SPARCによる成功
~最新のSPARCプロセッサとSPARCシステムがビジネス・プロセス強化の中核になる~

 サーバー統合プロジェクトの目的は、コストを削減し、データセンターのパフォーマンスを向上することにある。だが、SPARC T5サーバーやSPARC M6サーバーなど、オラクルのSPARCサーバーを導入する企業ではメリットはそれだけではない。ハードウェア製品のリプレースにせよ、ITインフラの完全な刷新にせよ、新世代のSPARCサーバーにOracle Solaris OSのパワーと信頼性を組み合わせることで、運用コスト削減、業務運営の改善、容量の拡大、能力の強化といった、さまざまなメリットが得られ、なかには優秀なIT技術者の獲得につながった例まである。

シームレスな信頼性

 テレビ放送には、地上波やケーブル、衛星などの形態があるが、いずれも24時間365日体制の運用が求められる。ボタンやスイッチの操作ひとつで確実かつシームレスに動作しなくてはならない。インドのムンバイに本社を置くタタ・スカイは、インドの一般家庭向けに衛星テレビ放送サービスを提供している代表的な事業者で、契約数は1,500万世帯以上に及ぶ。

 「当社は、標準画質とハイビジョンのテレビ放送、ビデオオンデマンド、モバイルテレビ、映画、標準画質とハイビジョン対応の個人用ビデオレコーダーなど、多彩なテレビサービスと、ゲームや教育用アプリケーションなど、インタラクティブ・コンテンツの提供を手がけています」。インドの大手複合企業体タタ・グループと、米国系の大手メディア企業スターTVの合弁事業であるタタ・スカイのCIO(最高情報責任者)、N・ラヴィシャンケル氏は話す。


タタ・スカイ CIOのN・ラヴィシャンケル氏によると、SPARCシステムを導入したことで、同社の中核を成すビジネス的にクリティカルなアプリケーションに、パフォーマンスの向上、コストの削減、運用のシンプル化、信頼性と可用性の向上などの大きな効果がもたらされた。

 同氏によると、2012年にタタ・スカイは、増え続ける加入者への対応力を高めるため、処理能力と機能の両方を強化したいと考えた。「この市場には成長への大きな可能性があります。ケーブルテレビの乗り換えが活発であるだけになおさらです。日常的に幅広く利用されるサービスであることから、拡張性と信頼性に関して、当社も多くのB2C企業と同じような課題に直面しています。ハードウェアを刷新し、加入者の増加に対応できるよう処理能力を強化する必要がありました。また、DR(ディザスタリカバリ)サイトを立ち上げ、現在のお客様が期待する24時間365日体制の信頼性と可用性を実現することも必要でした」(ラヴィシャンケル氏)。

「新しいSPARCシステムを導入したことで、実行速度が10倍になったアプリケーションもあります」

タタ・スカイ CIO
N・ラヴィシャンケル氏

 タタ・スカイは、Oracle Solaris OSで動作するSPARCサーバーを創業当初から利用してきた。2006年の創業時点で利用したのは、SPARCベースのSun Fire E20Kサーバーである。そして、ITインフラの刷新と強化にあたっても、新しいSPARCサーバーに注目した。まずは2012年にSPARC Enterprise M9000サーバーとSPARC T4サーバーを採用し、続く2013年にはオラクルのSPARC T5サーバーとSPARC M5サーバーも導入した。

 ラヴィシャンケル氏によると、これらのSPARCシステムを導入したことで、課金システム、スマートカードの管理システム、電子クーポンの配布システム、顧客のオンライン注文の処理システムなど、タタ・スカイの中核を成すビジネス的にクリティカルなアプリケーションに、パフォーマンスの向上、コストの削減、運用のシンプル化、信頼性と可用性の向上などの大きな効果がもたらされた。

