クラウド完全体へ


 オラクルはこのほど24種類の新しい標準技術準拠のプラットフォーム・サービスとインフラストラクチャー・サービスを発表し、アプリケーション、プラットフォーム、およびインフラストラクチャーの3つの領域でクラウド・サービスを包括的かつ統合的に提供できる存在となった。これで、世界でもっとも包括的なエンタープライズ・クラウド・ポートフォリオが完成することとなるこれらのサービスは、アプリケーション開発、データ管理、ビジネス分析、統合、モバイル、およびインフラにおけるオラクルの高度な専門知識を何よりも明確に示している。2015年6月22日、オラクル・コーポレーション 取締役会経営執行役会長 兼 CTOであるラリー・エリソンは、オラクル本社に詰めかけた熱心な顧客、パートナー各社、アナリスト、報道陣を前に「プラットフォーム・サービスとインフラ・サービスが完成したと宣言できる段階まできました」と発言した。
 エリソンは、このプレゼンテーションのなかで、オラクルのクラウド・テクノロジーはオンプレミス向けにオラクルが提供するテクノロジーと「寸分違わない」と何度も強調した。これは、社内データセンターのコンピューティングと外部クラウド・リソースの連携を求める企業にはとくに重要な点だ。このようなハイブリッド・アーキテクチャを念頭に、エリソンは「今後10年間、オンプレミスのデータ処理とクラウドによるデータ処理が共存します」と語った。
「オラクルはアプリケーションをクラウドに構築するサービスの完全なスイートをもつに至りました」

オラクル・コーポレーション 取締役会経営執行役会長 兼 CTO
ラリー・エリソン

 今回発表したサービス群の採用により、オラクル・アプリケーションに限らず、社内で利用するすべてのアプリケーションをデータセンターからクラウドに移動したり、さらに再び元に戻したりすることが可能となる。「オラクルの戦略は、同じテクノロジーをオンプレミスとクラウドに提供して、お客様がアプリケーションとデータを簡単に、ボタン1つで移動できるようにすることです」とエリソンは説明した。

新規、統合、ソーシャル シンプルでモダンなユーザー・インタフェース

 新しいクラウド・サービスの大半は、「Oracle Cloud Platform」の下に展開されるPlatform as a Service(PaaS)製品だ。エリソンは、PaaSを「オラクルにとってきわめて重要なビジネス」と表現した。たとえば、アプリケーション開発に関して言えば、Java EEに加えて、Java SE向けクラウド・サービス、JRuby、Node.jsも提供される。「Oracle Mobile Cloud Service」は、多機能マルチプラットフォームのアプリケーション開発とモバイル・ユーザー管理を可能にする、新しいバックエンド・エンジンだ。また、ブラウザで簡単に使用できるアプリケーション・ビルダー開発ツールもクラウド・サービスとして提供される。「Oracle Application Builder Cloud Service」は、オラクルのSoftware as a Service(SaaS)製品を簡単なドラッグ&ドロップ操作で拡張することを可能にする。

 従来、オラクルは顧客のビッグデータ・プロジェクトをオンプレミスのビッグデータ・テクノロジーでサポートしたが、これに新たにクラウドのオプションが加わる。「Oracle Big Data Cloud Service」は、Apache Hadoop 2のClouderaディストリビューション、Apache Spark、およびOracle NoSQLを使って、半構造化データと非構造化データを処理する。

 新しいビジネス分析サービスによって、ビッグデータのリポジトリからより多くの有益な情報が引き出される。「Oracle Big Data Preparation Cloud Service」は、構造化データ、半構造化データ、および非構造化データを前処理し、「Oracle Big Data Discovery Cloud Service」は、Hadoopデータセットのビルドと共有をサポートする。「Oracle Data Visualization Cloud Service」は、ビジネス・ユーザーがテキストファイルやスプレッドシートのデータを速やかに分析できる、Webブラウザベースのサービスだ。「Oracle Internet of Things Cloud Service」は、センサーからゲートウェイまで、幅広いデバイスからデータ・ハーベストの実行をサポートする。

