グラウンド・コントロール
Oracle Cloud Application Foundationで始めるクラウド・アプリケーション

 クラウド・コンピューティングがアーリーアダプター(初期採用者)による導入の段階を過ぎ、企業はクラウドの導入方法を注意深く見極めようとしている。クラウド・アプリケーションの開発、統合、展開、スケーリングの標準的な方法を調査し、選択肢を比較検討したうえで企業が選んだのが、Oracle Fusion Middlewareの一部であるOracle Cloud Application Foundationを利用したクラウド・アプリケーションの開発と展開だ。

 Oracle WebLogic Serverは、Oracle Cloud Application Foundationの中心となるソフトウェア製品で、Oracle Exalogic Elastic Cloud(以下、Oracle Exalogic)上での実行に最適化されている。Oracle Exalogicは、Oracle Cloud Application Foundation向けの、ハードウェアとソフトウェアが統合されたプラットフォームだ。

 インドで金融サービスを展開するリライアンス・コマーシャル・ファイナンスをはじめ、多くの企業がこのミドルウェアのインフラを採用し、プライベートクラウドや、構築したコンピューティング・リソースの共有プールへのオンデマンド・アクセスを実現しようとしている。


Oracle Cloud Application Foundationによって、リライアンスは共通のミドルウェア・インフラで提供される、パブリッククラウド、プライベートクラウド両方のサービスを利用できるようになった。「オラクルはオープンかつ標準ベースのミドルウェア技術を採用しているので、その基盤を自社データセンターの標準とすることで、プライベートクラウドであっても、パブリッククラウドと容易に統合できます」とリライアンス・コマーシャル・ファイナンスのシニア・バイスプレジデント 兼 最高技術責任者、シャシ・クマール・ラヴラパティ氏は説明する。

 「クラウド・コンピューティングは、当社にとってきわめて重要な設計要素になっています」とリライアンス・コマーシャル・ファイナンスのシニア・バイスプレジデント 兼 最高技術責任者、シャシ・クマール・ラヴラパティ氏は語る。「クラウド・コンピューティングは、当社の主要な4つの注力領域の1つです。とくにOracle WebLogic Serverと組み合わせたOracle Exalogicは、プライベートクラウドのインフラに必要な処理能力を迅速に準備するために最適です」。

 リライアンス・コマーシャル・ファイナンスは、インド全域の何万という顧客に対して融資をおこなっている。毎日1,500人以上の従業員がコアビジネスのアプリケーションにアクセスする同社では、旧来のインフラで1日6,000件を超えるトランザクションを処理することに支障が出ていた。何百人ものユーザーが同時に、融資の処理や承認に必要なアプリケーションへアクセスする月末はなおさらだった。

 こうした問題に対処するためにラヴラパティ氏が目をつけたのが、オラクルとOracle Cloud Application Foundationのテクノロジーだった。9台のサーバーを1つのOracle Exalogicに統合することで、中核となるアプリケーションのトランザクションの処理能力を最適化し、融資に関するトランザクションの全体的な処理速度を最大30%向上させた。

 「以前は、300人、400人といったユーザーがログインした状態で処理をおこなうのは困難でした」とラヴラパティ氏は振り返る。「Oracle Exalogicはこうした課題を解決するために設計されていて、とくにOracle WebLogic Serverと組み合わせた場合、より真価を発揮できます。今では、同時セッション数が500でも問題なく対応できます。このシステムは5,000人ものユーザーでテストしました」。

 また、Oracle Cloud Application Foundationのテクノロジーによって、同社は新しいサーバーのプロビジョニングや展開の時間を大幅に節約できた。

 「これまでユーザーは、新しいサーバーが使えるようになるまでに少なくとも6週間、その設定が済むまでにさらに2週間、待たなければなりませんでした」とラヴラパティ氏は話す。現在では、オラクルのクラウド技術を利用することで、たった数回のクリックでアプリケーションのプロビジョニングを完了し、1日もかからずにアプリケーションを展開することができる。

