【株式会社スクウェア・エニックス】大ヒットオンラインゲームのインフラ構築で24時間365日の安定稼動を実現


大ヒットオンラインゲームのインフラ構築で24時間365日の安定稼動を実現

日本を代表するデジタル・エンターテインメントの企業である株式会社スクウェア・エニックスは「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズなど、世界的にも人気の高いゲームソフトを生んだメーカーとして知られている。同社のIT部門は人事・会計など企業内システムの管理はもちろん、ゲームやムービーの開発のためのシステムやオンラインゲーム運営のためのITの設計、構築、運用も担当している。2012年8月に発売された「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」(以下、ドラゴンクエストX)では、バックエンドのインフラにOracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)を採用。プレイヤーが快適に遊べる環境の提供を実現した。

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
執行役員 情報システム担当
株式会社スクウェア・エニックス
コーポレート・エグゼクティブ
情報システム部 第二オンライン事業部
コンテンツ&サービス開発部
西角 浩一

株式会社
スクウェア・エニックス
情報システム部 マネージャー
立岡 雅也

株式会社
スクウェア・エニックス
情報システム部
笠井 一弘

パートナー選定では支援体制やコミットメントを重視

 「サーバーやネットワーク機器、ストレージといった機器は当社にとって、一般的なバックオフィス系のシステムで使われるだけでなく、ゲーム開発やオンライン運用の基盤、すなわち『生産設備』であり、『配信設備』でもあります。オンラインゲームへの注力を企業戦略として表明しているスクウェア・エニックスでは、すでに数千台規模のサーバーが稼動しており、ゲームのクリエイターからの要求に応え、全世界のゲームプレイヤーの方々に快適に楽しんでいただける環境づくりに取り組んでいます。当社のIT部門は、そういったすべてを併せもつ組織なのです」。株式会社スクウェア・エニックス ・ホールディングス 執行役員 情報システム担当 西角 浩一氏は同社のIT部門の位置付けについてこのように説明する。

 世界的なゲームソフトメーカーであるスクウェア・エニックスでは、IT部門に対する要求もきわめてハイレベルだ。「一般的にオンラインゲームの開発においては、既存のインフラで運用できるようにコンテンツを企画することが多いですが、当社では真逆のアプローチをとります。ゲーム(アプリケーション)の開発プロジェクトの企画内容に対して、最適なインフラを設計・構築するのです。プロジェクトによって内容もさまざまですので、インフラも一様ではありません。各プロジェクトの期待に応えながらも過大な投資はせず、かつ機会損失は最小限におさえることが求められます」(西角氏)。

 オンラインゲームは24時間365日の稼動が必須のサービスだ。このため安定性は、要件の第一となる。西角氏は可能な限り枯れた技術を利用する方針だが、最新プロジェクトが求めるパフォーマンスを得るためならば高性能な最新製品の投入も惜しまない。「リスクを最小化し、どのようなコミットメントや支援をいただけるのかを重視しながら製品やパートナーを選定します」と、西角氏はいう。

証券システムを凌駕する性能が必要だった

 「ゲームでは、企画面での理想がすべての仕様を決定づけています」。西角氏はそのように話し、ゲームのプロデューサーやクリエイターの意向がシステム設計の根幹になることを強調する。そのため、「ドラゴンクエストX」ではとくにアプリケーションへのレスポンスタイムで高い要求があった。「その要求レベルはオンライン証券会社のシステム並みでした。事実、オラクル・コーポレーション データベース製品担当バイスプレジデント マーク・タウンゼントに会って話をしたところ、ドラゴンクエストXの要求は『OLTPを超えている』」とさえいわれました」と西角氏は振り返る。

