【特集】

最先端テクノロジーの数々によりいまクラウド時代は新たな次元へ
~Oracle Days Tokyo 2014 REVIEW~

2014年10月22日、23日の両日、ウェスティンホテル東京(東京・目黒)において、「Oracle Days Tokyo 2014」が開催された。同イベントのメインテーマは「クラウドで切り拓く最先端ビジネス Modern Business in the Cloud」。会期中はオラクル・コーポレーションの製品開発責任者による基調講演、あるいはクラウド活用を実践する企業のリーダーたちによるパネルディスカッションなどを含め、2日間で数多くのセッションが実施され、オラクルの最新テクノロジーや製品の解説、先進事例の紹介などがおこなわれた。

Oracle Days Tokyo 2014
クラウドで切り拓く最先端ビジネス
Modern Business in the Cloud
会  期:2014年10月22日(水)・23日(木)
会  場:ウェスティンホテル東京


日本オラクル株式会社
代表執行役社長 兼 CEO
杉原 博茂

3度目の開催となったOracle Days Tokyo。今回も本イベントに先立ち2014年9月28日~10月2日、米国サンフランシスコで開催されたOracle OpenWorld San Francisco 2014において紹介されたオラクルの最新製品、最先端テクノロジーの数々の解説や、国内企業の事例紹介、トークセッションなどを交えた盛りだくさんな内容で実施された。

 会期初日にイベントの開幕を告げる挨拶に立った日本オラクルの杉原 博茂は、その冒頭で、自身が代表執行役社長 兼 CEOに就任した際に掲げた、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けての「VISION 2020」について触れた。杉原は「オラクルは、2020年までに日本においてもクラウドで一番になります」と語り、『#1 CLOUD』と記された同ビジョンのロゴに加え、日本語でもアピールする『一番 CLOUD』の文字がひときわ目を引くロゴマークを会場に示し、その固い決意を表明した。


プラットフォームが変遷するなか顧客資産を継続的に活かせる環境を

 今回のOracle Days Tokyoでは、まず初日を「Technology Day」とし、クラウドの基盤を支えるテクノロジーレイヤーの話題が、2日目を「Cloud Day」とし、クラウドのなかでもとくにSaaS(Software as a Service)を中心とした話題がそれぞれ採り上げられる構成がとられた。


日本オラクル株式会社
専務執行役員 データベース事業統括
三澤 智光

 まず、初日の基調講演の壇上に立った日本オラクルの三澤 智光からは、Oracle OpenWorld San Francisco 2014で紹介された最新テクノロジーについて、PaaS(Platform as a Service)領域を中心とした紹介がおこなわれた。

 三澤はオラクル・コーポレーションの創業者であり先頃同社の取締役会経営執行役会長 兼 CTOに就任したラリー・エリソンの言葉を引用し「2014年はオラクルにとって大きな転換点になる」ことを強調。エリソンがPaaSの開発部隊に対して要請した3つのテーマを紹介した。

 その1つ目は「Move it to Cloud」。これは、ボタン1つでオンプレミスからクラウドへの移行、あるいはその逆の移行、そしてハイブリッドな運用を自由におこなえるようにするということである。「オラクルのクラウド・プラットフォーム最大のポイントは、Java、SQLという業界標準をベースにデザインされているということ。これにより、お客様のアプリケーションに関し、オンプレミスとクラウドの双方での動作が可能な相互運用性が確保されています。これは他社が追随できないオラクルならではの到達点だと考えます」と三澤は語る。

 一般にクラウド環境では、どうしても利用するクラウドベンダーのAPIなどにロックインされてしまう傾向があるが、オラクルでは徹底した業界標準への準拠により、そうした問題を解消している。したがって、オラクルのデータベース・アプリケーションはオラクルのパブリッククラウドだけではなく、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureでも、またユーザーのプライベートクラウド環境でも同様に動くことが保証されている。「ニーズに応じてさまざまな環境を自由に選んでいただける――。それが、オラクルが守り続けているコンセプトなのです」と三澤は強調する。

 2つ目のテーマは、「Modernize Applications」だ。これは、たとえばユーザーがオンプレミスのアプリケーションなどをオラクルのクラウド・プラットフォームへと移行する際、クラウド上に展開しただけで先進的なアプリケーションへと生まれ変わらせることができるというものだ。具体的には、オラクルのPaaS環境ではソーシャルサービス、モバイルサービス、アナリティクス・サービス、ID管理サービスといったものを提供。移行したアプリケーションではこれらの機能を即座に利用できるようになる。