 「新しいSPARCシステムを導入したことで、実行速度が10倍になったアプリケーションもあります。以前は1回のトランザクションに4秒かかっていたアプリケーションが、現在では0.4秒です。このため、映画の視聴や新しいチャンネルへの加入など、オンラインでお客様から入った注文に対し、ほぼ瞬時に応答を返すことができます」(ラヴィシャンケル氏)。

 タタ・スカイは、インドの都市プネーに初のDRサイトを構築した。「新しいデータセンターを開設したことで、本番環境のプライマリ・サイトが完全に停止したとしても、90分足らずで復旧、再稼動できます。新しいSPARCサーバーのパワーを活かしたDRサイトによって、お客様に提供するサービスの信頼性と可用性が高まりました」とラヴィシャンケル氏は話す。

 ラヴィシャンケル氏は続けて、「ライセンスも込みで運用コストを20%削減し、データセンターに必要な設置面積を抑え、エネルギー効率を高め、さらに、61のレガシーシステムを追加コストなしで統合することができました。いずれも、SPARCの高度な仮想化技術と、リニアなスケーラビリティのおかげです。これらすべてを実現し、より少ないマンパワーでサービスレベルを維持することができるようになりました」と説明する。

 SPARC T5サーバーやSPARC M6サーバーを導入した企業は、ごく普通にこうした数々のメリットが得られていると、オラクル・コーポレーション システムグループ SPARCシステム担当シニア・バイスプレジデントのマスード・ヘイダリは話す。

 ヘイダリは、「かつて企業は、1つのアプリケーションを1台のサーバーに割り当てていました。しかし、SPARC T5サーバーやSPARC M6サーバーは並外れた性能を誇るシステムです。このため現在では、企業は通常こうしたサーバーで複数の仮想マシンを稼動し、1つのシステムに複数のアプリケーションを展開しています。この結果、パフォーマンスが大きく向上するのみならず、投資収益率も高まります」と説明する。

信用を支える技術

 どのような業種や経済圏であっても、パフォーマンスは重要である。現在トルコでは、民間部門が急速な拡大を見せている。その大きな後押しとなっているのが、消費者信用の存在だ。


SPARCサーバーへのサーバー統合によって、ヤピクレディは物理サーバーと仮想ホストの数を削減した。「レガシーサーバーを、新しいSPARC T5サーバーに統合する作業を進めています。仮想化技術を活用し、80のホストを50に減らし、10 台のマシンで稼動するようにします」と、ヤピクレディのインフラ業務、およびセキュリティ担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、シナン・オゼール氏(左)は語る。

 「トルコではクレジットカードが広く浸透していますが、消費者信用へのニーズは現在も拡大が続いています」と、ヤピクレディのインフラ業務、およびセキュリティ担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、シナン・オゼール氏は語る。ヤピクレディは、1944年に設立されたトルコ初の民間銀行だ。同国の民間銀行では4番目の大きさを誇る。1991年に同国で初めて消費者向けのクレジットカードを導入した銀行でもある。

 ニーズの拡大と歩調を合わせていくために、ヤピクレディは現在、クレジットカードの処理を、これまでの旧式のメインフレームとSPARC以外のUNIXサーバーを利用したレガシー・システムから、このワークロードを大規模で性能とコスト効率に優れたオラクルのSPARC T5シリーズのサーバーに統合し、Oracle Solaris 10オペレーティング・システムとOracle VM 3.0で稼動するための移行作業を進めている。

 「レガシー・サーバーを新しいSPARC T5サーバーに統合する作業を進めています。仮想化技術を活用し、80のホストを50に減らし、10台のマシンで稼動するようにします。これが完了した時点では、すべての処理の65%にSPARCサーバーで対応していることになります」とオゼール氏は語る。

 これらのSPARCシステムで対応するのは、消費者のクレジットカードの処理だけではない。リテールバンキング、加盟店向け業務、リスクマネジメント、基金など、銀行の中核的なサービスも含まれているとオゼール氏は話す。

