ITシステムの運用継続性を担保するにあたって、サポートサービスは不可欠だ。たとえ完璧を期して構築されたITシステムであっても、老朽化も日々進行するため、常に万一の事態に備えておく必要があるからだ。
一般的にIT関連製品のサポートサービスは、トラブルや障害が発生した際の対処や問題解決を想定している。またそのメニューは、オフサイトでの情報提供のみ、あるいはオンサイトでの対応で、オンサイトの場合は、何時間以内にサービス担当者が駆けつけるのかといったレベルがつけられ構成されている。
しかしこれだけで、本来あるべきサポートサービスの要件を満たしているといえるだろうか。トラブルや障害の発生に備え対応に万全を期すことはもちろん重要だが、より重要なのは、そうしたリスクをいかに最小化できるかにある。そのためには、常にITシステムの健全性を維持し、トラブルや障害が発生する前に兆候を察知して芽を摘む継続的な取組みが必要だ。
こうした考え方に基づいてオラクルが提供しているのが、「Oracle Premier Support」である。データベースやアプリケーション・サーバーなどのミドルウェアはもとより、アプリケーション、ハードウェア、それらのベストオブブリードで構成されたエンジニアド・システムズに至るまで、オラクルの全製品を“ワンストップ”でカバーする、ベーシックなサポートサービスだ。
共通基盤となるOracle Premier Supportほか、個別ニーズやシステム運用形態に応じたハイエンドなサポートサービスもあり、必要に応じてメニューを付加することができる。
Oracle Premier Supportは、大きく「REACTIVE」「PROACTIVE」「LIFETIME」の3つの柱で構成されている。
REACTIVEは、オラクル製品に発生した問題を迅速に解決するもので、24時間×365日の相談窓口を提供するとともに、とくに緊急性の高いトラブルに関してはオンサイトでの即時対応(製品、条件による)をおこなう。問題解決にあたるのは、専門研修を修了した各オラクル製品のエキスパートだ。平均社歴8年以上の1万8,000人以上のサポートエンジニアがグローバルで活動しており、日本国内はもとより、145カ国・地域、29の言語でお客様に対応する。
PROACTIVEは、ITシステムに発生するトラブルや障害などの問題を未然に防止するものだ。お客様とオラクルの間でさまざまなシステム情報を共有し、適切な管理をおこない、必要な技術情報やツールを提供する。
LIFETIMEは、将来の環境変化に確かな対応をおこなう。各オラクル製品に対する長期サポート、ソフトウェアの無償アップグレードを提供し、システム環境を常に最新の状態に保つ。
もちろん、これらの3つのサポートサービスは、それぞれ個別のソリューションとして提供されるものではない。「My Oracle Support」と呼ばれるサポートポータルを通じた、シームレスなサービス活用が可能となっている。
Oracle Premier Supportにおける最大のアドバンテージとなっているPROACTIVEについて、より深く掘り下げてみよう。
このサービスは、オラクル製品ならびにサポート契約を導入していただいたお客様の投資効果を最大限に高めるためにオラクルが全社的に展開している「Get Proactive」と呼ばれる取組みを体現したものだ。製品サポートの中核となる要素を、「Prevent(予防)」「Resolve(解決)」「Upgrade(アップグレード)」の3つに分け、ITシステムの継続的な安定稼動ならびに安全かつ低コストのシステム運用を実現するための情報を集約・管理し、オラクルのベストプラクティスを提供する。
Preventは、オラクル製品に関する最新情報や重要情報の入手をサポートし、メンテナンスに関するベストプラクティスを提供する。既知の問題に対する予防措置をおこない、ソフトウェアやITシステムの健全性を保持し、コストやリソースを最適化することで、目指すビジネスゴールを達成する。
Resolveは、診断ツールやトラブルシューティング・ナレッジ、そのほかのナレッジリソースを利用した問題解決のヒントを提供する。また、万一の問題発生時には、ビジネスの原状復帰に向けた効率的な方法とツールによる支援をおこなう。
Upgradeは、アップグレードを円滑におこなうためのツールやナレッジ集だ。Premier Supportの統合的なサポートを通して、オラクル製品のアップグレード・プロセスをガイドする効果的な方法とツールを提供する。
なお、PROACTIVEサポートサービスと連携するツール群としては、お客様とオラクルの間でシステム構成情報を共有する「OCM(Oracle Configuration Manager)」、ハードウェアの障害通知をおこなう「ASR(Auto Service Request)」、システム監視をおこなう「ILOM(Integrated Lights Out Manager)」などが用意されている。また、日本語による「製品技術情報トップページ」や製品ごとの最新情報や重要情報を集約した自動更新型の「Information Center」といったナレッジ集もあわせて提供している。
次回は、Oracle Premier Supportを効果的に使いこなすためのサポートポータルであるMy Oracle Supportを詳しくご紹介する。