 テーマの3つ目は、「Lower Your Cost」。前述したような先進的クラウド基盤を、より低価格で利用できるようにするということだ。

 「これまでITのプラットフォームは、メインフレームからクライアント/サーバー、インターネット・コンピューティング、そして現在のクラウド・コンピューティングへと、時代とともに変遷を遂げてきました。その間オラクルでは、いかにプラットフォームが変わろうとも、お客様がアプリケーション資産をそのまま継続的に利用できることを念頭に置いて製品開発に取り組んできました。それこそがオラクルの一貫した理念であるというわけです」と三澤は強調する。

「Software in Silicon」のアプローチでデータベース処理の高速化を極限まで追求

 また三澤からは、Oracle OpenWorld San Francisco 2014で発表された新しいエンジニアド・システムズ製品であるZero Data Loss Recovery Applianceや、Oracle Database Vaultを中心としたクラウド環境におけるセキュリティ関連製品、ビッグデータ活用技術であるOracle Big Data SQLなどの概要も紹介されたが、これらに関しては本稿の後段で改めて採り上げたい。ここでは、三澤の講演で紹介のあった次世代プロセッサSPARC M7について触れておこう。

 オラクルでは、サン・マイクロシステムズの買収以来、T5やM6などの各種プロセッサを発表してきた。今回のSPARC M7はその6番目のプロセッサとなるもので、最大の特長として挙げられるのが「Software in Silicon」というコンセプトに基づいて設計されていることである。

 これについて三澤は「CPUのなかに、Oracleデータベースのソフトウェアコードが入っているというイメージです。SPARC M7プロセッサのなかには、たとえばOracleデータベースのインメモリ技術をより高速化するための圧縮、あるいはセキュリティ保護のための暗号化にかかわるアルゴリズムが実装されています」と説明する。

 通常、こうした圧縮や暗号化といった処理はサーバーのメモリ上で実行されるが、そうするとCPUとメモリの間でI/Oが発生し、そこにオーバーヘッドが発生する。これに対し、アルゴリズムそのものをチップ内部に埋め込んだSPARC M7プロセッサでは、そうしたI/Oにともなうオーバーヘッドがほぼゼロとなり、大幅な高速化が実現されている。

 さらにSPARC M7プロセッサには、ミッションクリティカルな用途を念頭に、データの整合性を担保する機能であるApplication Data Integrityも装備。これにより、何らかの不正なアプリケーションコードが実行されそうになった場合に、サーバーのメモリ上に書込みをおこなわせないといったブロッキングが可能となる。

 「こうした機能を提供しているのは、SPARC M7プロセッサだけです。そうした意味からも、SPARC M7はOracleデータベースを動作させるということに特化するならば、最速かつ最適なプロセッサであることは間違いありません」と三澤は強調した。

◎Technology Day

オラクルのクラウド基盤を支える最新技術と製品群


オラクル・コーポレーション
データベース・サーバーテクノロジー担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
アンディ・メンデルソン

 会期初日のTechnology Dayでは、オラクルのクラウド基盤を支える最新技術、およびそれらを搭載した製品の数々が採り上げられた。午前中の基調講演において、オラクル・コーポレーションでデータベース製品の総責任者を務めるアンディ・メンデルソンよりこれらの技術について包括的な紹介がなされたほか、午後のセッションでは、オラクル・コーポレーション、および日本オラクルの技術担当者によって、各技術についてさらに掘り下げた解説がおこなわれた。


データベース・バックアップの常識を変える最新のエンジニアド・システムズが登場

 その1つが、オラクルがOracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)を2008年に誕生させて以来、ラインアップの拡充につとめてきたエンジニアド・システムズの最新製品となるZero Data Loss Recovery Applianceだ。

 周知のとおり、エンジニアド・システムズとは、ハードウェアとソフトウェアの技術を最適なかたちで融合することで、きわめて高度なパフォーマンスや信頼性、セキュリティを実現するもの。その活用事例はすでに国内外において大きな広がりを見せている。

 「Zero Data Loss Recovery Applianceはまさに、Oracleデータベースを知り尽くしたオラクルならではの製品で、既存のデータベース・バックアップの常識を大きく変えるものです」とメンデルソンは語る。

 元来、データベースのバックアップにおいて目的とすべきは、重要なビジネスデータを決して失わないこと、そして障害などの問題発生時に確実に復旧してビジネスに影響を与えないことである。

 これに関し日本オラクルの山本 祐介は「しかし、定期的にファイルのコピーを取るという従来のバックアップ・ソリューションでは、これらのゴールを達成することはできません」と指摘する。


日本オラクル株式会社
データベース事業統括
製品戦略統括本部
プロダクトマーケティング本部
Database & Exadata推進部
担当マネジャー
山本 祐介