 Oracle Cloud Application Foundationによって、リライアンスは共通のミドルウェア・インフラで提供される、パブリッククラウド、プライベートクラウド両方のサービスを利用できるようになった。「オラクルはオープンかつ標準ベースのミドルウェア技術を採用しているので、その基盤を自社データセンターの標準とすることで、プライベートクラウドであっても、パブリッククラウドと容易に統合できます」とラヴラパティ氏は説明する。

 たとえばリライアンスは、オンプレミスの融資システムやコンタクトセンター・アプリケーションと統合されたパブリッククラウド・サービスとして、Oracle CRM On Demandを利用している。「当社は2つのパブリッククラウドと1つのプライベートクラウドを利用していますが、これらは統合され、連携しています」とラヴラパティ氏は続ける。「あらゆるものをOracle Cloud Application Foundationをベースにすることで、パブリックとプライベート両方のクラウドを柔軟に統合できるのです」。

 ラヴラパティ氏は、リライアンスの新しいITインフラの効率性の高さを訴えている。具体的には、45の拠点の2,000人が利用するコア情報システムを、たった2人で管理しているという。こうした効率的な運用ができるのはなぜだろうか。ラヴラパティ氏によると、Oracle Exadata Database Machine(以下、Oracle Exadata)、Oracle Exalogic、Oracle WebLogic Serverをはじめとするインフラの多くの部分を、共通のOracle Enterprise Managerで管理できるためだという。

 Oracle Enterprise Managerの活用でインフラの見通しがよくなったことで、それまで11時間近くかかっていたバッチ処理などのビジネス上のボトルネックを解消できた。「融資の承認に関するある重要なバッチ処理は、実行に652分もかかっていました」とラヴラパティ氏は補足する。「それが、コア情報システムをオラクルのエンジニアド・システムズに移行したあとでは、わずか61分で済みます」。

パブリックな基盤

 オラクル・コーポレーション製品管理担当バイスプレジデントのマイク・レーマンによると、Oracle Cloud Application Foundationは、Oracle Fusion Middleware製品群では比較的新しいものだが、基本的なアプリケーション・サーバー、インメモリ・データグリッド、Webサーバーのテクノロジーは、すでに何年間もテストされ、実績を挙げているという。「クラスタリング、仮想化、管理の自動化により、企業はOracle Cloud Application Foundationで提供される自社アプリケーションの段階的なスケーリングが可能で、ビジネス上の優先度に合わせてリソースを調整し、クラウドの展開、管理、セキュリティに関する高度な方式で強化することができます」とレーマンは話す。

 こうしたクラウドの機能は、VRSGのような公的組織でとくに好評だ。VRSGは、スイス東部のドイツ語圏にある、260の地方自治体にプライベートクラウド・サービスを提供する非営利団体である。スイス国民にはVerwaltungsrechenzentrum AG St. Gallenとして知られるVRSGは、自治体向けに税政、居住管理、土地活用、施設管理といった機能や、それらの管理機能を提供する電子行政アプリケーションを開発している。

 アプリケーションの開発、統合、およびホスティングがVRSGのおもな事業である。VRSGの運営・アーキテクチャ室長、クリスティアン・マンセル氏と彼の同僚たちは、将来的に(スイス国民に関する情報が格納されている)住民管理用アプリケーションには、より大規模なアプリケーションを運用する基盤が必要になると予期していた。


VRSGはオラクル製品をベースにした新しいインフラを2つのデータセンターに展開した。「Oracle ExalogicとOracle Exadataの能力を双方のサイトで存分に活用しています。一方のサイトは開発、トレーニング、および受入れテスト用で、もう1つは運用のためのものです。どちらの環境でもサイトの入替えが容易におこなえます」とVRSGの運営・アーキテクチャ室長、クリスティアン・マンセル氏は説明する。

 こうした要求に対応するためにVRSGは、Oracle Cloud Application Foundationを利用して、自らのテクノロジースタックを改革することを決めた。まず、Java Platform, Enterprise Edition(以下、Java EE)アプリケーションを開発し、それらをOracle Exalogic上のOracle WebLogic Serverに移行。データベース資産をOracle Database 11gにアップグレードして、Oracle Exadataに移した。