 一般的な業務システムとは異なり、データベースへの書込み頻度がきわめて高いのも、オンラインゲームの特徴だ。また従来は同一のゲームでも、複数のデータベースを用意して負荷を分散する手法が採られていた。「しかしドラゴンクエストXは、ユーザー同士の交流や協力プレイを実現するために、ゲームデータを格納するデータベースの統合が必須で、『世界はひとつ』のコンセプトのもと、1つのゲームを、1つのデータベースで提供することを実現しました」。同社の情報システム部マネージャー、立岡 雅也氏はこう語り、ドラゴンクエストX独自の要件について次のように解説する。「そのためには、データベースの要件として高いレベルでのレスポンス性能、トランザクション、可用性と拡張性、安定性とバックアップ。すべてを考慮して構築する必要がありました」。

 また同社 情報システム部の笠井 一弘氏は、インフラ検討のプロセスについて次のように説明する。「当初はOracle Real Application Clustersを自前で組み立てるケースを想定していましたが、今回はディスクの応答性能が通常のアレイを並べるだけでは間に合わないことが目に見えていました。そこで、パフォーマンスをカバーする手段として、Oracle Exadataを調べてみました」。これまでデータベース、サーバーやストレージ、ネットワークスイッチなどを自社で選定して構築してきたスクウェア・エニックスだが、Oracle Exadataを用いることで、こうした構築のコストや検証で発生する工数を大幅に減らせると判断された。

リスク管理、インフラ運用における人的コスト削減効率が決定打

 実機に触れての第一声は「速いね」だったと笠井氏はいう。「予想はしていましたが、そのレスポンス性能の速さを目の当たりにしました。データベースをつくる段階ですでに速い。テスト用ツールを動かしてもやっぱり速いと感じました」(笠井氏)。「数万規模の疑似クライアントと膨大なダミーデータによる負荷テストや大量トランザクションを流し込んでも、データベースは正常に動作し、ハードウェアに起因する負荷問題もない。おかげで我々はデータベースの論理面のチューニングやアプリケーションの最適化といった作業に集中することができました」(立岡氏)。立岡氏によると、一般的にはこの工程が、開発期間の長さやコスト、精度、クオリティに影響する。「ディスクの回転数やサイズを気にすることはなく、オラクルが『最高のものを用意している』と認識していますので、開発に集中できました」(立岡氏)。

 「これらのパフォーマンスと、インフラの視点でみた場合の手戻り作業の少なさ、リスク管理がOracle Exadata採用の決定打となりました」と笠井氏は振り返る。また、選定メリットについて立岡氏は、「機器選定プロセスは削除することができました。Oracle Exadataはオラクルが最適化・検証済みの製品ですので、安心感がきわめて大きいです」と話す。

 トラブルなど非常時に備え、ドラゴンクエストXでは運用監視にはOracle Enterprise Managerを、データ保護にはOracle Data Guardを採用している。「プライマリ環境にトラブルが生じても、サービス自体は即時に復旧することが必要なので、そうした要求に応えられる設計なのです」と笠井氏も説明する。

 ゲームのようなコンテンツは、同種のものでの代替が利かないという特徴がある。ユーザーは『このゲームで遊びたい』という目的でアクセスしているため、ほかのゲームへ乗り換えるようなことはまず起こらない。このため可用性についての要求はほかの業界よりも厳しく、要求仕様が高いのである。

 ゲームは一般企業の業務システムで求められるコスト削減の対象ではなく、収益を生むプラットフォーム。「いかにお客様の要求レベルが高くても、またいかにユーザー数が増えても、快適に楽しんでいただける環境を提供し続けていかなければならないのです。その実現のために、今後もオラクルとのパートナーシップに期待をしています」(立岡氏)。

P R O F I L E
株式会社スクウェア・エニックス

2012年8月に発売された「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」は、2012年12月時点で出荷本数70万本以上、課金登録プレイヤー40万人以上と、国内最大規模のオンラインゲームである。

業  種:エンターテインメント
資本金:15億円(2012年3月31日現在)
従業員数:3,424人(連結、2012年3月31日現在)※スクウェア・エニックス・ホールディングスの従業員数
おもな事業内容:株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス傘下の事業会社。エンターテインメント製品の企画、開発、制作、および販売。スクウェア・エニックス・グループが保有する知的財産(IP)の二次著作物等の企画、開発、制作、および販売を手がける。

(本事例の内容は2012年12月のものです)

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