20周年を迎えたJavaの新たな進化

Javaテクノロジーに関する国内最大のイベント「Java Day Tokyo 2015」が、4月8日に開催された。今年20周年を迎えたJavaに対して、会場全体でバースデイソングを歌って祝福すると共に、JDK 9やJava EE 8といった最新テクノロジーの動向やロードマップの紹介ほか、日本を拠点とするコミュニティの活動報告や各種セッションなどが行われた。今後の20年を見据えたJavaの新たな旅はすでに始まっている。

Java Day Tokyo 2015
CREATE THE FUTURE
会  期:2015年4月8日(水)
会  場:東京国際フォーラム

クラウドの真ん中に位置して新たな産業革命を起こす


基調講演で挨拶に立った日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEO 杉原 博茂

 誕生20周年を迎えたJavaは、昔も今も変わることなくオラクルにとって最も重要なテクノロジーの1つだ。Java Day Tokyo 2015の基調講演で挨拶に立った日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂は、「モダン・サイバー・ソサエティのコンセプトのもと、オラクルはあらゆるITをクラウドにシフトしていくという大きな舵を切りました。その真ん中に位置し、新たな産業革命を起こしていくのがJavaなのです」と語った。

 実際、現在のJavaは、エンタープライズシステムにおける「Java EE(Enterprise Edition)」のほか、組み込み系の「Java SE(Standard Edition) Embedded」「Java ME(Micro Edition)」「Java ME Embedded」により、適用分野をIoT(Internet of Things;モノのインターネット)の世界にも広げている。

 すでに約1億3,000万台のテレビ機器、約30億台のモバイル端末がJavaベースで動いており、今後は、自動車の運転制御やメンテナンス、人間やペットのヘルスケアなどもJavaのもとで実現されていく。そうした革新的なシステムの開発に携わっている世界のJavaエンジニアは900万人を超えており、まさにメインストリームそのものだ。


Javaの父、ジェームズ・ゴスリンもビデオメッセージで登場

 Javaの生みの親として知られるジェームズ・ゴスリンもビデオメッセージで登場。2000年代初頭に日本の携帯電話にJavaが搭載されて感激したことを振り返りつつ、「Javaのスキルセットを持てば、多様なデバイスのイノベーションを起こすことが可能です。ますます胸躍る時代になりました」と今後の20年に向けた期待を語った。


さらに強化されるJDK 9をベースにIoTの世界を実現していく


オラクル・コーポレーションでJavaプラットフォームの開発を統括するバイスプレジデント ジョージ・サーブ

 オラクル・コーポレーションでJavaプラットフォームの開発を統括しているバイスプレジデント ジョージ・サーブは、まず昨年リリースしたJDK 8について触れ、「コミュニティの皆様から寄せられた要望やアイデアをもとに、Javaをさらに革新的なパラダイムに発展させるべく、さまざまな拡張を図りました」と語った。

 関数型プログラミングに対応した、Lambda(ラムダ)式の追加もその1つである。これによりプログラマーは、インタフェース実装のために必要なソースコードをより簡潔に記述することが可能となる。もっとも、Lambda式を使うことで既存のクラスライブラリが影響を受けてしまうのでは、プログラマーの作業負荷はかえって増大しかねない。そこでサーブらJavaプラットフォーム開発チームは、デフォルトメソッドを提供することで既存のクラスライブラリを活かしつつ、新しい機能やインタフェースを容易に追加できる環境を整えてきたという。加えて、最新のセキュリティ規格をあらかじめ取り入れた形でのプログラミングモデルの展開を可能としたほか、StreamsやFork/Joinの性能向上にも注力してきた。

 そして、「今後に向けた大きなマイルストーンとなる」と示唆したのが、2016年にリリースを予定しているJDK 9である。「Jigsawプロジェクトのもとで開発が進められているモジュラリティ機能がいよいよ実装されることで、スタートアップ(ウォームアップ)時間も大幅に短縮されます」とサーブは語った。

 さらに、Java SE Embedded、Java ME、Java ME Embeddedについても機能強化を図り、多様なデバイスに対応したIoTの世界をJavaで実現していく計画を示した。

クラウドインフラで必要とされる重要機能をJava EE 8でサポート


オラクル・コーポレーションでプロダクト開発を統括するシニアバイスプレジデントのキャメロン・パーディ

 オラクル・コーポレーションでミドルウェア領域のプロダクト開発を統括しているシニアバイスプレジデントのキャメロン・パーディは昨年のJavaOne 2014 San Franciscoで発表され、仕様策定が進められている次期バージョンのJava EE 8について言及。HTTP2.0やJSONバインディングへの対応、Java EEコンテナに対する運用管理用RESTインタフェースのフルサービス提供といったエンハンスの計画を示しつつ、「プラットフォーム全域を網羅したセキュリティの担保、サーバーとクライアント間の非同期によるデータ連携など、今後のクラウドインフラで必要とされる重要な機能のほとんどすべてをJava EE 8でサポートします」と強調した。また、開発容易性をさらに高めるため、CDI(Contexts and Dependency Injection)を利用したメッセージングなども実装していくという。

 気になるロードマップとしては、「2016年の後半から年末に向けてのリリースを予定しています」とサーブは見通しを示した。

Javaの進化を後押ししていくコミュニティの貢献

 Javaの発展に欠かすことができないのがコミュニティの貢献である。楽天の技術理事である仲宗根徹也氏、日本Javaユーザーグループ(JJUG)会長の鈴木雄介氏、関西Javaエンジニアの会(関ジャバ)の会長である阪田浩一氏の3名がそれぞれの活動を紹介した。

左から楽天の技術理事 仲宗根徹也氏、日本Javaユーザーグループの会長 鈴木雄介氏、関西Javaエンジニアの会の会長 阪田浩一氏

 仲宗根氏は、「楽天のミッションクリティカルなサービスのコア部分は、すべてJavaで作られています。したがってJavaの発展に積極的にかかわることは、自社のサービス開発にもプラスの効果をもたらすと考えました」とJCP(Java Community Process)への参加に至った経緯を説明した。特筆すべきは、同社が追加したページスコープやテンプレートスコープが、新たなJSF2.3の仕様の一部として採用されたことである。


Java SEを使ったデモとしてソフトバンクが提供しているロボット「Pepper」がステージに登場

 続いて鈴木氏が、約3,000名のメンバーが参加するJJUGの取り組みとして、「Java技術の向上やJavaエンジニアの地位向上を目指して、年2回のクロスコミュニティコンファレンスをはじめ、毎月ナイトセミナーなどを開催しています」と活動を紹介。さらに、今年の目標として、「JSR(Java Specification Request)への取り組みを強化するとともに、とくにJSR 371 MVC1.0にコミットし、メンバーの意見の取りまとめやレビューを実施していきます」と意気込みを示した。

 一方で阪田氏も、エンジニア同士の横のつながりを作りやすい、地域特有の情報が入るといったローカルならではのメリットに着目し、「おらが町のJUGが必要なのです」と2014年にJUG入りを果たした関ジャバの意義をアピール。「コミュニティとしての質を向上し、認知度を高めてより多くのメンバーを集め、JSRを通じたJavaへの貢献など、本格的な活動に一歩踏み出します」と語った。

 オラクルは今後もこうしたコミュニティと緊密に手を携えながら、Javaの絶え間ない進化を通じて世の中にイノベーションを起こしていく考えだ。

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