 ヤピクレディがSPARCシステムを選んだのは、SPARCアーキテクチャと、エンタープライズ向けUNIX OSオペレーティング・システムの代表格であるOracle Solarisを以前から頼りにしてきたからだ。「当行は15年前からOracle Solarisを利用しています。かつて、銀行業務の中核的なアプリケーションの多くをOracle Solarisに移行しました」(オゼール氏)。

 現在のSPARC T5サーバー導入プロジェクトが年内に完了した時点で、コストの大幅な削減が可能になると同行は見込んでいる。オゼール氏は「新しいSPARCシステムは、リプレース前のメインフレームと比べて、メンテナンスコストを3分の1削減できます。電気料金や冷却コストは現在の4分の1以下です。こうしたコスト削減の結果、投資金額は2年足らずで回収できる見通しです」と話す。

さらなる展開

 ヤピクレディのITシステムの刷新は、これで終わりではない。さらなるSPARCシステムを導入する予定だ。

 「今年はこのあと、SPARC M6-32サーバーを導入することになります。こちらは、残りの中核アプリケーションをSPARCとOracle Solarisに移行するために利用します。また、こうしたアプリケーションをJavaベースで作成し直す予定です。これが完了したら、当行の中核的なアプリケーションのすべてがSPARCとOracle Solaris上で稼動することになります」とオゼール氏は語る。

 オゼール氏によると、ヤピクレディが手にしたのは、コスト、信頼性、パフォーマンスに関するメリットだけではない。オープンなプラットフォーム、SPARCサーバー、Oracle Solarisを利用したことでほかのメリットも得られた。優秀なIT技術者だ。

 「メインフレームに精通した人材を十分に確保することは、きわめて困難になりつつあります。若い世代が興味を示すのは、もっぱら最新のテクノロジー、つまりSPARCやOracle Solarisのようなシステムなのです」とオゼール氏は話す。

マルチスレッド

 金属の筐体に収まったオラクルの次世代サーバーであるSPARC T5サーバーとSPARC M6サーバーは、外観がよく似ているだけでなく、利用しているコンポーネント、テラバイト(TB)級のメモリ、ストレージなど、共通する部分は多い。異なるのは、それらをどのように組み合わせているかであり、それが規模の違いとして表れている。

 「両システムは、どちらも同じタスクに対応できるように設計されていますが、設計に対するアプローチの仕方が異なります」と、オラクル・コーポレーション SPARCシステム 製品管理ディレクターのレナト・リベイロは語る。「SPARC T5サーバーは、かなりのキャパシティまでスケールアップでき、使用するサーバーラックはわずかです。一方、SPARC M6サーバーは、SPARC T5システムの最大構成より4倍のキャパシティに対応できます」。

 SPARC M6サーバーの設計とキャパシティには、さらに別のメリットもある。「SPARC M6サーバーはコンポーネントの冗長性が高いため、可用性とサービス可能性に優れています。したがって、より多くのアプリケーションを統合したり、展開する仮想マシンを増やしたりできます。しかも、拡張性の高い設計によって、パフォーマンスもさらに向上します」(リベイロ)。

 SPARC T5サーバーとSPARC M6サーバーの設計の違いは、システム構成にも明確に表れている。SPARC T5システムのラインアップは、単一のプロセッサと256ギガバイト(GB)のメモリを搭載したブレードサーバーから、8基のプロセッサと4TBのメモリを搭載したサーバーまでだ。

 2013年9月に登場したSPARC M6のラインアップは、SPARC T5の最上位機種のさらに上に位置する。オラクルのこれまでのSPARCサーバーのなかでもっとも強力で、最大の拡張性を誇る最新機種だ。最上位機種のSPARC M6-32は、12コアで3.6MHzのSPARCプロセッサを最大32基と、メインメモリを最大32TB搭載できる。各SPARCプロセッサが12コアというのは、1世代前のSPARC M5プロセッサの倍のコア数だ。また、各コアでは8スレッドを同時に処理できる。つまり、最上位機種の384コアでは、3,072スレッドを処理できるということだ。「SPARC M6-32サーバーは、現在利用されているなかで最大級の負荷がかかる超大規模なアプリケーションの稼動に対応できる処理能力があり、すべてをインメモリで処理できます」とリベイロは話す。

