS上で運用したケース、あるいはOracle WebLogic ServerではなくJBossのようなOSSでの運用をオンプレミスで行った場合や他社のIaaS上で運用したケースに比べて、およそ33~38%程度のコスト削減効果が得られることになるという。

 今後もオラクルでは、Oracle Cloud Platformのサービスのさらなる拡充に努めながら、SaaSやIaaSも含めたOracle Cloudの広範なポートフォリオをますます拡大していくことになる。

オンプレミスのデータベースを機能制限なくクラウドに移行

 それでは以下に、オラクルのPaaS戦略を担うOracle Cloud Platformにおいて、その2本柱となるデータマネジメント、およびシステム開発を支えるミドルウェアの両領域で提供されている各サービスにもう少し踏み込んでそのメリットを紹介しておこう。

 まず、データマネジメント領域について、その中核のサービスとなるのは、もちろんOracle Database Cloud Serviceである。このサービスにおいても、Oracle Cloudにおける基本戦略である、オンプレミスと同様のアーキテクチャで、機能や管理性などについても製品版を確実に踏襲するというスタンスが維持されていることはいうまでもない。

 たとえば、ユーザーがオンプレミス環境で稼動させているOracle Databaseのシステムを他社の提供するIaaS基盤上に移行するような場面を考えたとき、そこではどうしてもこれまで利用してきた機能を完全に継承することが困難になるというケースが多い。

 典型的な例としては、ユーザーがオンプレミス環境で「Oracle Real Application Clusters(RAC)」を利用しているようなケースを想定するとわかりやすい。Oracle RAC自体、データベース・システムの可用性や性能を向上させる仕組みとして、広くOracle Databaseユーザーに利用されているが、そこではデータベースを共有ディスク上に配置することが前提となる。これに対し、IaaS上で共有ディスクが利用できる環境を用意しているパブリッククラウドベンダーは、実のところ、ほとんど存在していないというのが実情だ。このためユーザーは、Oracle RACの利用を断念し、他のアプローチを検討して新たに実装し直さなければならないなど、追加の投資を余儀なくされてしまうことになる。

 これに対しOracle Database Cloud Serviceでは、ユーザーがオンプレミスで利用しているすべての機能を提供。Oracle RACの機能を含め、オンプレミス環境と同様のコンフィグレーション、設定でそのまま運用できるようになっている。

 一方でオラクルでは、こうしたユーザーの既存資産を活用するだけでなく、クラウドならではのメリットをOracle Cloud Platformにおいて提供していこうとしている。これに関し多くのユーザーがデータベース領域におけるクラウド利用の最大のメリットとして認識しているのが、ニーズに応じて、速やかに、必要なデータベース環境を立ち上げられるということだろう。

 これに関しては、本稿の冒頭でもすでに示したとおり、従来のオンプレミス環境では、機器の調達など90ステップもの作業で少なくとも5~6週間の期間が必要だったものが、Oracle Database Cloud Serviceなら、クラウド上に用意された専用の管理ツール上で、必要な項目を適宜選択していくだけの5つのステップにより、最短30分程度でデータベースのプロビジョニングを完了できる。既存資産を最大限に継承しながら、このようなクラウドならではのアジリティを享受できる点は、唯一、オラクルのクラウドのみだといってよい。

エンタープライズ環境におけるデータの管理・活用に広く対応

 Oracle Database Cloud Serviceでは、ユーザーの求めるサービスレベルに応じて、2つのメニューを用意。まず1つめは、部門アプリケーションなど基本的なデータベース用途に合致した「Schema as a Service」で、これは共有型のインスタンス内の1つのスキーマを月単位で利用するタイプだ。もう1つが、より規模の大きなエンタープライズアプリケーションに適した「Database as a Service(DBaaS)」で、こちらはデータベースのインスタンスを従量制もしくは月単位で利用するタイプとなっている。

 さらにオラクルでは、こうしたOracle Database Cloud Serviceを支えるIaaSについても、汎用のx86サーバーをベースとした基盤に加え、これもすでに紹介したようにエンジニアド・システムであるExadataを選択できるようにしている。いうまでもなく、こうした対応は、パブリッククラウド上で大容量トランザクションを扱うミッションクリティカルなシステムのニーズを満たすものとして注目される。

 とくに近年では、企業の間でシステムの集約化に向けた取り組みが推進されてきており、そうしたなかでデータベースがますます巨大化する傾向にある。一般的なIaaS環境では、そうしたデータベースをそのまま移行すると、性能等にかかわる要件を満たし切れなくなってしまうことから、やむなくデータベースを設計し直し、分割するかたちでクラウドへと移行するといったケースも少なくない。オラクルの提供するExadataによるIaaS基盤なら、巨大なインスタンスをクラウド上でそのまま稼動させながら、十分な性能を担保することが可能だ。