 新しい一連の重要なクラウド・サービスは、クラウドとハイブリッドIT構成におけるコラボレーションと統合の重要性に応えるものだ。「Oracle Process Cloud Service」を使うと、ビジネス・アナリストはクラウドのワークフローを自動化でき、ビジネス・プロセスを管理できる。「Oracle Integration Cloud Service」は、オンプレミスとクラウドのアプリケーション統合の際の、双方向のデータ移動をリアルタイムで簡単におこなうことを可能にする。

 また、オラクルのクラウド・アプリケーション開発プラットフォーム・サービス(オラクル自身が開発に使うものと同じサービスセット)を使うと、ほとんどのユーザーがアプリケーションに求める機能がサービスによって自動的に組み込まれる点も注目に値する。「これらはシンプルで、モダンなユーザー・インタフェースを備えています」とエリソンは説明し、さらにこう続けた。「アプリケーションはモバイルであり、アプリケーションはソーシャルです。それは、基盤とするプラットフォームの特性が受け継がれるからです」

リソースを簡単に拡張できる「弾力性」 顧客がリソースを独占的に利用できる「専用性」

 オラクルは、IaaSへの真摯な取り組みの成果として、新しいIaaSクラウド・サービスを発表し、低コストと高性能を兼ね備えるコンピューティング・リソース、ネットワーキング、およびストレージを実現した。

 Oracle Cloudのコンピューティング・リソースをサーバー・ラックや仮想マシン単位に接続できるため、弾力性と専用性がある。弾力性とはリソースを簡単に拡張できることを意味し、専用性とは顧客がリソースを独占的に利用できることを意味する。「オラクルのDedicated Compute Serviceは、クラウドに予測可能なパフォーマンスを与えます」とエリソンは語った。また、この専用のコンピューティング・リソースは、オラクルを基盤とするワークロードに限らず、あらゆるワークロード実行に利用できる。「繰り返しますが、あらゆるアプリケーションを実行できるのです」と彼は強調した。

 新しい2つのストレージ・サービスについても触れたい。「Oracle File Storage Cloud Service」は、データをOracle Cloudに保存し、使い慣れたNFSv4ネットワーク・プロトコルを通じてオンプレミスのシステムからアクセスするためのサービスだ。一方、「Oracle Archive Storage Cloud Service」は、データを長期にわたって保存する。競合他社のサービスよりも低コストで、さらにデータを暗号化や、ミラー化、および地理的な分散によっても保護できる。

 インフラ・サービスとプラットフォーム・サービスを橋渡しするサービスの「Oracle Database Cloud Exadata Service」は、Oracle Cloudにとって重大な意味をもつ追加であり、オラクルのDatabase as a Service(DBaaS)製品ラインの最後のピースである。「Oracle Exadata Database Machine」は、オラクルでもっとも性能に優れたエンジニアド・システムで、そのハードウェアは高度な調整を加えたうえで緊密に統合され、ソフトウェアは完全な機能を装備する。「Oracle Database Cloud Exadata Service」は、このような高度なデータベース・パフォーマンスを柔軟かつコスト効果に優れたかたちで提供される。

オラクルのクラウドは標準技術を基盤としている

 Oracle Cloudは、安定性、信頼性、安全性に優れ、エリソンの言葉によれば、現在1日あたり330億件のトランザクションを処理している。すべてのオラクルのクラウド製品は、一貫して業界標準に対応をしている。この事実を、エリソンはプレゼンテーションのなかで繰り返し指摘し、「クラウドの3つの階層すべてでオラクルが徹底しているのは、標準技術を基盤としていることです」と彼は語った。

 エリソンは、IaaS、PaaS、およびSaaSの競合他社を次々に挙げ、オラクルがそういった競争相手とは違い、3つのクラウド階層すべてに製品を提供するフルサービスのクラウド・プロバイダであると明言した。オラクルはすでにSaaS分野で他社をしのいでいると彼は指摘し、「他のクラウド・サービス・プロバイダよりもはるかに多くのアプリケーションがあります」と語った。24種類を超える新しいクラウド・プラットフォームとインフラ・サービスを追加したことは、オラクルのフルサービスのマルチレイヤ・クラウド戦略が揺ぎないことを示している。「本日の発表をもって、オラクルはアプリケーションをクラウドに構築するサービスの完全なスイートをもつに至りました」と彼は語った。

 エリソンは、PaaSのラインアップについてとくに自信を見せ、次のように語った。「PaaSは、おそらくオラクルにとってもっとも重要なビジネスになるでしょう。実際、今後もっとも重要なビジネスになると言えます」

Same Code,Same Standards, Same Architecture
Technical deep dives demonstrate proven cloud technology.

