【富士電機】業務の標準化と経営情報の見える化を目指し、 グローバルの販売管理システムを統合


業務の標準化と経営情報の見える化を目指し、グローバルの販売管理システムを統合

富士電機株式会社(以下、富士電機)は、さらなる事業拡大を図るために、「1業務領域1システム化」をキャッチフレーズに、IT戦略を個別最適から全体最適化へと転換。従来の受注・手配・出荷・売上げを担う11の販売管理システムのデータベース基盤にOracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)を採用したグローバル新販売管理システム(新MOTHER)へ統合。旧来の汎用機をオープン化し、システム運用・保守コストの50%削減も実現した。

事業分野ごとに個別最適システムが林立

 富士電機は1923年に日本の古河電気工業とドイツのシーメンス社との資本・技術提携により設立され、電気・熱エネルギー技術を革新し、産業・社会のインフラ分野で広く世の中に貢献してきた。

 現在は、発電プラントやスマートコミュニティなどの「発電・社会インフラ」、受変電設備や計測制御機器・システムなどの「産業インフラ」、インバータやUPS、受配電制御機器などの「パワエレ機器」、パワー半導体などの「電子デバイス」、自動販売機や冷凍・冷蔵ショーケースなどの「食品流通」の5つの事業を柱に、世界22カ国、国内外約100の拠点で、約29万種類にも及ぶ製品を展開。高い信頼性を備えたエネルギー・マネジメントを実現するトータル・ソリューションを提供している。

 このように幅広い製品・事業を取り扱うことから、同社は事業分野ごとにIT化を推進してきた。1990年代以降はカンパニー制から純粋持株会社制へと、各事業分野がそれぞれ最強の専業を目指す体制を敷き、業務やITの仕組みも分野ごとに最適化を推進してきた。

 その結果、販売業務領域においては、受注・手配・出荷・売上げを担う販売管理システムとして、プラント事業の「MOTHER」、パワエレ機器事業の「ACTION」、電子デバイス事業の「RINGO」のほか、食品流通事業用システム、海外販社用2システム、直系特約店用5システムなど11システムが林立する状態となっていた。

「1業務領域1システム化」を目指し「ITのグループ全体最適化」を図る


富士電機ITセンター株式会社
代表取締役社長
川端 淳夫

 「富士電機は2011年に純粋持株会社制を解消しました。グローバル化に対応し、さらなる事業拡大を図るためには、グループが一体となって取り組む必要があります。そのためには、事業分野や組織ごとに過度に最適化された業務やITの仕組みを、業務領域ごとに全体最適の観点から整理し、抜本的に再構築することが必須と考えました。そこで『1業務領域1システム化』というキャッチフレーズを掲げて、IT戦略の転換を提案しました」。

 こう説明するのは、富士電機グループの社内ITの開発・運用保守を担う富士電機ITセンター株式会社の代表取締役社長、川端 淳夫氏だ。

コード統一と汎用機のオープン化が鍵

 「事業分野や組織ごとに業務やITの最適化が進められてきた結果、同じ販売業務領域のシステムでも、汎用機、UNIX、WindowsなどとIT基盤からさまざまで、使用する製品コードや取引先コードも異なっていました。ITが、いわゆるサイロ化した状態になっていたのです。このままでは、グローバル対応などのために組織改編や機種移管をおこなおうとしても、システムは迅速に対応することができません」と川端氏は語る。そこで富士電機は、2009年に約40ある業務領域で「1業務領域1システム化」をキャッチフレーズに全体最適化に着手。販売業務領域においては、2011年から約2年をかけて、新販売管理システム「新MOTHER」を構築することとした。


富士電機ITセンター株式会社
基幹システム部 部長
植村 和久

 富士電機ITセンター株式会社 基幹システム部 部長の植村 和久氏は、次のように語る。「販売業務領域の全体最適化のためには、システムだけではなく業務そのものの標準化が必須だと考えました。その際、受注や売上げ、マスター変更などの重要な統制箇所には承認機能を設けるなど、内部統制の観点からも管理レベルの向上を図りました。また、データについても標準化が必須であったため、この機会を逃さず、製品コードや取引先コードの統一もやり切ることとしました」。

 新販売管理システムの構築で、同社のITの全体最適化は大きく前進している。最終目標は、販売業務領域だけでなく、すべての業務領域の業績や業務進捗を、迅速かつ全社的に把握できるよう「経営情報を見える化」することだ。

 川端氏は今後のグローバル展開にも言及する。「海外事業の成長にともない、グローバルでの情報共有、“経営情報の見える化”の必要性が高まっています。今回の業務の標準化や製品コード・取引先コードの統一は、その基盤となります」。

 こうして同社は、業務改革を進めるとともに、「経営情報の見える化」の基盤構築を目指した。また、システムの運用保守コスト削減と、受注・売上げ・在庫データのリアルタイムでの活用を図るため、従来の汎用機のオープン化にも踏み切った。その一方で課題もあった。

 「最大の課題の1つは、特約店や販社からの注文入力のレスポンスです。従来の汎用機と同等の3秒以内を目標としていましたが、特約店や販社から新販売管理システムへの回線を、専用回線からインターネット経由に切り替えることもあり、レスポンスの悪化が心配でした」(植村氏)。