 そのほかにも、Oracle Cloud Platformのデータマネジメント領域では、オラクルがオンプレミス環境で提供しているビッグデータ活用に特化したエンジニアド・システム「Oracle Big Data Appliance」をクラウド上のサービスとして展開する「Oracle Big Data Cloud Service」や、オンプレミスやクラウド上のデータベースのバックアップをサポートする「Oracle Database Backup Service」、さらには視覚的なデータ探索をサポートする「Visual Analyzer」を備え、セルフサービス型BI(Business Intelligence)の実現に最適な「Oracle BI Cloud Service」などを用意。エンタープライズシステムにおいて必須の各種データ管理、データ活用にかかわる広範なニーズに応えている。

オンプレミス環境と同じスキルでアプリケーションを実行・管理

 一方、Oracle Cloud Platformで提供される、システム開発を支えるミドルウェア関連サービスの中核コンポーネントとしては、Oracle Database Cloud ServiceとOracle Java Cloud Serviceがあげられる。とくに後者は、Oracle Database Cloud Serviceを利用するアプリケーションを稼動させるためのJava EEプラットフォーム。Oracle Database Cloud Service同様、クラウド上の専用インタフェースを使って、きわめて容易かつ迅速なセットアップによってアプリケーション実行基盤を即座に立ち上げることができ、クラスタリングやソフトウェアロードバランサ、あるいは「Oracle Coherence」によるインメモリレイヤーの設定なども手軽に行える。

 Oracle Java Cloud Serviceの実体としては、オンプレミス版で提供されているWebLogic Serverとまったく同じバイナリをクラウド上に提供するもの。したがって、Java EEで実装されているすべてのAPIが利用でき、例えばJava EE 7の最新アプリケーションもこのサービス上でとくに変更を加えることなく動作させることができる。また、Oracle WebLogic Serverが装備するさまざまなファンクション、たとえば無停止でアプリケーションを更新する機能や自動チューニングの機能、専用のスクリプティングツールのようなものも含めて漏れなく利用することが可能だ。

 また、アプリケーションの運用管理についても、Oracle WebLogic Serverの製品版で提供される管理コンソールをそのまま利用でき、アプリケーションのデプロイやログのチェック、JDKのヒープサイズの変更など、すべてオンプレミス環境と同様のルック&フィールで実施することができる。

 以上のようにOracle Java Cloud Serviceでは、ユーザーがオンプレミス環境において保有するJavaのアプリケーション資産だけではなく、運用管理などにかかわるスキルやナレッジも含めたかたちで、確実にクラウド上へと継承することが可能だ。

システムに付加価値をもたらしモダナイズを実現するサービス

 加えてオラクルでは、Oracle Java Cloud Serviceの付属サービスとして「Oracle Developer Cloud Service」も用意。こちらは、チーム開発において必要となる各種ツール群をクラウドで提供するもので、アプリケーションの開発生産性の向上に寄与する。

 提供されるツール群とOracle Java Cloud Serviceの連携についてはすべて構成済みで、たとえばOracle Developer Cloud Serviceが提供するGitでソースコードを管理し、その修正をマスターに反映すると、自動的にHudsonでのビルドを起動。ビルドに問題がなければ、当該のアプリケーションをOracle Java Cloud Serviceへと自動的にデプロイするといった一連のプロセスの設定が可能だ。

 そのほかにも、Oracle Cloud Platformでは、開発するアプリケーションやシステムにさらなる付加価値をもたらす各種サービスも用意されている。Oracle Mobile Cloud Serviceもその1つだ。今日では、ビジネスにおけるモバイルデバイスの活用が進んでおり、アプリケーションやデータをタブレットやスマートフォンなどで閲覧、操作したいというユーザーのニーズも高まっている。Oracle Mobile Cloud Serviceを活用することで、そうした要求を容易に満たすことが可能だ。

 さらに今日、企業ではオンプレミス環境で稼動させているシステムに加え、オラクルや他のベンダーが提供するSaaSなどをあわせて採用し、ビジネスに活用しているケースが多い。そうしたなかで、これらシステムやサービス間でのアプリケーションやデータの連携が求められるケースも多いはずだ。そうした要請に応えているのがOracle Integration Cloud Serviceだ。このサービスではあらかじめ用意された豊富なアダプタを使って、各種サービスやアプリケーションの連携が容易に行える。