オラクルのクラウドはオンプレミス向けのテクノロジーと寸分違わない
~技術的な掘り下げで、実績のあるクラウド・テクノロジーを実演~


満面の笑みで「Oracle Mobile Cloud Service」のデモをおこなうオラクル・コーポレーション Oracle Fusion Middleware担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのインデジート・シンとオラクル・コーポレーション オラクル製品開発担当プレジデントのトーマス・クリアン。開発者はこのサービスを利用してあらゆるプラットフォームで実行可能なアプリケーションをビルドできる

 エリソンによるオープニングのプレゼンテーションに続いて、オラクル・コーポレーション オラクル製品開発担当プレジデントのトーマス・クリアンが登壇し、オラクルが新たに発表した24種類以上のクラウド・サービスの詳細について解説した。他の役員の手を借りながら、クリアンは、おもなサービスの機能を実演して見せた。

 クリアンは、最初にInfrastructure as a service(IaaS)について、ストレージ、コンピューティング、ネットワーキングに重点を置いて説明した。その後、オープンソースのLinux、Apache、MySQL、Perl/Python/PHP(LAMP)スタックをOracle Cloud専用コンピューティング・リソースに配備する方法、LAMPスタックをNFSにフックする方法、Oracle Archive Storage Cloud Serviceでログファイルをアーカイブする方法を紹介した。

 また、新しいOracle Database Cloud Exadata Serviceについても言及。Oracle Exadata Database Machineは、高性能データベース・エンジニアド・システムであり、Oracle Database Cloud Exadata Serviceは「Oracleデータベースの実行に最適なインフラ・プラットフォーム」だと語った。

 クリアンは、Oracle Database Cloud Exadata Serviceと使い慣れたOracle Enterprise Manager for Oracle Cloud Platformのインタフェースを使って、28コア、2ノード構成のOracle Real Application Cluster(Oracle RAC)を実行するHRデータベースを素早く作成してみせた。「オンプレミスのオラクル管理経験があれば、クラウドでもインタフェースが同じだとわかるでしょう」とクリアンは語った。

 さらに、新しいオラクルのPlatform as a Service(PaaS)製品へと説明を進め、Apache HadoopやApache Sparkのようなオープンソースのビッグデータ・テクノロジーなど、さまざまな種類のデータ管理インフラがサポートされていると語った。

 「オラクルが多くの種類のインフラとデータ管理を提供するのはなぜでしょうか? それは、お客様が多くの種類のアプリケーションをお使いだからです」(クリアン)。

 また、クリアンはオラクルのPaaS製品がRuby、Node、Plain Old Java Object(POJO)など、多種多様なアプリケーション開発スタイルをクラウドでサポートすることを説明した。新しいアプリケーション開発ツールのなかでもとくに重要なのがOracle Mobile Cloud Serviceで、これを使うとあらゆるプラットフォームで動作するアプリケーションをビルドできるという。

 続いて、オラクル・コーポレーション Oracle Fusion Middleware担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのインデジート・シンが登壇し、Oracle Mobile Cloud Serviceを使って、ソーシャル機能を備えたクロスプラットフォームのイベント対応モバイル・アプリケーションをビルドする操作を実演した。

 最後に、クリアンは「ラリーはこう言いました。お客様はこれからもクラウドベースのシステムとオンプレミスのシステムを混在させるでしょうと。それらをつなぎ合わせるため、オラクルはさまざまなツールをご用意します」と強調する。このようなツールには、Oracle Integration Cloud Service、Oracle Process Cloud Service、Oracle SOA Cloud Service、Oracle Identity Manager Management Cloud Serviceなどがある。

