【ライオン株式会社】Oracle Exadataを統合データベース基盤に採用 SAP ERPの会計照会処理が20倍高速化


Oracle Exadataを統合データベース基盤に採用 SAP ERPの会計照会処理が20倍高速化

TCO(*1)のさらなる抑制を目指し、ライオン株式会社(以下、ライオン)は抜本的なIT改革を進行中だ。アプリケーションはプライベートクラウドへ。そして業務データは統合データベース基盤へ――。そのための統合データベース基盤として同社が選択したのが、Oracle Exadata Database Machineだ。SAP ERP 6.0 ベースの会計システムのデータベース乗せ換えプロジェクトでは、アプリケーションの劇的な速度向上、および大幅なストレージ圧縮を実現。2カ月半という短期間の移行作業で、大きな成果を手にした。今後はTeradataの情報系システムについてもOracle Exadataに移行し、さらなるコストダウンを図る予定だ。

ライオン株式会社
統合システム部
部長
宇都宮 真利

ライオン株式会社
統合システム部
主任部員
宇津木 克也

業務アプリケーションをクラウドに移行し統合データベース基盤を構築

 洗剤、石鹸、歯磨きなどトイレタリー用品、医薬品、化学品を手がける日本の大手メーカーのライオン。創業から120年を越えて、そのビジネスはさらなる拡大を続けている。同社 統合システム部 部長の宇都宮 真利氏は、その経営ビジョンについて、「2011年から2020年に向けた経営ビジョン『Vision2020』で、国内事業の質的成長、海外事業の量的成長、新しいビジネス価値の開発、組織学習能力の向上の4つを戦略テーマに掲げています」と語る。

 こうした同社のビジネスを支えているのが、統合システム部が提供するITサービスである。基幹系システムを構成しているのは、受注/出荷管理、販売管理、在庫管理、会計、人事などの業務システム。1日あたり平均で受注件数が数万件、出荷数量で数十万梱に達する同社にとって、注文を受けた翌日に卸業者に納品する体制を安定的に維持することは重要であり、ITサービスのミッションでもある。一方経営の観点からは、そのTCOを抑制することも重要なテーマだった。

 そこで同社は、メインフレームで稼動していた業務アプリケーションをプライベートクラウドへ移行。オープン系システムのデータベースについても、システムごとの分散型から、共通基盤となる統合型への切替えを進めている。

 「システムごとにデータベースを運用していると、バージョン管理やセキュリティパッチの適用に手間がかかります」と宇都宮氏。そこで容量6テラバイト(TB)のOracle Exadata Database Machine V2(以下、Oracle Exadata)を2010年6月に導入し、まずはメインフレームから移行した基幹系システムのデータベースとして活用することにした。「Oracle Exadataは、オンライン・トランザクション処理での更新にも対応していました」と宇都宮氏は語る。

SAPの会計データベースもOracle Exadataに統合

 次いでデータベース統合化のターゲットとなったのが、SAP ERP 6.0ベースの会計システムである。このシステムは2006年からオープン系サーバー上で稼動していたが、サーバーの老朽化にともなって2011年8月にプライベートクラウドへと移行済み。移行計画を策定した2011年初めの時点でOracle ExadataはSAPの認証プラットフォームではなかったため、データベースのOracle Database 11gとストレージにもクラウドサービスが使われていた。

 本稼動直前の2011年6月、Oracle ExadataがSAPの認証を取得。「当初から会計のデータベースもOracle Exadataに統合するつもりでしたから、日本オラクルからのご案内を受けて、早速検討を開始しました」と宇都宮氏は振り返る。

 その結果、Oracle ExadataをX2にアップグレードすればSAPの認証プラットフォームになることが判明。必要な社内手続きを2011年末までに済ませ、データベース部分をクラウドから移行するためのプロジェクトが2012年初めにスタートした。

 ライオンで会計システムを担当する統合システム部 主任部員の宇津木 克也氏は「プライベートクラウドからデータベースを移行するにあたって、あまり細かな要件は設定しませんでした」と語る。Oracle Exadataの性能については2010年の導入時にベンチマークテストできちんと確かめてあったので十分だった。ストレージにも十分空き容量があったので、綿密なサイジングも必要ないと見込まれた。

 実際の作業が始まったのは、2012年2月中旬。「Oracle ExadataのV2からX2へのアップグレードをわずか10日ほどの準備期間と週末作業で済ませた後、2カ月半をかけてデータベースを乗せ替えました」と宇津木氏は語る。短期かつ確実な移行を目指し、アップグレードと移行全般においては日本オラクルのACSS(Advanced Customer Support Services)のメンバーが支援にあたり、データベースの移行にはO2O(Oracle-to-Oracle)移行サービスも活用された。

 移行の対象となったのは、開発系、検証系、本番系の3つのSAP ERP環境のデータベースである。慎重を期して、本番系についてはリハーサルを1回実施。5月の最終週の土日を利用して切り換えることにより、経理部の業務にも支障をきたすことなく移行することができた。

会計照会処理で20倍の速度向上 ストレージ容量も半分に

 ライオンの統合システム部にとって、移行の結果はきわめて満足のいくものだった。会計照会の一部の処理スピードは、プライベートクラウド使用時に比べて20倍も向上し、経理部からも大きな評価を得た。また、Oracle Database 11gのAdvanced Compression機能をフル活用することによって、ストレージ容量の大幅削減にも成功。1.4TBのクラウド上ストレージのデータベース容量は、新しい統合データベース基盤で約半分の700GBになった。

 統合データベース基盤を使用する業務システムが増えることによって、運用管理体制の改善も進んでいる。「当社は、アプリケーションからハードウェアまでの多くを業務ごとの担当者がみる縦割り型です。Oracle Exadataでデータベースを統合することにより、データベースの層だけはデータベース管理者に任せられるようになりました」と宇都宮氏は評価している。

 会計システムのデータベース移行が成功したことを受け、オープン系サーバーで稼動している他の業務システムでもデータベースの統合が急ピッチで進み始めた。情報系システムについては、データウェアハウス専用のTeradata(容量1.6TB)からOracle Exadataへの移行を進めている。また、生産管理システムと需給管理システムのデータベースも、2013年末を目標に統合を検討している。さらに2014年からは、バックアップサイトへのレプリケーションによる事業継続/災害対策も整備を進めていく考えだ。

 業務システムのアプリケーションをプライベートクラウドへと移し、データベースはOracle Exadataに統合することによってTCOを削減しながら、システム基盤を強化して「Vision2020」を実現していく――。オラクルの製品とサービスはこれからも、それを力強く支えていく。

*1 Total Cost of Ownership:ITの総所有コスト。コンピュータシステムの導入、その環境の維持・管理などにかかるコストの総額

P R O F I L E

ライオン株式会社
業  種:製造業
従業員数:5,973人(連結)、2,439人(単独)(2011年12月31日現在)
資本金:344億3,372万円(2011年12月31日現在)
売  上 :3,275億円(連結)、2,531億円(単独)(2011年12月期)
おもな事業概要:オーラルケア用品(歯磨きや歯ブラシ)、ビューティケア用品、医薬品、ファブリックケア用品(衣料用洗剤)などを開発、製造、販売。国内に自社4工場・3研究所を置くほか、国内関係会社や海外にも生産拠点をもつ。

(本事例の内容は2013年1月のものです)

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