日本オラクル株式会社
クラウド・テクノロジー事業統括
PaaS事業推進室
室長
竹爪 慎治

 また、システム開発という観点では、その工程において、設計書やソースコードといった成果物、テスト仕様書など、多種多様なドキュメントがチーム内で共有されることになる。また、システム開発に限らず一般業務においても、そうしたドキュメントの共有は広範なシーンにおいて不可欠である。そうしたニーズに向けてオラクルでは、Oracle Documents Cloud Serviceを用意。きめ細かなアクセス権限の設定が行え、さまざまなデバイスからのドキュメントファイルへのアクセスが可能になっているのが特徴。あわせて、PowerPointやPDF形式の資料、あるいは画像、動画といったリッチコンテンツを使ったiPad上でのプレゼンテーションを支援するといった便利な機能も備えている。

 「このようにOracle Cloud Platformでは、ユーザーが保有するシステムや人的スキル等も含めた既存資産を確実にクラウド上に引き継ぎながら、アプリケーションに最新のニーズに応じた付加価値を施し、モダナイゼーションしていくための各種サービスを、データマネジメントおよびシステム開発を支えるミドルウェアの双方の領域において提供しているわけです」と日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 室長 竹爪慎治は語る。

あらかじめ要件の明確化が困難なPaaSに最適な契約形態を用意

 では、Oracle Cloud Platformの具体的なサービス提供形態とはどのようなものか。これに関しオラクルでは、2種類のサービス契約のタイプを用意している。1つは、契約期間を設定し、期間中の利用料金を定額で支払うというもの。当然、そこでは使用量に準じた料金の変動が発生しないので、とくにヘビーユーザーにとってみれば、コストメリットの得られる契約形態だといえる。

 もう1つのタイプは、1年間有効の利用権をユーザーが購入し、実利用ベースの従量制によって料金を支払うという「Meteredサービス」。この契約では、データベース、Javaなど同じカテゴリ内のサービスや機能、エディション、リソースサイズなどをプリペイドの枠内で柔軟に選択して利用することができる。

 「あるサービスを契約していて、当初はベーシックなエディションで十分だと考えていても、実際に使ってみると、より高いサービスレベルが必要だったり、拡張的な機能が使いたくなったりすることはよくあることです。そうした際にもMeteredサービスなら、契約を変更することなく、プリペイドの契約内で使いたいサービスを順次切り替えていくことができます」と竹爪は説明する。事実、利用にあたっての目的が明確なSaaSに比べ、PaaSの場合にはあらかじめ要件を明確に設定することが難しいという問題がある。そうした意味で、オラクルのこのMeteredサービスという形態は、PaaS利用に適したものだといえる。

社内に専任組織を設置してPaaS事業強化に向けた施策を展開

 最後に、Oracle Cloud Platformにかかわるビジネスを国内市場において加速させるための、オラクルの体制面を含めた取り組み強化についても触れておこう。これについてオラクルでは、PaaS分野の専任組織である「PaaS事業推進室」を設立。「お客様に対して、Oracle Cloud Platformをよりわかりやすいかたちで紹介し、スムーズに導入していただけるような各種施策を、PaaS領域横断のかたちで展開していこうとしています」と竹爪は紹介する。

 PaaS事業推進室が展開する具体的な施策の一端を紹介しておくと、まずあげられるのが「PaaSスターターパック」の提供。これは、Oracle Cloud Platformのシンプルかつ迅速な初期導入を促進するため、基本的なサービス構成をあらかじめパッキングして提供するものとなっている。

 また、技術者がOracle Cloudにかかわるスキルを獲得するための定額制によるオンデマンド型学習サービス「Oracle Cloud ラーニング・サブスクリプション」の提供も開始している。「オラクルでは、2015年4月にOracle Cloud Platformを発表した際、クラウド技術者1万人を育成していく旨を表明していますが、この施策はその第一弾となるものです」と竹爪は語る。

 また、主にISVといったパートナーに向けた施策となるのが「Oracle Cloud Marketplace」の設置である。このマーケットプレイスに関しオラクルでは、以前からSaaS関連のパートナーに向けて提供していたが、それに加えてオラクルのPaaSを利用してサービスを提供するパートナーも活用できるようなかたちを整えた。

 そのほかにも、Webサイトやコミュニティを通じたクラウドパートナー向けの情報発信の強化やパートナーイベントの開催、さらにはクラウドスキルの習得から再販までのプロセスをカバーする情報、サービス等をパッケージ化したパートナー向けの「クラウドスターターパッケージ」なども提供している。

 「こうしたお客様、パートナー様に向けた各種施策の展開をますます強化していくことで、より多くの企業の皆様にOracle Cloudを採用いただき、ぜひ“攻めのIT”へと舵を切っていただければと思います」と竹爪は力強く語る。

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