 「膨大な数の部局や顧客を支援できる、パフォーマンスの高いマルチテナント環境が必要でした」とVRSGのデータベース管理者、ニール・スウォート氏は話す。「オラクルのハードウェアとソフトウェアのシステムを、IBMのメインフレームや汎用のIntel x86システムと比較したテストの結果、私たちのアプリケーションが、InfiniBandネットワークを介した、Oracle ExalogicとOracle Exadataで最適な動作をすることが確認できました」。

「とくに、Oracle Exalogic上のアプリケーションはきわめて高速で、管理も容易になりました」

VRSG 運営・アーキテクチャ室長
クリスティアン・マンセル氏

 VRSGは、この最適なソリューションを選択し、約10km離れた2つのデータセンターでオラクル製品をベースにした新しいインフラを展開した。Oracle Data Guardを使用して、ミラーリングされたこれらの環境を、アクティブ/アクティブのフェイルオーバー構成で同期化している。

 「Oracle ExalogicとOracle Exadataの能力を双方のサイトで存分に活用しています。一方のサイトは開発、トレーニング、および受入れテスト用で、もう1つは運用のためのものです。どちらの環境でもサイトの入替えが容易におこなえます」とマンセル氏は説明する。

 現在、VRSGのインフラ基盤は、何百もの自治体の部局が、スケールメリットを活かしつつ、全体的なガバナンスでは自治性を維持しながら利用できるプライベートクラウドになっている。きわめて効率性の高いクラウド上のアプリケーションやサービスを利用することで、自治体の各部局は市民にサービスを提供するという重要な使命に注力できる。

 VRSGの居住管理をはじめとする多くの電子行政のアプリケーションはOracle Cloud Application Foundationを利用しており、オラクルのテクノロジーはパフォーマンスと管理容易性の向上に貢献している。「全体的なパフォーマンスも向上しました」とマンセル氏は補足する。「とくに、Oracle Exalogic上のアプリケーションはきわめて高速で、管理も容易になりました」。

キャッシュ用の基盤

 世界有数の旅行サービス会社の1つであるスペインのTUIトラベルPLCが、同社の顧客に提供しているビジネス・アプリケーションをすべて1つのアプリケーション・サーバーのプラットフォームに集約することを決めたことを受け、ITリーダーたちは標準化という共通のテーマのために集結した。


「Oracle WebLogic Serverを標準にすることで、当部門のIT環境はシンプル化され、新しいアプリケーションをより迅速に展開できるようになりましたし、これまでなかったサービスを提供できるようにもなりました」とTUIトラベルPLCで業者間客室取引を扱うホテルベッズ部門で、アクティビティ、トランスファー、エクスペリエンスに関するテクノロジーの責任者を務めるファクンド・ルア氏は話す。

 「標準化を進めることが好ましいと思っています」と語るのは、TUIトラベルPLCの業者間客室取引を扱うホテルへッズ部門で、アクティビティ、トランスファー、エクスペリエンスに関するテクノロジーの責任者を務めるファクンド・ルア氏だ。「いくつものアプリケーション・サーバーやキャッシング・ソリューションを扱いたくはありません」。

 こうした標準化の考え方は、同社の成長と業務拡大にともなってきわめて重要になっている。ルア氏は、ホテルベッズでオープンソースのアプリケーション・サーバーを利用するのは、コストがかかりすぎ、管理が複雑になることから困難だと認識していた。また、週末や祭日などの繁忙期のWebトラフィックに、従来の中間層データベース・キャッシュが適切に対応できない場合があった。

 Oracle WebLogic Server 12cとオープンソースのアプリケーション・サーバーのTCO*の分析を含む厳密な評価プロセスの結果、ホテルベッズ部門は、アプリケーション環境をOracle WebLogic Serverに移行することを決めた。

 さらにTUIトラベルは、利用していたオープンソースのキャッシング・システムを、Oracle Cloud Application Foundationの構成要素である、インメモリ・データグリッドのOracle Coherence 12.1.2で置き換えることを選んだ。ルア氏によると、Oracle Coherenceは実装前のトランザクション・テストでほかのキャッシング・システムと比べ圧倒的に優れていたという。