 新しいSPARC T5サーバーとSPARC M6サーバーには、大規模なマルチプロセッサシステムの従来の常識に反している部分がほかにもある。プロセッサが2基のSPARC T5-2サーバーから、プロセッサが32基で何TBものメモリをもつSPARC M6-32サーバーまで、性能にほぼ比例した価格となっていることだ。「数多くのプロセッサとTB級のメモリを搭載した機種まで、多彩なラインアップがありますが、パフォーマンスに優れた上位機種でも、価格の余分な上乗せはありません」とリベイロは説明する。

統合システム

 2014年4月、オラクルはOracle Solaris 11.2を発表した。豊富な実績を誇るエンタープライズクラスのOSに、OpenStack*1の完全なディストリビューションと、SDN(Software Defined Networking)*2、クラスタリング、仮想化を統合した、エンタープライズ・クラウド・プラットフォームだ。

 Oracle Solaris 11.2環境に統合されたOpenStackの機能では、コンピューティング、ネットワーク、ストレージの各リソースの共有と管理に対応した標準的なセルフサービス環境を実現でき、仮想マシンの迅速な展開が可能だ。アプリケーションからストレージまで、アプリケーション主導のSDNによって、データセンター内やクラウド環境内でサービスレベル契約を維持できる。Oracle Solarisゾーン*3ではオーバーヘッドのない仮想環境を実現でき、カーネルゾーンではOSの独立や分離を実現できる。

 オラクル・コーポレーションのシステム担当エグゼクティブ・バイスプレジデント ジョン・ファウラーは次のように説明する。「OS、仮想化、SDN、OpenStackを1つに統合したOracle Solaris 11.2は、包括的なクラウド・プラットフォームです。シンプルさ、効率性、安全性、コンプライアンスを備えたオープンなエンタープライズ・クラウド環境を実現できます。お客様のビジネスを加速し、クラウド・コンピューティングの可能性を活かしながら、コストを削減できる設計となっています」。

*1 2010年にスタートした、200社以上が参加しているIaaSクラウドコンピューティングプロジェクト
*2 ソフトウェアによってネットワークを制御し、その構成や機能、性能などを動的に変更できるようにする技術
*3 Solaris空間を分割して複数の仮想Solaris環境を作成できるソフトウェア仮想化テクノロジー

SNAPSHOTS

タタ・スカイ
tatasky.com

本  社:インド ムンバイ
業  種:メディア、およびエンターテインメント
従業員数:1,500人
オラクルの製品とサービス:SPARC T4-2、およびSPARC T4-4サーバー、SPARC T5-2、およびSPARC T5-4サーバー、SPARC M5-32サーバー、SPARC Enterprise M9000、Oracle Solaris 11とOracle Solaris Zones Preflight System Checker、Oracle Solaris Cluster(高可用性向け)、Oracle Database 11g、Oracle Real Application Clusters、Oracle Enterprise Manager、Oracle VM 3.0、Siebel Customer Relationship Management、Oracle Active Data Guard、Oracle Advanced Customer Support Servicesアプリケーション

ヤピクレディ
yapikredi.com.tr

本  社:トルコ イスタンブール
業  種:金融サービス
従業員数:1万4,865人
オラクルの製品とサービス:SPARC T5-4、SPARC T4-4、SPARC T4-2、およびSPARC T4-1サーバー、SPARC Enterprise M9000、Oracle Solaris 10、Oracle Database 11g、およびOracle Database 10g、Oracle GoldenGate、Oracle Internet Directory

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