 たとえば週次でバックアップを取っているケースでは、システムに何か問題が発生すると、最後にバックアップが取られたあとでアップデートされたデータが最大で約1週間分消失してしまうリスクがある。一方で、バックアップを取るという処理自体、本番環境への性能上のインパクトが大きく、バックアップのためにシステムを停止する時間帯、いわゆる「バックアップウィンドウ」を設ける必要があり、本番システムの運用時間を逼迫させてしまっているケースも少なくない。

 これに対しZero Data Loss Recovery Applianceでは、一度フルバックアップを取得したあとは、永遠に差分バックアップでの運用が可能だ。あわせて、データベースのREDOログをサーバーのメモリからアプライアンスに継続的に送信する。これにより、本番用データベースへの影響やI/Oトラフィック、ネットワークの負荷を最小化しながら、最新のトランザクションをリアルタイムで保護し、データ損失のないリストアを可能にしている。

 「このとき、たとえば1カ月単位で、すべてのデータをこのアプライアンスにオフロードして保持しておくことができるので、その間の任意の時点を指定してデータをリカバリするといった運用が可能です」と山本は説明する。

 さらに、Oracle Database 10g/11g/12cといった各バージョン、さらにはSolarisやLinux、Windows、HP-UXといったあらゆるプラットフォームに対応し、数千ものデータベースを単一のアプライアンスでバックアップできることも、Zero Data Loss Recovery Applianceの大きな特長となっている。

トランザクション処理、分析処理 双方において威力を発揮するインメモリ技術


日本オラクル株式会社
データベース事業統括
製品戦略統括本部
Cloud & Big Data推進部長
佐藤 裕之

 また、Oracle Database 12cのオプション機能として提供されるOracle Database In-Memoryも、Technology Dayにおける重要なトピックの1つとなった。一般に商用リレーショナル・データベースでは、データがロー(行)型で表現されており、このフォーマットはトランザクション処理に向いているとされる。一方、データベースではカラム(列)型によるデータ表現も可能で、こちらはアナリティクス用途において多用されており、トランザクションには性能などの問題から不向きとされる。

 「Oracle Database In-Memoryでは、同一のデータをロー型、カラム型の両方でメモリ上にロードして保持することで、トランザクション処理、アナリティクス処理の双方に適したデータベース環境を提供しています」と日本オラクルの佐藤 裕之は語る。

 具体的には、ディスク上のデータベースについてはあくまでもロー型によるデータの格納をおこないながら、とくにアナリティクスにおいて活用すべき部分を指定してカラム型でメモリ上にロード。アプリケーションの処理内容に応じて、メモリ上に展開されたロー型、カラム型のデータを自動選択できるという「インメモリ・デュアル・フォーマット」の仕組みが実現されている。

 「これにより、集計・レポーティングなどのクエリ処理で100倍の高速化が可能となるほか、混合ワークロードの環境であれば、アナリティクス・インデックスを保持する必要がなくなることから、トランザクション処理においても大幅に高速化できます」とメンデルソンは解説する。

特権ユーザーの権限を適切にコントロール 懸念の高まる内部からの情報漏洩を防止


日本オラクル株式会社
データベース事業統括
データベースエンジニアリング本部
Big Data & Security技術本部
プリンシパルエンジニア CISSP
西村 克也

 さらにオラクルでは、企業システムのクラウド化を推進するユーザーにとって、避けて通れないセキュリティ対策にかかわる新技術の提供も進めている。とくに最近、企業で危機感が高まっているのが、データベース管理者など企業内部の権限者による情報漏洩のリスクだ。

 「こうした問題を解消するうえで重要なポイントとなるのが、特権ユーザーに対し適切な権限とルールを付与するということだ。具体的には、職務分掌の考え方が不可欠です」と日本オラクルの西村 克也は語る。

 一般に企業では、社内のデータベース管理者にはデータ管理、チューニング、運用管理といったすべての作業をおこなう権限を与えているほか、パートナーのSEなどにも同様の権限を与えているケースが多い。場合によっては、パートナーがデータベースにかかわる業務をさらに外部の業者に委託しているといったことも考えられる。

 そうなると、これらすべての担当者が企業の重要な資産であるデータにアクセスし、取り出せる権限を有していることになる。こうしたことがセキュリティ上、大きな問題を抱えていることはいうまでもない。