 ホテルベッズの業務では、膨大な情報の効率的な管理が求められる。同社の重要な業務の1つに、旅行代理店や旅行業者に提供している、乗客の空港やホテルなどへの送迎サービスがある。

 「より効率的なドアツードア・サービスを提供するため、送迎サービスの再構築が必要でした」とルア氏は説明する。「これまで提供していた送迎ルートは8,000でしたが、GPSを利用して、事実上ルートの制限がないドアツードア・サービスが提供できるようにしたいと考えていました。こうしたサービスの拡大は、本年度中に移送関連の売上げを2倍にするという当部門の目標達成に貢献します」。

 ルア氏と彼のチームは、ポイントツーポイントの送迎情報を格納するOracle Coherenceグリッドを作成した。「顧客からGPSの座標を受け取ると、その正確な場所に対応したサービスと価格を提供します」とルア氏は説明する。「情報はOracleデータベースで作成され、Oracle Coherence GoldenGate HotCache機能でOracle Coherence内にプッシュされます。従来の8,000の固定ルートだけでなく、任意のGPSの座標に基づいた無限のルートに対応できるようになりました」。送迎サービスの成功で、ルア氏と彼のチームはOracle Coherenceでチームの活動や同社のレンタカー事業に関する情報もキャッシュすることにした。

 「結果は驚くべきものでした」とルア氏は続ける。「これまで、負荷のピーク時に処理できるのは1秒あたり400件でした。Oracle Coherenceでは、1秒あたり3,000件以上の要求を処理でき、その応答時間は7ミリ秒から15ミリ秒の間です。これはパフォーマンスにおける真のブレークスルーです」。

 アプリケーションのスケーリングも容易になった。同社が対応できるトラフィック量は、オラクル製品で構成したインフラによって50倍になったとルア氏は見積もる。「従来の50倍以上のトラフィックに対応し、1秒につき3,000件以上の要求に応答できる処理能力がなかったら、成長目標の達成は不可能だったでしょう」と彼は話す。「Oracle WebLogic Serverを標準にすることで、当部門のIT環境はシンプル化され、新しいアプリケーションをより迅速に展開できるようになりましたし、これまでなかったサービスを提供できるようにもなりました。こうしたサービスに何ミリ秒でアクセスできるようになるとは驚きです」。

帰着点としてのプラットフォーム

 企業がビジネスにおける重要なワークロードを扱うクラウド環境の実装を進める場合、スケーラビリティ、信頼性、可用性、柔軟性がより重要になる。「Oracle Cloud Application Foundationにはそのすべてがそろっています」とオラクル・コーポレーションのレーマンは話す。「何十万というお客様が、Oracle Fusion Middleware製品でワークロードを実行しています。たとえまだクラウド環境が実装されていないとしても、オラクル製品は標準化を推進し、将来のクラウド展開を成功へと導きます。オラクルのミドルウェア製品はそのように、進化し続けていきます」。

* Total Cost of Ownership:総所有コスト

SNAPSHOTS

リライアンス・コマーシャル・ファイナンス
reliancecommercialfinance.com

業  種:金融サービス
本  社:インド ムンバイ
従業員数:2,000人
オラクルの製品とサービス:Oracle Enterprise Manager、Oracle Exadata、Oracle Exalogic Elastic Cloud、Oracle WebLogic Suite、Oracle Advanced Customer Support Services

VRSG
vrsg.ch

業  種:ITサービス/行政機関
本  社:スイス ザンクト・ガレン
従業員数:270人
オラクルの製品とサービス:Oracle WebLogic Server、Oracleデータベース、Oracle Exadata Database Machine、Oracle Exalogic Elastic Cloud、Oracle Real Application Clusters

TUIトラベルPLC ホテルベッズ部門
tuitravel.com

業  種:旅行/レジャー
本  社:スペイン パルマ・デ・マリョルカ
オラクルの製品とサービス:Oracle WebLogic Server、Oracle Coherence、Oracleデータベース、Oracle Exadata Database Machine、Oracle WebCenter Content、Oracle JDeveloper、Oracle JRockit

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