Oracle Exadataのハイパフォーマンスに“一目惚れ”

 そこで同社が採用したのが、Oracle Exadataだ。

 富士電機ITセンター株式会社 基幹システム部 主席の溝口 昌志氏は、「Oracle Exadataの高いパフォーマンスには一目惚れでした」と語る。


富士電機ITセンター株式会社
基幹システム部 主席
溝口 昌志

 「新販売管理システム最大の課題の1つに、全世界の特約店や販社からの注文入力を、旧来の汎用機以上のレスポンスで処理することがありました。そこで、高速データベース製品をいくつか選定し、性能・移行・運用・コストなど30項目に及ぶチェックリストで評価した結果、Oracle Exadataが最有力候補に挙がりました。最終的に、開発時に通常のSQL文がそのまま使えること、テストや本稼動後のデータベース・チューニングがほぼ不要であること、何より、実機での検証結果で目標レスポンスを達成できる見通しが立ったことから、Oracle Exadata以外に選択の余地はないと結論づけました」(溝口氏)。

 また、Oracle Exadataの管理や保守をおこなうOracle Enterprise Manager 12c(以下、Oracle EM)も同時に採用した。


富士電機ITセンター株式会社
基幹システム部 国内手配システム課
佐藤 和功

 「当社の販売業務全体を支える新販売管理システムを安定稼動させるために、Oracle Exadataの設定から変更管理、監視、継続的な保守までを可能にするOracle EMは不可欠でした」と語るのは、富士電機ITセンター株式会社 基幹システム部 国内手配システム課で新販売管理システムの運用管理を統括する佐藤 和功氏だ。

 「従来は、処理性能悪化などの問題があるたびに、テキストベースのレポートで1時間ごとに情報を収集したり、SQLの状態を目視で確認したりしていたため、原因分析と対策完了までに数日かかることもありました。しかしOracle EMを導入してからは、画面上のグラフで確認できますし、必要に応じてどういうチューニングをすべきかアドバイスしてくれるので、対策完了までの時間を大幅に短縮することができました」と佐藤氏は分析する。

オラクルのコンサルタントの協力で2カ月で環境構築を完了

 新販売管理システムのデータベース統合基盤としてOracle Exadataの活用を決定した富士電機だが、その導入はどのように進められたのだろうか。

 今回富士電機はOracle Consulting Servicesを活用し、Oracle Exadata構築におけるアドバイスと支援を日本オラクルのコンサルタントから受けることで、2012年8月の導入開始から10月までの2カ月弱という短期間で環境構築を完了したという。

 さらに、ハードウェア障害が発生した際に、自動サービスリクエスト生成機能を用いて問題解決を迅速化するOracle Auto Service Requestも利用した。実際に、システム稼動中に冗長化されたハードディスクでトラブルが発生したことがあったが、Oracle Auto Service Requestが障害を自動検知して、オラクルのサポートに通知。後日サービスを止めることなく、故障した部品を交換することでプロアクティブな障害対応を実施した。

データベース統合基盤の5年間のトータルコストを20%削減

 新販売管理システムは2013年5月、本稼動開始となった。個別最適化の結果、林立していた11の販売管理システムを1つに統合することにより、富士電機の販売プロセスのビジネス・プラットフォームが完成。目標だったレスポンスもおおむね達成した。

 Oracle Exadataを採用したデータベース統合基盤の運用保守コストは、物理サーバーを個別に立ち上げた場合と比較して、5年間で20%削減される。またシステム全体の運用保守コストは、50%削減できる見通しである。

 さらに、夜間バッチ処理時間は、延べ時間では旧MOTHERの35時間が新システムの20時間に、実時間では旧MOTHERの8時間(22時~翌朝6時)が新システムの5時間30分(22時~翌朝3時30分)に、それぞれ短縮できた。このため、万一の障害時や再処理が必要なときにもきちんと対応できる時間を確保することができた。

 植村氏は、「新販売管理システムは当社の販売業務領域のすべてをカバーする基幹システムですので、些少のトラブルでも事業に深刻な影響を及ぼします。Oracle ExadataとOracle EMによるパフォーマンス向上は、新システムのリスク軽減と安定運用に大きく貢献しているといえるでしょう」と評価する。

 今後、新販売管理システムに関連するデータベースをOracle Exadata上に集約すれば、データベース統合基盤のトータルコストをさらに削減することができる。そのためには、オラクルからの継続的な支援が不可欠だと、川端氏はさらなる期待を寄せる。

P R O F I L E

富士電機株式会社
業  種:製造業
従業員数:2万5,524人(2014年3月期)
資本金 :476億円(2014年3月期)
売上高 :7,599億円(2014年3月期)
おもな事業内容:古河電気工業とドイツのシーメンス社との資本・技術提携により1923年に設立された、大型電気機器を主力製品とする重電機メーカー。電気、熱エネルギー技術を核とした、「発電・社会インフラ」「産業インフラ」「パワエレ機器」「電子デバイス」「食品流通」の5分野での事業展開を通じて、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献している。

本事例の内容は2013年11月のものです

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