オラクル・コーポレーション
プロダクトマネジメント&
ビジネスディベロップメント
シニアディレクター
ダン・コロスキー

 このような特権ユーザーを含めたアクセス制御を実現しているのがOracle Database Vaultだ。その活用により、職務に応じた適切なアクセス制御による職務分掌を実現することができる。たとえば社内やパートナーのデータベース管理者には、チューニングや運用管理は認めるがデータ管理をおこなえないようにし、さらにパートナーの外注先のデータベース管理者には運用管理のみを許すといった詳細な権限設定を企業のセキュリティポリシーに応じておこなえる。

 こうした権限設定に加え、内部脅威に対するセキュリティ対策としては、データベースアクセスにかかわる監査ログの取得も不可欠だ。さらに、外部からの攻撃がますます巧妙化している状況にあって、データベースに格納された情報を狙ったSQLインジェクションなどの攻撃への対策も重要である。オラクルでは、こうした監査と防御の機能を統合化したOracle Audit Vault and Database Firewallといった製品も提供している。

 「このようなアクセス制御や権限設定、監査ログの管理といった、Oracleデータベースにかかわるセキュリティ対策のマネジメントについては、Oracle Enterprise Managerのセキュリティ・コンソールを用いて統合的、集中的におこなうことが可能です」とオラクル・コーポレーションのダン・コロスキーは語る。

既存のSQLによる開発ノウハウをHadoop環境において活かすことが可能

 ビッグデータ時代を支える革新的な新技術としてオラクルが提供しているのがOracle Big Data SQLだ。現在企業におけるビッグデータ活用の重要性が叫ばれているが、その一方で、Hadoopのアプリケーション開発には相応のスキルが必要で、エンジニアの確保が困難だという問題も浮上している。さらに、データ保護についても決して堅牢とはいえないHadoopのセキュリティに頼らざるを得ないという状況や、処理すべきデータ量がますます増大するなかでHadoopの性能では追いつかなくなってきているという問題もある。

 Oracle Big Data SQLは、Oracleデータベース、Hadoop、そしてNoSQLデータベースの間でのシームレスなデータ統合を実現する技術だ。ビッグデータ活用に特化したエンジニアド・システムズ製品であるOracle Big Data Appliance上で稼動し、Oracle Exadataと連携動作する。「ここで重要なのは、これら異なるデータマネジメント・レポジトリをまたがるシームレスな統合が、シンプルなOracle SQLの活用によっておこなえるということです」とメンデルソンは強調する。

 したがって、Oracleデータベースの配下にHadoopファイルシステム(HDFS)を置くことで、Hadoopにかかわるすべてのアプリケーション・デザインをSQLによっておこなえる。つまり、SQLのエンジニアさえいれば、Hadoopのアプリケーション開発が可能であるというわけだ。また、Oracleデータベースの下にHDFSを置いた環境では、Oracleデータベースの提供するセキュリティ機能が有効となる。さらに、Oracle Exadataで培ったSmart Scanと呼ばれる超分散並列処理のテクノロジーをHadoopストレージに適用し、より高速なビッグデータ処理を実現することもできる。

 以上のように、初日のTechnology Dayは、クラウド時代を切り拓くオラクルの最新技術や製品にかかわるセッションがおこなわれ、詰めかけた参加者の熱気のなかプログラムが進んでいった。

◎Cloud Day

2020年までにクラウドのNo.1カンパニーを目指す


オラクル・コーポレーション
アプリケーション開発&
プロダクトマネジメント担当
バイスプレジデント
ダグ・ヒューズ

 冒頭でも紹介したように2020年を目標に日本市場におけるクラウドのNo.1カンパニーを目指すオラクル。SaaS、PaaS、IaaS(Infrastructure as a Service)という各レイヤーを包括的に網羅する最先端の技術やソリューションの提供に向けた取り組みを継続的におこなっている。

 会期2日目のCloud Dayでは、前日同様、多種多様なセッションをとおしてOracle Cloudのサービスの全貌が伝えられるとともに、国内先進企業の事例紹介もあわせておこなわれた。ここでは、この日午前に実施されたオラクル・コーポレーションのダグ・ヒューズの基調講演に沿って、SaaSを中心としたオラクルのクラウド戦略を解説する。

クラウドに対する顧客ニーズの拡大にあわせ サービス展開のスピードを加速

 オラクルではSaaSの分野について、オープンスタンダードの技術に基づくエンタープライズ・ソリューションの提供を一貫して目指してきた。そして今日では、売上げベースで世界第2位のベンダーへと大きな躍進を遂げており、提供する製品・サービス数は594にものぼる(2014年10月22日時点)。

 「企業のお客様は、単にCX(Customer Experience:カスタマー・エクスペリエンス)やHCM(Human Capital Management:人材管理)の機能を単体で必要としているのではなく、それらの機能を統合したエンタープライズ・クラウドこそを求めているのであり、オラクルが目指すのもそうした次世代クラウドの提供にほかなりません」とヒューズは語る。