 オラクルのクラウドとオンプレミスが「同じコード、同じ標準技術、同じアーキテクチャ」を基盤とすることは、お客様がこの「混在」を活用するうえでカギとなるとクリアンはいう。オンプレミスを利用する顧客は、今後もそのスキルをOracle Cloudでも生かせるのだ。

「オンプレミスのデータベース管理でオラクルの管理経験がある方は、クラウドでもインタフェースが同じだとわかるでしょう」

オラクル・コーポレーション オラクル製品開発担当プレジデント
トーマス・クリアン

Oracle Cloud in Practice
Customer panel shares vision and experience with Oracle Cloud Platform.

Oracle Cloudの導入例
~カスタマーパネルで語られる オラクルのクラウド・プラットフォームのビジョンと経験~

写真左から、オラクル・コーポレーション PaaS/ビジネス・インテリジェンス/エンタープライズ・パフォーマンス管理ビジネス・グループ担当シニア・バイスプレジデント スティーブ・ダヘブ、アバイア シニア・バイスプレジテント 兼 グローバルCIO ファリ・イブラヒミ氏、JDSユニファーズ ITアプリケーション担当シニア・ディレクター ラジーブ・セティ氏、ファーメビット エンタープライズ・ソリューション・デリバリ担当ディレクター マイケル・キューバン氏、アクセンチュア シニア・マネージング・ディレクター マーク・ウィルフォード氏

 イベントを締めくくるパネル・セッションにおいて、顧客企業とパートナー企業の代表者数名がオラクルの新しいクラウド・サービスを使った経験を語った。

 アバイア シニア・バイスプレジデント 兼 グローバルCIOのファリ・イブラヒミ氏は、見積もりや営業から受注、手配、エンゲージメントに至る「ビジネスのあらゆる要素を連結する」という同社のコミュニケーション事業の野心的な戦略へのOracle Java Cloud ServiceとOracle Integration Cloud Serviceの利用について語った。イブラヒミ氏によれば、アバイアはカスタマー・リレーションシップ、マーケティング、営業、およびソーシャル・リレーションシップの各アプリケーションを統合して「一部オンプレミス、一部クラウド」とすることでそれを実現するという。

 ファーメビット エンタープライズ・ソリューション・デリバリ担当ディレクターのマイケル・キューバン氏は、サプリメントを販売する同社がOracle Process Cloud Serviceを事業戦略に取り入れて、運営コストの削減、イノベーションの加速、ITとビジネス・プロセスの同調を推進していることを説明。「5年前、IT部門は御用聞きでした。これをビジネス・イネーブラーに変えたいのです。Oracle Process Cloud Serviceは、その目標を確実に支えています」とキューバン氏は語った。

 JDSユニファーズ ITアプリケーション担当シニア・ディレクターのラジーブ・セティ氏は、組織の2社分割を目前とする状況下で、重要なアプリケーションを速やかにコピーして立ち上げ、さらにIT部門の日常業務を自動化するため、Oracle Enterprise Manager for Oracle Cloud Platformが演じる役割について語った。「システム構築の労力を省くことができ、スキルを別の業務に割り振ることができます。これはビジネスの成長にきわめて大きな意味をもちます」とセティ氏は語った。

 アクセンチュア シニア・マネージング・ディレクターのマーク・ウィルフォード氏は、オラクルとのパートナーシップを「Accenture Oracle Business Group」と呼び、顧客の速やかなクラウド移行に役立っているという。Oracle Cloud Platformは「企業をクラウドに迅速に移行させるだけでなく、社内でアプリケーションをビルドし、それらを連結することも可能にする即応性と柔軟性をあわせもちます」とウィルフォード氏は語った。

 パネル・ディスカッションの司会は、オラクル・コーポレーション PaaS/ビジネス・インテリジェンス/エンタープライズ・パフォーマンス管理ビジネス・グループ担当シニア・バイスプレジデント スティーブ・ダヘブが務めた。

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