 Oracle CloudではSaaS領域に関し、すでに述べたCX、HCMに、ERPを加えた各ソリューションセットを提供している。たとえばCXの分野では、マーケティングや営業、サービス、Eコマースといったサービスを提供。またHCMの分野では、グローバル人事、タレントマネジメント、さらにERPについても財務管理、プロジェクト・ポートフォリオ管理、調達管理、サプライチェーン管理といった各サービスがラインアップされている。

 「この1年間でこれらのサービスを新たに採用してくださったお客様は、CXが1101社、HCMで959社、ERPは263社と急速な勢いで拡大している状況です」とヒューズは紹介する。

 このようにクラウドサービスにおける顧客ニーズが加速度的に拡大するのに歩調をあわせ、オラクルでもサービス展開のスピードをさらに加速している。同じく過去1年で見れば、データ管理プラットフォームやフィールドサービス、PLM(Product Lifecycle Management)など6つのソリューションセットを新たに登場させ、アプリケーション・クラウド・ポートフォリオ全体で130以上の製品を新たに追加している。

 「なかでもオラクルの提供するSaaSにおける差異化の重要なポイントとなっているのが、年3回という頻度で新たなリリースを出し、常に最新の機能をお客様に利用いただけるよう努めていることです」とヒューズはいう。そのほか、サービス提供のためのデータセンターについても2014年に入って新たに2カ所を開設している。

プロセスやオペレーションがビジネス視点でシームレスにつながる

 オラクルでは、こうした製品展開によって、クラウド分野のマーケットを牽引していく際のポイントとして、ソリューションのカバレッジを拡大し、幅広い分野をサポートしていくことこそが重要であると捉えている。そうしたなかで各業界に特化したソリューションなども提供していくことになる。

 それら新製品の提供にあたっては、オラクル自身が開発したもののほか、買収により最適な製品を取得していくというアプローチも継続的にとっていくことになる。これに関しヒューズは「ただし、製品の買収においても、オープンスタンダードに沿ったものであることが選定のポイントとなります。もちろんそれは、プロプライエタリな技術では、お客様の将来的な選択肢を狭めてしまうとの考えからです」とオラクルの一貫した姿勢をあらためて強調する。

 またオラクルでは、そうした展開を進めていくうえで、自社の提供するSaaSに関する3つの要件を掲げている。まず1つ目は「パーソナライズ」である。つまり、ユーザー自身に最適なルックアンドフィールを、個人レベルでも、また法人レベルでも得られるようにするということだ。

 2つ目は、「コネクテッド(接続性)」。これは単にシステムが連携するというよりも、ビジネス的な視点でプロセスやオペレーションがつながるということだ。「たとえば企業が人材を採用したような場合、人事システムだけではなく、財務システムや人材育成のシステムなどにもそれがシームレスに反映される必要があります。それが、エンタープライズ・システムの本来あるべき姿だといえるはずです」とヒューズは語る。

 そして3つ目が「セキュア」である。いうまでもなく、セキュリティの担保はクラウド活用においてもっとも切実な課題の1つだ。これに関してオラクルでは、データベースの利用をはじめとする分野で長年にわたり、セキュリティ維持のための技術開発を真摯に継続してきた。そのノウハウがSaaSの提供においても最大限に活かされているというわけだ。

共通化されたプラットフォームでオンプレミス/クラウド間の移行を容易に

 そしてぜひとも明記しておきたいのが、オラクルのSaaSが、前日のTechnology Dayで紹介されたOracleデータベースやエンジニアド・システムズが提供するさまざまな最新機能を実装したPaaS上で動作しているということだ。オラクルのSaaSにはこれにより、ソーシャルサービスやモバイルサービス、アナリティクス・サービス、ID管理サービスといったものが最初から組み込まれて提供されている。

 「こうした共通化されたプラットフォーム、データベース構造に基づいているという事実は重要で、お客様がオンプレミスからクラウドに移行したい、あるいは逆にクラウドからオンプレミスに戻りたいと考えるケースにおいても、アプリケーションの改修などをおこなうことなく、容易かつ速やかな移行を実現します」とヒューズは語る。

*   *   *

 Oracle Days Tokyo 2014では、企業において本格的な活用が進むクラウドを新たな次元へと導くオラクルの最新鋭の技術・ソリューションの数々が示された。いま企業に求められているのは、その積極的な活用により、まさにクラウドで最先端ビジネスを切り拓いていくことにほかならない。

ページの先頭へ